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人気ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』パーソナリティ ジェーン・スーさん&堀井美香さんに聞くポッドキャストの面白さ(後編) 人気ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』パーソナリティ ジェーン・スーさん&堀井美香さんに聞くポッドキャストの面白さ(後編)

podcast ジェーン・スー 堀井美香 OVER THE SUN

おうち時間やリモートワークのお供に、家事や仕事、スポーツをしながら楽しめる音声コンテンツが人気です。今回は2020年10月にスタートし、毎週金曜の17時に配信されている「OVER THE SUN(=おばさん)」のパーソナリティであるジェーン・スーさん&堀井美香さんにインタビュー。二人と同世代の女性だけでなく、性別を問わず10代から80代までの幅広いリスナーを持つ番組で、今後やっていきたいことについて伺いました。

目次
人気ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』パーソナリティ ジェーン・スーさん&堀井美香さんに聞くポッドキャストの面白さ(後編)
  1. “リスナーからのメールに対して結論づけず、適当にふざけたことをやっていきたい”
    ーージェーン・スーさん
  2. “今まで言えなかったことも言えるおばさんの掲示板になりたい”
    ーー堀井美香さん
  3. 二人の印象に残っているエピソード
  4. ジェーン・スーさん&堀井美香さんプロフィール

“リスナーからのメールに対して結論づけず、適当にふざけたことをやっていきたい”
ーージェーン・スーさん

ーー借金や離婚、女性の性欲まで、なかなか取り上げにくいテーマについて聴けるのも魅力ですよね。

堀井美香(以下M):今まで密やかに語られてきたことが、場所があって誰かが「話してもOK」と示してくれたら、みんなこんなに話せるんだと驚きました。たとえばVIO(※)なんて3、4年前までは恥ずかしくて口に出せない感じでしたよね。でも生活するうえで普通に考えることだし、実は隠すことでもなかったんです。

ジェーン・スー(以下S):整形も意外とみんなやっていたしね。そういうことを聴けるのが楽しい。匿名だから言えるというのもあると思います。

M:これはラジオの地上波だと難しいよね。膣がどうとか(笑)。

※VIO デリケートゾーンである、Vライン、Iライン、Oラインを合わせた言葉。EP.13ではVIO脱毛の経験談が話題に。

“今まで言えなかったことも言えるおばさんの掲示板になりたい”
ーー堀井美香さん

S:テーマも選んでいるわけではなく、単純にラジオでかけているリミットを外しているだけ。ヒヤスンス(※)だって、たまたまメールをくれた人に乗っかっただけで。堀井さんが最初から「おばさん掲示板になりたい」ってずっと言っていたので初志完徹で、掲示板に書かれたことを私たちが読み上げているだけなんですよね。

ーー話すことと話さないことの線引きはありますか?

S:ないですね。ただ、わからない話をしても説明はしない、おもねらない。

M:情報も薄いしね。たいてい、ふんわり終わる(笑)。

S:一番びっくりするのは、若い女の子たちが聴いていること。自分たちが20代のとき、アラフィフのおばさんの話を聴かなかったと思うけど、うれしいよね。みんなと同じ気持ちで楽しめることを延々とやっている感じで、楽しいですね。

ーーお2人が印象的だった回は?

S:私はエンターテインメントに救われた回が好きでしたね。

M:おもたせの話からいきなり、離婚の話になったこともありますよね。

S:離婚した本人、子どもの立場からの意見もいろいろあってよかったよね。あれが一番掲示板として機能したと思います。

M:LGBTQに該当するリスナーからのメールを読んだ回もそうでした。誰かが悩んでいるときに、いろいろな方向から意見が来て。

S:整理したくないんです。「いい話だった、泣いた〜」って言われるのはよくないと思うので、結論を誘導したくない。別に相談を受け付けているわけではないのですが、たまたまそういう内容のメールだったりすると、「わかる〜!」と、いろいろなところから声が届いてくれるシステムになっているのはありがたいです。

ーー番組テーマソングを作られましたが、今後やってみたいことは?

S:全部ノリですね。あまりきっちりしていないから、聴いてもらえている気がするんです。ただ当初思っていたよりリスナーさんがすごく増えたということだけは、頭の隅に入れておかなきゃと思っています。でもひるまないようにしたいですね。

M:あまり固まらないようにしないとね。それぞれ聴いて「何かあったら行くよ!」くらいの感じで。

S:おばさんは人前では群れないほうがベター。この番組をそれぞれの居場所でニヤニヤ聴いてるのがいいんだよ。でもこっそりイベントはやりたい(笑)。これからも適当にふざけていきたいし、抱負もなく、淡々と続けられたらいいなと思っています。

※ヒヤスンス・・・リスナーの提案により、みんなで同時期にヒヤシンスを育て、その成長過程をSNSにアップした


二人の印象に残っているエピソード

ジェーン・スーさん
Episode 33, 34“私を救ったエンターテインメント”のお話。
転機というテーマで届いた、一本の舞台によって、引きこもりの人生が変わったというリスナーからのメール。
「仕事でエンタメにかかわっているし、私自身もエンターテインメントに救われているので、すごく好きな回です」
堀井美香さん
Episode 68, 69“LGBTQのリスナーに対する手紙”
15歳のゲイの男の子からのメールに対して、当事者や親の立場にいる国内外のリスナーから、メールが番組史上最も多く届いたそう。
「誰かが悩んでいるときに、さまざまな立場のいろいろな意見が来て、うれしいなと思いました」

ジェーン・スーさん&堀井美香さんプロフィール

ジェーン・スーさん
1973年東京都生まれ。作詞家、コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」では、パーソナリティを務める。近著に『ひとまず上出来』(文藝春秋)、『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)ほか。
堀井美香さん
1972年秋田県生まれ。元TBSアナウンサー。多くのナレーションを担当。近著に『音読教室 現役アナウンサーが教える教科書を読んで言葉を楽しむテクニック』(カンゼン)。

▶前編から読む! ジェーン・スーさん&堀井美香さんに聞くポッドキャストの面白さ


photograph:Keiko Ichihara text:Mayumi Akagi web edit:Masako Serizawa
リンネル2022年5月号より
※写真・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください

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