柄本 佑さんインタビュー　物語の流れに身を任せて一緒にだまされてみてください 柄本 佑さんインタビュー　物語の流れに身を任せて一緒にだまされてみてください

最新の出演映画『先生、私の隣に座っていただけませんか？』では、漫画家夫婦の夫・俊夫役を演じ、妻・佐和子役の黒木華さんとダブル主演する柄本佑さん。その作品に対する想いを伺いました。

見終わったときすがすがしい気持ちになれる作品

ーー本作のテーマはなんと不倫。ですが、愛憎が絡み合うドロドロしたイメージとは一線を画す物語のようですね。

「ある種の爽やかさがあって、この作品を見て嫌な気持ちになる人はいないんじゃないかと思います。状況はシリアスですがコメディ色も含んでいて、映画の楽しさを全部詰め込んだエンターテインメントです」

ーーさらに、佐和子が描く不倫漫画が創作なのか、妄想なのか、はたまた夫への復讐なのか、俊夫と同じように見る人の心を揺さぶります。柄本さんご自身はどう感じましたか。

「僕自身も初めて台本を読んだときにすごく引き込まれてしまい、一人の読者としていろいろとだまされました。堀江貴大監督はとても柔らかい方なのですが、“柔よく剛を制される”感覚でいつの間にか関節をとられて負けてた！みたいな感じです（笑）。みなさんも物語に身を任せて、気持ちよくだまされてみてください」

ーー俊夫はもともと佐和子の漫画の師匠でしたが、今は漫画が描けずアシスタントに甘んじています。さらに、担当編集者と不倫までするダメ夫。それでも憎めないキャラクターが、物語に軽妙さを与えています。役作りはどんな風にしましたか。

「最初に監督からは『本人的にはシリアスな状況なのにはたから見るとその姿がおもしろく見せたい』と言われました。脚本がよく練られていたので、道筋に乗るだけで俊夫像が出来上がっていきましたね。ダメなヤツだけど嘘がつけない正直者でもあって、そこが憎めなさに繋がっているんじゃないかと。いつも役作りは自分で決め込まずに、せりふを棒読みで淡々と覚えることにしています。現場でせりふをしゃべったときに台本という二次元が初めて三次元になって徐々にキャラクターが形作られていくので、実際にやってみないとわからないし、その一次元の違いを大事にしています。今回も撮影のときに監督と話しながら作っていって、途中から自然と自分の中の俊夫が動き始めました」

ーー最後にリンネル読者にとっての見どころをお伺いできましたら。

「佐和子は普段はおっとりと柔らかい感じなのに、ある決断をしたときに突き進んでいく表情や迷いのない行動の強さは見ていて爽快なので、迷いやモヤモヤも吹っ飛ぶはず。『私もまだがんばれるわ、サンキュー黒木さん！』って見終わったときすがすがしい気持ちになれると思いますよ」

最新作『先生、私の隣に座っていただけませんか？』

漫画家・佐和子の新作のテーマは「不倫」。自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、佐和子の担当編集者・千佳と不倫をしていた俊夫は「ばれたかもしれない」と精神的に追い詰められていく。物語は佐和子と自動車教習所の若い先生との淡い恋へ急展開。この漫画は完全な創作？ 俊夫の不貞に対する佐和子流の復讐なのか！？ 恐怖と嫉妬に震える俊夫は、現実と漫画の境界が曖昧に……。

脚本・監督：堀江貴大／出演：黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン／配給・宣伝：ハピネットファントム・スタジオ／新宿ピカデリーほか全国公開

©2021「先生、私の隣に座っていただけませんか？」製作委員会

お話を伺ったのは……柄本 佑さん

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photograph：Keiko Ichihara　styling：Michio Hayashi　hair & make-up：miho　text:：Harumi Yasuda　web edit & text：Masako Serizawa
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