LIFESTYLE
:住宅ローンの金利が上昇! 借りている人、これから借りる人はどうしたらいい?【マネー講座】
LIFESTYLE
:
日本銀行の政策金利の利上げによって、住宅ローンにどう影響するのか気になっている人も多いはず。
今後の住宅ローンの傾向と対策について、ファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさんに伺いました。
教えてくれたのは…竹下さくらさん

損害保険会社、生命保険会社勤務を経て1998年に独立。「なごみFP事務所」にて、個人のコンサルティングを主軸に、講演・執筆活動などを行っている。2児の母。
著書に『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本(新版)』(日本経済新聞出版)など。
住宅ローンには3タイプある
現在の住宅ローンの主流は、「全期間固定型」「固定金利型」「変動金利型」の3つ。
これから住宅ローンの借り入れを検討している人は、それぞれの特徴をまず確認しましょう。
●TYPE 1:全期間固定型
借入当初に設定した金利がずっと続き、返済期間中の返済額がずっと同じもの。
【メリット】
全期間の返済額が確定しているので、将来設計が立てやすい。
金利が上昇しても影響がなく、リスクヘッジができる。
【デメリット】
変動金利型や固定金利型に比べて、金利水準が高め。
●TYPE 2:固定金利型
2年・3年・5年・7年・10年といった一定期間、借入当初の金利を固定するもの。
【メリット】
一定期間金利を固定できる。
全期間固定型に比べて、金利水準が低い。
【デメリット】
固定金利の期間が長いほど金利水準が高くなる。
総返済額の確定が難しく、完済時までの資産計画が立てにくい。
●TYPE 3:変動金利型
住宅ローン借入期間中の金利が市場金利に伴って変動するもの。一般的な返済方法である元利均等返済の場合、通常5年ごとに返済金額が見直され、適用金利は半年ごとに見直される。
【メリット】
固定金利型に比べて金利が低い。
市場金利が下落したら、返済額が下がる。
【デメリット】
総返済額の確定が難しく、完済時までの資産計画が立てにくい。
市場金利が上昇すると、返済額が上がる。

住宅ローンの金利はどう変わった?

日本銀行(日銀)は、2025年1月に政策金利を0.25%程度から0.50%程度に引き上げました。
それを受け、多くの金融機関は変動金利型の住宅ローン金利の引き上げを発表。現在、変動金利型の住宅ローンを借りている場合は、7月の返済分から適用金利が上昇することになります。
固定金利は、10年国債などの長期金利の影響を受けて変動します。その指標である10年国債の利回りの上昇傾向によって、固定金利型住宅ローンの金利もゆるやかに上昇。長期金利は、世界情勢や市場の動きなども影響するため、今後も上昇する可能性があります。
これから住宅ローンを借りる場合は、4月以降の新規借り入れ分の金利が対象になります。ただし、住宅ローンの最優遇金利については金融機関によって対応が分かれているので、借りる予定の金融機関の動向をチェックしましょう。
「これから住宅ローンを借りる人も、借り換えなどを検討する人も、大事なのは、金利が上がったとしても返済が継続できる程度の借入金額と返済期間を設定すること!」

住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えをしたほうがいい?

【繰り上げ返済をしたほうがいい場合】
住宅ローン減税を受けている期間(10年間、13年間等)は、繰り上げ返済しないほうがいいとよく言われますが、すべての人に当てはまるわけではありません。
現在、住宅ローン減税の0.7%適用を超える金利で住宅ローンを組んでいる場合は、積極的に繰り上げ返済したほうがいいでしょう。
逆に0.7%より低い金利で借りているなら、金利差分は住宅ローン減税による還付金のほうが多くなるので、住宅ローン減税を終えてから繰り上げ返済するのがセオリーです。
ただし、実際には住宅ローン減税で例示されている金額はあくまで上限額であり、実際は支払った所得税・住民税(一定金額内)の範囲内で還付される仕組み。
住宅ローン減税の控除額を超える額に関しては、住宅ローン減税中であっても繰り上げ返済したほうが合理的。貯蓄の余剰金があるのなら、繰り上げ返済によって元金を減らし、利息負担を減らすに越したことはありません。
【借り換えをしたほうがいい場合】
「金利が低いうちは変動金利で借り続けて、金利が上昇してきたら固定金利に借り換えればよい」と考える人もいるでしょう。しかし、借入状況などによって、必ずしもメリットがあるとは限りません。
借り換えによって総支払額にメリットがあるかどうかは、金利差、残債、返済期間、諸費用の金額などによって変わってきます。まずは借り換え先候補の金融機関に相談して、借り換えの効果を試算してもらうのがいいでしょう。
また、住宅ローンの借り換えには、事務手数料、印紙税などの諸経費、返済中の住宅ローンを一括返済する際の諸費用がかかります。借り換えの手続きには1か月以上かかることもあり、場合によっては、借り換えのメリットをあまり得られないこともあるのでじっくり検討して。
「住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えの対策をとるには、一般的にまとまった資金が必要です。そのための資金をしっかり貯蓄しておくことが大事!」

※このページで紹介している情報は、2025年4月24日現在のものです
リポートした人 Profile
マネーライター みとも はやみ
編集プロダクション、出版社の勤務を経て、2011年よりフリーランスで活動。
20年以上、生活情報誌を中心に家計やりくりにまつわる記事の編集・取材・執筆に携わる。これまでに取材した実例は、延べ1000件以上。
こちらもチェック!
Illustration:Eri Takenaga text & edit:Hayami Mitomo
※写真・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください
おすすめ記事 RELATED ARTICLES
Recommend
SNAPRanking
DAILY
/
WEEKLY




































「どの金利タイプがよいかは、各家庭の家計やライフプランなどによって様々。3つの金利タイプのメリット、デメリットを理解したうえで選ぶことが大事!」