CULTURE
:原嘉孝さん・いとうあさこさん舞台インタビュー「千秋楽にはふたりで号泣するかも(笑)」
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:今年2月、話題のオーディションを経て「timelesz」に加入した原嘉孝さん。加入後、初の舞台主演となるのが、ドラマの制作現場を題材とした、山田ジャパン2025年9月公演『ドラマプランニング』です。2度目の共演となるいとうあさこさんは、オーディションに挑む原さんの姿も温かく見守っていたそう。
温かな笑いに満ちた、おふたりの対談をお届けします。
前は「原嘉孝」で戦いたかったけど、今はグループを背負ってますから(原さん)

——おふたりは2024年に、劇団「山田ジャパン」の『愛称⇆蔑称』で初めて共演し、9月の『ドラマプランニング』で再び同じ舞台に立つことになりました。いとうさんは山田ジャパンの旗揚げメンバーでもありますが、原さんにふたたびオファーした決め手は何だったのでしょうか。
いとうあさこさん(以下、いとう) 前作の打ち上げの時点で、「またお願いします」っていう空気が双方から出て(笑)。
原嘉孝さん(以下、原) でも、そう言って結局やらない……みたいなこともよくあるじゃないですか。今回は本当にスケジュールを詰めてきたから、「本当のやつだ!」って(笑)。
いとう 原嘉孝という役者が素晴らしすぎて、また会いたいなと。本当だったら山田ジャパンの次の公演ですぐオファーしたかったけど、さすがに「原先生はうちの劇団員じゃないんだから」って言って(笑)。あ、私は原くんを「原先生」って呼んでるんです。それで1公演あけて、今作でオファーをしたんです。
原 こんなに短いスパンで同じ劇団とやるってあんまりなかったので、めっちゃ嬉しかったです。前回は僕がSTARTO ENTERTAINMENTのタレントだと知らずに観ているお客さんも多くて。
いとう 当時はね。だから観た人が「あの子誰?」って。
原 timeleszに入る前は出演者クレジットに事務所の名前が入ってたんですけど、僕は「原嘉孝」で戦いたくて、入れないでほしいとお願いしていたんです。事務所の名前があると、見る前に「どうせアイドル事務所の子でしょ?」というフィルターがかかるじゃないですか。それが嫌だったので。だから、僕がSTARTOだと知らずに観た方が評価してくださったのが嬉しかった。そこに導いてくださった山田ジャパンにまた出られるのがめちゃくちゃ嬉しいです。
いとう でも今回は、グループ名を書かなきゃいけないんじゃない?(笑)。
原 今後は書かせてください。むしろ今はグループを背負ってますから。
“タイプロ”を見ながら、毎回泣いてました(いとうさん)

——原さんはドラマ制作会社の若手プロデューサー・青野、いとうさんは、青野が手がけるドラマで主演を務める俳優の名物マネージャー・鏡原を演じます。ドラマの制作現場は、おふたりにとっても身近な題材なのでは?
いとう ちょこちょこは出てるけど、私の役はいつも変な占い師とか変なデザイナーだから(笑)。鏡原は年齢もキャリアも重ねたマネージャーだから、「この現場は私で回ってます」みたいな、ある種の「圧」は絶対に出てるでしょうね(笑)。でも芯には「この子の魅力をどうやって伝えよう」という熱が残っていると思う。担当している俳優やドラマへの愛情を彼女の人間味として出せたら素敵だなと思っています。
原 僕は出る側しかやったことがないけど、プロデューサーは予算のことを考えたり、人と人の間を取り持ったり、いろんな責任を問われるわけじゃないですか。しかもいい作品ができたと思っても評価されるとは限らない。この役が来たとき、今まで僕が出たドラマのプロデューサーさんの顔を思い浮かべて、「僕が出るにあたって事務所から何らかの圧があったのかな……」と想像しちゃいました(笑)。
いとう でもわからないよ、向こうが見つけてくださったのかもしれないし。
原 山田ジャパンさんのように、timeleszに入る前からつながりがある方もいれば、グループに入ってから知ってくださる方もたくさんいて。どっちがいい悪いではなくて、全部愛があるんですよね。もし今までの仕事に事務所のプッシュがあったとしても、それも愛だし。
いとう それを実力で返していくのも、自分の力だしね。
——いとうさんは、「timelesz」の新メンバーオーディション、通称「タイプロ」で奮闘する原さんをずっと見守っていたそうですが、タイプロに挑戦すると聞いたときはどう思われましたか?
いとう イチ視聴者として観ていたら、(オーディション内の)合宿2日目に急に原先生が登場して。ちょっと待ってよ! って金曜22時に腰を抜かしました(笑)。
原 キマッた目をしてね(笑)。
いとう こんなに柔和な優しい男がバッキバキの目で入ってきて。
原 バキ原嘉孝(笑)。
いとう だから驚いたけど、初めて彼の歌とダンスを見たとき、涙が止まらなくなって。実際の撮影とオンエアってタイムラグがあるから、連絡しちゃいけないと思ったけど、感動が勝ちすぎて1回LINEしたんだよね。「知らない原先生を見せていただいて感動しかない。頑張ってと言っていいかわからないけど、頑張って」って。「返信不要!」とも書いたけど、ちゃんと返信くれて。その後も耐えきれなくて2回くらい送っちゃったよね。
原 というか、審査のたびに来てました。たしかに返信不要ってあったけど、先輩から来たら返さないのは無理ですよ(笑)。
いとう だって、こっちは毎回涙が止まらないから。だけどよかったところを具体的に書いて、「こういう俺がいいんだな」と意識しちゃったらよくないから、「泣いた」「よかった」と漠然とした感想だけを伝えて。最終審査が配信された2月15日には、朝10時からリアルタイムで見て、「おめでとう」と。ようやく「あなたのこういうところがよかった」「あそこ、片足でよく座ったな」「子音を残す歌い方がいい」と細かく書いて送ったんです。だから、加入を知ったタイミングは本当に皆さんと同じなんですよ。
原 その後、バラエティ番組「timeleszの時間ですよ」で再会して、「やっと会えたね〜!!」とハイタッチして。
いとう 原くんは私が出るって知らなかったんだよね? 私もtimeleszさんのロケとは聞いていたけど、原先生も来ると知ったのは前日で。だからずっとそわそわしてました。
原 その連絡はがまんできたんですね。
いとう なんか内緒っぽかったから(笑)
原 でも本当に嬉しかったですよ。
いとう あのときも「タイプロのここがよかった」って熱弁して、そこを実際に踊ってくれたんだけど、全部カットされてたね(笑)。
原 されてましたね(笑)。
下北沢の街が、僕の演劇人生の始まり(原さん)

