CULTURE

緒川たまきさんインタビュー 経験に頼らない、新たな実験に挑みたい 緒川たまきさんインタビュー 経験に頼らない、新たな実験に挑みたい

まだ誰も体験したことのない新しいお芝居に挑戦し続ける緒川たまきさんが新たに試みたこととは?

目次
緒川たまきさんインタビュー 経験に頼らない、新たな実験に挑みたい
  1. 緒川たまきさん出演作インタビュー
  2. 出演作:ケムリ研究室 no.2『砂の女』
  3. お話を伺ったのは……緒川たまきさん

緒川たまきさん出演作インタビュー

ひとりひとりのために
演じるべき作品がある

ケムリ研究室は、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下・KERA)さんと女優・緒川たまきさんの演劇ユニット。昨年の旗揚げ公演『ベイジルタウンの女神』では、その力強い物語で多くの観客の心にエネルギーを灯しました。そんなケムリ研究室の2作目となるのが『砂の女』。緒川さんがこの作品に出会ったのは10代の頃でした。

「安部公房の小説の魔力に魅了されるとともに、勅使河原宏監督の映画で岸田今日子さんが演じた女の怪女ぶりにも心惹かれました。そのとき以来、遠い未来の目標として思いを
馳せてきましたが、あまりのインパクトに、『このスケールは舞台では難しいですよね?』と、KERAさんとも話したりして……」

 そんな作品に挑むきっかけは、ケムリ研究室発足の折、演劇以外で刺激を受けたものを演劇に還元したいという思いから『砂の女』を挙げたことだと、緒川さんは振り返ります。
「何度も取り下げてきた作品をやろう!との結論に至ったのは、年月とともに厚かましくなった部分もあるかもしれません(笑)。でも、おもしろがれるところを掬い取る作業に専念すれば、自分たちなりの『砂の女』が創れる気がしてきたんです。安部公房が実験性溢れる作家であったからこそ、その胸を借りて遊ばせていただこうという感覚でしょうか」

 さまざまな作品を通して観る者の心に手触りある記憶を残してきた緒川さんとKERAさん。今作ではそんな経験に頼らないところから手がかりを探したいといいます。
「演者は6名。大きな規模だとできない実験にもトライできるので、失敗を恐れないことを第一に考えています。思いついたことを口にするといったプリミティブなところから出発して、ああでもないこうでもないと模索する中で新たな表現が生まれるのではないかと。キャスト・スタッフのみなさんと希望と絶望、トライ&エラーを共有したいと思っています」

 演者と劇場、そして観客の存在。舞台の意義を改めて感じたのは『ベイジルタウンの女神』のステージから見たこんな光景だったそうです。
「一席飛ばしで設けられた客席を見たとき、すごくインパクトがあったんです。みんな、ひとり、ひとり、なんだと――。お客様という塊ではなく、一人の人が一人の感情でそこに座ってくださっていることを痛感しました。『砂の女』開幕の日に100%の客席が許されたとしても、そういった切実さを感じていたいと思います。一人のために作品がある。そんな個
人的で密やかな気持ちをより味わっていただける作品になればと思います」

出演作:ケムリ研究室 no.2『砂の女』

ある砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれる一軒家を訪れる。そこには一人の寡婦が住んでいた。ひっきりなしに砂が流れ込む家で砂を掻き出し続ける女。男は脱出を試みるが、女や村人たちに逃げ道を阻まれ閉じ込められる……。からめとられた男、からめとった女、欲望剝き出しの村人たち、そして砂-。安部公房の傑作小説を原作に、ケムリ研究室の新たな実験が幕を開ける。

原作:安部公房/上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/出演:緒川たまき、仲村トオル、オクイシュージ、武谷公雄、吉増裕士、廣川三憲/音楽・演奏:上野洋子/振付:小野寺修二/822日(日)~95日(日)シアタートラム/問い合わせ:キューブ03-5485-2252 *兵庫公演あり

 

 

ケムリ研究室no.2 『砂の女』 オンデマンド配信決定

<配信期間>
9/30(木) 10 :00 配信開始(10/6(水)23:59までアーカイブ有り)
<配信元>
「PIA LIVE STREAM」(チケットぴあ)、「Streaming+」(イープラス) にて配信
<チケット料金>
3,500円
<チケット発売期間>
9月11日(土)10:00 ~ 106日(水)21:00販売
<チケット取り扱いURL>
チケットぴあ
イープラス
  • 配信される舞台映像は、シアタートラムにて収録された映像を配信用に編集した“配信限定編集版”となります。
詳細:キューブオフィシャルサイト

お話を伺ったのは……緒川たまきさん

PROFILE

緒川たまき
おがわ・たまき/ 映画『プPu』でデビュー。ドラマ、映画、舞台で活躍。近年の出演舞台に『ドクター・ホフマンのサナトリウム〜カフカ第4の長編〜』、ケムリ研究室no.1『ベイジルタウンの女神』、『パンドラの鐘』などがある。

photograph:Chihaya Kaminokawa text: Miiko Okada web edit:Liniere.jp

※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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