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【今見たいアート案内:8~10月】 この夏注目の美術展4選 【今見たいアート案内:8~10月】 この夏注目の美術展4選

荒井良二

予定のない日は、少し足を延ばして涼しい美術館に出かけてみては? 『リンネル』本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんおすすめの、夏休みに出かけたいアート&イベントを厳選してご紹介します。

目次
【今見たいアート案内:8~10月】
  1. 民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある
  2. マルク・シャガール 版にしるした光の詩
    神奈川県立近代美術館コレクションから
  3. テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ
  4. new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった

1. 民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある

■身近な日用品、民藝のこれまでとこれから

左:(上から)緑黒釉掛分皿 因幡牛ノ戸 1931年頃/流描皿 河井寛次郎 京都 1927-28年頃/藍鉄絵紅茶器 濱田庄司 栃木 1935年頃 いずれも日本民藝館蔵 Photo: Yuki Ogawa 右:スクロールバック・チャイルズアームチェア イギリス 19世紀 日本民藝館蔵

約100年前、思想家の柳宗悦らが説いた民衆的工藝「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる「民藝」のコンセプトは、今改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものになりつつあります。そんな民藝について、「衣・食・住」をテーマにひもとく『民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある』が開催中です。

スリップウェア鶏文鉢 イギリス 18世紀後半 日本民藝館蔵 Photo: Yuki Ogawa

本展では、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示。「衣・食・住」に分類し、それぞれに民藝美を見出した柳の視点をひもときます。また、今に続く国内5つの民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と受け継がれている手仕事も紹介。さらに「MOGI Folk Art」のディレクターによる愛蔵品や、世界各地で見つけたフォークアートが今の暮らしに融合した「これからの民藝スタイル」のインスタレーションも見どころです。

(上から)竹行李 陸中鳥越 1930年代/刺子足袋 羽前庄内 1940年頃 いずれも日本民藝館蔵 Photo: Yuki Ogawa

民藝のこれまでだけでなく、“今"と”これから"にも迫る展覧会。自分にとっての民藝とは何か。普段、何気なく使っている日用品のなかに美しさを見出し、改めて大切に使いたくなりそうです。

『民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある』

 

開催中~9月18日(月・祝)/大阪中之島美術館 4F展示室/10:00~17:00 ※入場は閉場30分前まで/月曜休館(ただし9/18〈月・祝〉は開館)/一般¥1,700/https://mingei-kurashi.exhibit.jp

2. マルク・シャガール 版にしるした光の詩
神奈川県立近代美術館コレクションから

■響き合う色彩の、繊細なニュアンスを堪能

「愛の画家」として知られる、20世紀を代表するアーティスト、マルク・シャガール。絵画のかたわら、版画制作にも熱心に取り組み、2000点以上の作品を手がけました。神奈川県立近代美術館の望月コレクションから、さまざまな年代・技法による6つの版画集から厳選した作品、約140点を紹介。

リトグラフ(石版画)だけでなく、エッチング(銅版画)や木版画など、技法ごとの表現の違いや、題材や制作の背景などに注目しながら魅力に迫ります。

『マルク・シャガール 版にしるした光の詩

神奈川県立近代美術館コレクションから』

 

開催中~8月27日(日)/世田谷美術館/10:00~18:00 ※展覧会入場は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥1,200/https://www.setagayaartmuseum.or.jp

3. テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ

■光の特性と輝きに魅了された、アーティストたちの創作

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《湖に沈む夕日》1840年頃 Photo: Tate

“光の画家”と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや、クロード・モネをはじめとする印象派の画家による光の描写の追求、オラファー・エリアソンなどの現代アーティストによる視覚体験まで。

本展では異なる時代、異なる地域で制作された、絵画、写真、彫刻、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像等の多様な作品約120点の作品を展示。18世紀末から現代までの約200年間におよぶ、独創的な創作の軌跡に注目します。

左から、クロード・モネ《エプト川のポプラ並木》1891年 Photo: Tate、ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内》1899年 Photo: Tate
ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ぺインティング(726)》1990年 Photo: Tate, © Gerhard Richter 2023 (10012023)

『テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ』

 

開催中~10月2日(月)/国立新美術館 企画展示室 2E/10:00~18:00 ※金・土曜は20:00まで。入場は閉館30分前まで/火曜休館/一般¥2,200/https://tate2023.exhn.jp/

4. new born 荒井良二 
いつも しらないところへ たびするきぶんだった

■ジャンルを問わない、表現の現在地を体験

荒井良二
《流れ星スパーク奏でよギター》2022年、個人蔵

絵本作家として世界的に評価されるほか、イラストレーション、絵画、音楽、舞台美術と幅広く活動するアーティスト・荒井良二さん。

思わず口ずさみたくなるようなリズミカルな文体やオノマトペ、あたたかく鮮やかな色彩、独特の線や形、心にふっと灯りがともるような読後感。本展では100冊以上の絵本、書籍のなかから、代表的な作品の原画を展示。

荒井良二
『あさになったのでまどをあけますよ』 原画 2011年、個人蔵

旅をするような気分で日々作品を生み出す創作活動を、絵本原画のほか、新作のインスタレーション、立体作品、私蔵のガラクタまで織り交ぜて紹介しています。

荒井良二
新作《new born 旅する名前のない家たちを ぼくたちは古いバケツを持って追いかけ 湧く水を汲み出す》 制作風景

『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』

 

開催中~9月3日(日)/横須賀美術館/10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで/会期中無休/一般¥1,300/https://www.yokosuka-moa.jp

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text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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