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赤ちゃん便をスタートした理由は？

「赤ちゃん便は、妊娠4か月頃から3歳までの乳幼児のいる家庭を訪ね、オムツや日用品を届けることをきっかけに関係性を築いて見守り、不安に寄り添い、地域につながるためのお手伝いをしています。赤ちゃん便をはじめた理由は大きく2つあるんです」

①孤立した状態での出産・育児を防ぐため

「経済的にも精神的にも追い詰められた状態で、頼れる存在もなく、出産育児をすることは大きなリスクを伴います。家族や友人など身近に相談できる存在もなく、医療機関を受診することもできないまま孤立出産となり、どうすることもできないまま赤ちゃんが亡くなってしまうケースもあるんですね。孤立した状態での出産・育児を防ぎ、不安を和らげるためにも、妊娠中から親子とつながることが大切だと考えています」
虐待によって亡くなるこどものうち、最も多いのが生まれたての赤ちゃんというデータもあります。孤立出産・育児を防ぐことは、こどもの命を守ることにもつながっていくのでしょう。

②深刻な家庭状況で育つこどもを応援するため

「赤ちゃん便で家庭を訪問すると、産前産後は特に、仕事に行くこともできず、社会的にも孤立してしまい、生活が深刻な状況にある親子と出会うことが少なくありません。 状況が悪化する前に親子と関わって地域の支援につなぎ、安心して子育てができるサポートをしていくことで、親子の生活がよりよくなることを応援しています」
深刻な状況の家庭のなかでこどもが心身に傷を負ったり、居場所がなく夜の街に出て非行に巻き込まれたりするケースもあるかもしれません。「あの頃、母を支えてくれる人がいたらよかったのに…」と大人になった当事者の声を聞くこともあるそう。親に寄り添うことは、こどもが育つ環境を支えることに直結するのだと気づかされます。