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:退職や、介護・ケガ・病気など【仕事を休むときにもらえるお金9選】全部知ってる?:「社労士が解説①」【マネー講座】
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国や自治体には、さまざまな給付金や助成金の制度がありますが、中にはあまり知られていないものも。また、これらの多くは自ら申請をしないともらえません。損をしないためにもまず知っておきたい、仕事に関わるお金について、社会保険労務士(社労士)に教えてもらいました。
教えてくれたのは…
病気やケガ、介護で休んだときにもらえるお金
自分が病気やケガをした、家族の介護が必要になったなど、長期で仕事を休んでしまったとき、給料も減って不安ですよね。そんなとき、会社などに申請することで受け取れるお金があります。
①傷病手当金

支給開始日から通算して、最大1年6ヵ月受け取れます。ただし、休んだ期間中に、傷病手当金の額より多い給与が支払われている場合は、傷病手当金は支給されません。支給される給与が一部のみの場合は、傷病手当金と給与支給分の差額が受け取れます。
<傷病手当金で支給される金額>
1日当たりの日額:【標準報酬月額を平均した額÷30日】×2/3
(例)
標準報酬日額7000円で、傷病により3カ月(92日)休んだ場合
7000円×2/3×(92日-3日間)≒41万5333円支給される
②介護休業給付金
雇用保険に入っている人が、家族の介護のために仕事を休まなければならいときに、給与の一部が支給されるもの。申請するための条件は、家族の介護が2週間以上必要な状況で、介護休養開始前の2年間に賃金支払いの基礎日数(11日以上)を満たした月が12カ月以上であること。
休業の申し出は、休業開始と終了日を決めて、休業開始予定の2週間前までに行うのが原則です。介護対象となる家族1人につき通算93日間を限度に、3回までに限って支給を受けられます。
<介護休業給付金で支給される金額>
介護のために仕事を休み始めた時点の賃金日額×67%×休業日数分
(例)
賃金日額7000円で、介護休業を93日間取得した場合
7000円×67%×93日間=43万6170円支給される(※)
※支給限度額は、月34万7127円(2024年8月~/毎年8月に変更される)
失業、再就職したときにもらえるお金
会社の倒産など不測の事態で失業した、自己都合などで仕事を辞めざるを得なくなったなど、収入が途絶えたときに助けてくれるお金のことを知っておくと安心です。
①失業給付(基本手当)

自己都合で辞めた場合は、ハローワークで手続きをした7日+2カ月後から給付され、会社都合の場合は7日後に認定・給付に進みます。
給付日数は、年齢や雇用保険の加入期間および離職の理由などによって、90日~360日の間で異なり、原則として4週間ごとの受け取りになります。
<失業給付(基本手当)で支給される金額>
離職前の6ヵ月間の賃金の合計を180で割った「賃金日額」の50~80%(年齢や賃金日額によって異なる)
(例)
賃金合計210万円で、給付率50%の場合
210万円÷180×50%≒1日5833円支給される
②就業手当
【就業手当】
失業給付を受給している期間中に、契約期間1年未満の非正規雇用(アルバイト、臨時契約など)の仕事に就いた場合、ハローワークに申請することで受け取れるお金。
就業手当は、以下のような条件を満たした場合に支給されます
- ・就業給付の基本手当の支給日数が45日以上、かつ1/3以上残っていること
- ・離職する前の会社への再就職でないこと
- ・待機(離職手続きを行って、失業給付の受給資格を得たあとの7日間)が経過したあとであること
ただし、就業手当を受給した日は、失業給付の基本手当が支給されたものとみなされ、働いた分、失業給付が支給される日数が減少されるので要注意!
就業手当を申請せずに、非正規雇用で働くと、働いた日の分は基本手当が支給されないものの、繰り越しとなり、基本手当の支給残日数は減りません。就業手当を受け取ったほうがお得になるとも限らないので、就業手当の受給額をシミュレーションして申請するか検討しましょう。
なお、就業手当は、2025年3月31日をもって廃止となります。
<就業手当で支給される金額>
支給額は、非正規雇用の基本手当日額の30%相当。1日あたりの支給額上限は、60歳未満の場合1918円、60~65歳未満の場合1551円(2024年8月~)。
(例)
基本手当日額5000円で、月20日間働いた場合
5000円×30%(×20日)=3万円支給される
③再就職手当
失業給付を受給している間に、次の就職先が決まるともらえるお金。就職が早く決まるほど、もらえるお金が多くなります。
再就職手当は、以下のような条件を満たした場合に支給されます。
・就職日の前日までの失業の認定を受け、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あること
・離職する前の会社への再就職でないこと
・待期(離職手続きを行って、失業給付の受給資格を得たあとの7日間)が経過したあとであること
・就業前3年以内の就職について、再就職手当または常用就業支度手当の支給を受けていないこと
<再就職手当で支給される金額>
支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額。1日あたりの支給額上限は、60歳未満の場合6395円、60~65歳未満の場合5170円(2024年8月~)。
(例)
基本手当日額5000円で、失業給付の支給残日数が2/3以上ある人が、
給付制限期間終了15日後に就職した場合(自己都合退職)
支給残日数(75日)×70%×5000円=26万2500円支給される
資格取得、スキルアップの費用を支援するお金
失業中、就労中に関わらず、教育訓練を受けて資格を取りたい、休職してスキルアップしたいという人を支援する給付金も充実しています。
①教育訓練給付金
厚生労働省が指定する教育訓練講座を受講し、修了した場合、支払った受講料の一部が支給される制度。指定口座の内容によって、「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類があり、雇用保険の被保険者であった期間が3年以上あることなどの条件を満たした人が給付対象となります。
<教育訓練給付金で支給される金額>
一般教育訓練給付の場合:教育訓練受講費の20%(上限10万円)
特定一般教育訓練給付の場合:教育訓練受講費の40%(上限20万円)*¹
専門実践教育訓練給付の場合:教育訓練受講費の50%(上限120万円)*²
*1 特定一般教育訓練の修了後、資格を取得し、就職した場合は受講費用の10%(上限5万円)を追加で支給。
*2 専門実践教育訓練の修了後、資格を取得し、かつ終了した日の翌日から1年以内に雇用された場合は受講費用の70%(上限168万円)を支給。また、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、さらに受講費用の10%(年間上限8万円)を追加で支給。
②リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
「リスキリング」とは、業務に必要なスキルや知識を身に付けること。転職希望者が経済産業省によって認定された事業者が行っている「リスキリング講座」を受講すると、受講費用の負担を軽減してくれる制度があります。キャリアアップ、転職を検討している人は要注目です!
<リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業で支給される金額>
各補助事業者によって、受講金額や負担経験の金額は異なります。
(例)
・リスキリング講座の受講を修了した場合:講座の受講費用の1/2相当額(上限40万円)
・リスキリング講座の受講を修了したのち転職し、その後1年間継続的に転職先に就業している場合:追加で講座の受講費用の1/5相当額(上限16万円)
リポートした人 Profile
マネーライター みとも はやみ
編集プロダクション、出版社の勤務を経て、2011年よりフリーランスで活動。
20年以上、生活情報誌を中心に家計やりくりにまつわる記事の編集・取材・執筆に携わる。これまでに取材した実例は、延べ1000件以上。
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Illustration:Naoko Horikawa text & web edit:Hayami Mitomo
※写真・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください
※このページで掲載している情報は、2024年10月15日現在のものです
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