——原さんはtimelesz、いとうさんは山田ジャパン、どちらも「チームに属する」という点では同じですが、おふたりにとって「チーム」の魅力とは?
原 僕は基本的に、群れるのが好きなんですよ。習っていたスポーツもドッジボール、サッカー、バレーボールのようなチームスポーツ。事務所に入ってからもグループでデビューすることを大前提に15年間やってきたので、誰かと切磋琢磨しながら、喜んだりケンカしたり……。そういう時間を分かち合いたい。それを特に実感するのはライブですね。やっぱりアイドルといえばライブですから。全員でライブを乗り越えるまでは、8人がまだグループになりきれていないように感じていたけど、お客さまの前で汗をかきながら2時間やりきるという経験を通じて、強い絆が生まれた気がします。
いとう 私はバラエティ番組では基本的にひとりだけど、山田ジャパンでは、みんなで笑いを紡いでいくところがしびれますよね。18年前に劇団を立ち上げたときは毎公演後に飲みに行って、「あそこ滑ったな」「何が違ったんだ」「いや、明日もう一回かけてみよう」とか話し合って。そうやってみんなでゴールを決めるのはやっぱりひとりじゃできないことだから、めちゃくちゃ気持ちいいです。
——今回、公演を行うのは下北沢の本多劇場です。下北沢の街についての思い入れを聞かせてください。
いとう 山田ジャパンの旗揚げ公演は、本多劇場の隣にある「小劇場 楽園」っていう地下の劇場だったんですよ。そのときに、「いつかここに立てるかねえ」と話していたのが本多劇場。実は2022年に1回立ったんですけど、当時はコロナ禍で客席も1席ごとにあけていたので、まだ完成形を見ていないんです。満席の劇場を見るのは今回が初めてだから、どんな気持ちになるんだろうと。それが今から震えるぐらい嬉しいです。
原 僕が演劇の仕事を始めたときは、まだ仕事が多くもなかったので、お金がなかったんです。でも舞台の勉強がしたくて、3000円くらいで当日券が買える小さな劇場をメモ帳片手に回って。
いとう 何をメモするの?
原 「このペットボトルの飲み方がよかった」みたいな役者の動きとか、違和感があったら「なんで違和感を覚えたんだろう」とか。ノールックでその場で殴り書きして、終演後に見直して。それが僕の演劇の始まりかも。本多劇場は3000円じゃ見られないから当時は行けなかったけど、どの先輩からも「やっぱり本多って特別だよね」と聞くので、僕も本多劇場への思いが募っていきました。しかも僕、下北に5年くらい住んでたんですよ。“夢を追う人が集まる街”みたいな憧れもあって。
いとう わかる! もう千秋楽には私たち、ふたりでおいおい泣いてるんじゃないかな(笑)。
Profile
原 嘉孝
1995年生まれ、神奈川県出身。俳優としてストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍。2025年2月、新メンバーオーディション「timelesz project」を経てtimelesz に新加入し、デビュー。近年の出演作に、ドラマ「イグナイト-法の無法者-」「トリリオンゲーム」、映画『#真相をお話しします』『劇場版 トリリオンゲーム』、舞台『Take Me Out』など。
いとうあさこ
1970年生まれ、東京都出身。1997年、お笑いコンビ「ネギねこ調査隊」を結成。2003 年にコンビ解散後、ピン芸人として活動。現在、レギュラーで地上波番組5本、ラジオ3本に出演中。2008年、劇団「山田ジャパン」を旗揚げ。劇団公演に加えてドラマ、映画、CM に数多く出演する。近年の出演作にドラマ「半熟ファミリア」「何かおかしい 2」、舞台『大渋滞 2024』『愛称⇆蔑称』など。
作品情報
photograph:Emiko Tennichi styling:九(Yolken)(原さん)、 hair & make-up:二宮紀代子(原さん) text:Hanae Kudo
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