大規模ではないけれど、今見ておきたい展覧会が目白押し。『リンネル』本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんおすすめの、見逃したくない注目のアート&イベントを厳選してご紹介します。
1. カール・アンドレ 彫刻と詩、その間
■無機質に見える作品と相反する、素材そのままの大らかさ
1960年代後半のアメリカを中心に興隆したミニマル・アートを代表する彫刻家、カール・アンドレ(1935〜2024)。日本の美術館において、初めての個展となる「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」が開催中です。
1950年代にコンスタンティン・ブランクーシの彫刻に影響を受け、《ピラミッド》など木を組み合わせた立体作品を制作。
1960年から詩作や、ユニット状の木を組み合わせる〈エレメント〉シリーズに取り組み、1966年には137個のレンガを直列に並べた《レヴァー》を発表。
以後、木材や金属、石など、素材を工業製品のような同一の形と大きさに加工し、床に直接並置する作品を発表し、世界各地で空間に合わせて、規模の異なるさまざまな作品を発表しました。
本展では〈スクエア〉や〈カーディナル〉をはじめとする、規則的に広がるアンドレの典型的な彫刻作品13点を大きな空間で展開。
また、日本では紹介されることが稀な小さな彫刻を8点や、知る人ぞ知る詩という、アンドレの制作を多角的に紹介。特にタイプライターで断片的な単語を打ち込んで構成されるアンドレの詩は、彫刻に通じる空間的、構造的な認識や、文学、美術、歴史、政治など、自身の幅広い思考が反映され、読んでも眺めても楽しむことができます。
簡潔に見えて単純ではないアンドレの作品。彫刻と詩という離れた表現を日本の美術館で体感できる、貴重な機会をお見逃しなく。
『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』
開催中~6月30日(日)/DIC川村記念美術館/9:30~17:00 ※入館は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥1,800/https://kawamura-museum.dic.co.jp
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