CULTURE
:「自炊がしんどいと感じる人へ贈るマンガ」マンガ家・オカヤイヅミさんが描く自由な大人の食エッセイ
CULTURE
:キラキラとした恋愛話だけではない「女子マンガ」は人生を救ってくれる。そんな「女子マンガ」を通し、現代女性のリアルを描く注目のマンガ家・オカヤイヅミ先生にインタビューしました。
お話を伺ったのは……オカヤイヅミ先生
1978年東京都生まれ。漫画家、イラストレーター。独自の感性で日常を切り取った『いろちがい』で2011年にデビュー。『すきまめし』『雨がしないこと』ほか著書多数。『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない』の2作が第26回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。
自炊がしんどいと感じている人に
読んでもらえたらうれしい

インスタントラーメンをあんかけ焼きそばにアレンジ。匂いまで漂ってくる、おいしそうな自炊料理が15品紹介されます。
―味は自炊と語るオカヤさんが、自炊を楽しむ日々を描いたエッセイマンガ『いのまま』。アイデアが詰まった簡単料理とエピソードが文章とマンガで構成され、気負わずに作る食事の豊かさや、丁寧な暮らしが伝わってきます
こうすればおいしいに違いないと実験ができるから、自炊は楽しいですね。ざっくりした性格なので、きれいに食材を切ったり、出汁を取らなくてもいいと思っていて。
ひとり暮らしは20年ほどですが、寂しいと思ったことがないんです。
自炊マンガは『すきまめし』から始めましたが、生活と結びつくし、絵にもしやすいので、他の作品にも食を描いてしまいます。
料理マンガはたくさんありますが、人それぞれなのでどれを読んでもおもしろいですよね」
価値観にしばられない自炊ごはんの楽しみ

夜中に電話をしながら、お互いに作ってフルーツサンドを食べ合うシーンは、特に印象的。
普通の生活の中にある“気付き”のおもしろさ
―美大を出た後、ウェブデザイナーとして働き、フリーランスのデザイナーに。好きで描いていたイラストや文章が、今のマンガのスタイルにも繋がっています
今もイラストレーターをしていますが、イラストはわかりやすく伝えたり、説明をするのに便利。文章は心のちょっとした動きについて書きやすい気がします。
マンガは描けると思っていなかったので、ちゃんと描き始めたのは30歳の頃。
イラストは依頼を受けてみんなの気持ちを代弁するのがおもしろいし、マンガは自分の内面を描かなくてはいけないので、やっぱり全然違います。
バランスを取るために私にはどちらも必要です」
―オカヤさんのマンガは、誰にでもあるようなシチュエーションが描かれているのが特徴です。
「〝こんなおもしろいことがあったんですよ!〞というテンションではなく、普通の生活の中にある気づきみたいなものを描いています。
こういう友達がいる、くらいの感じで読んでもらえたら」
―ほかにも、親交のある作家を自宅に招き、料理を振る舞いながら対談するweb連載「うちで飲みませんか?」、ドラマ評、ZIN『ホットサンドだより』を自費出版するなど、さまざまな表現をしているオカヤさん
何かに集中ができないので、全部やろうと思って。マンガは今は自分の年齢に沿ったものを描きたいと思っていて、
子どもがいない中年女性が若い人に何をどう渡していけるかみたいなことを考えています。マンガは1冊書くのに1年かかってしまうので、
その合間にスピードの早い雑誌やwebの仕事をすると、こまめに達成感を得られて、自分を保つことができます(笑)。
料理も日々の達成感があって、おいしいから自分へのごほうびになります。私の本は自炊がしんどいと感じている人に読んでもらえたらうれしいです」
自由なオトナの楽しさをつづる食エッセイ
『いのまま』¥660(芳文社)

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text:Mayumi Akagi
リンネル2025年6月号より
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