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【映画『パリ・ブレスト』インタビュー】 天才パティシエのヤジッド・イシェムラエンさんが教えてくれる、夢をかなえる方法 【映画『パリ・ブレスト』インタビュー】 天才パティシエのヤジッド・イシェムラエンさんが教えてくれる、夢をかなえる方法

生きるために始めたお菓子作り

ヤジッドさんは14歳の若さで、パリから180kmも離れた田舎町エペルネにある寄宿舎に暮らしながら、パリの高級ホテルのレストランで皿洗いからスタート。ときには終電車を逃し、野宿をしながら必死に学び続けたそう。

「お菓子作りは学校で学ぶのではなく、自分で学ぶしかなかったんです。若い頃から成長しなくてはという気持ちがとても強かったので、最初は皿洗いでもいいと、現場に自分の身を置きました。師匠に弟子入りして、一番下から学ぶというのは、おそらく寿司職人も同じだと思います。

ただチャンスは絶対に逃しませんでした。チャンスの裂け目が目の前で開いてきたら、さっとそこに入り込む。そんなイメージです」

そんなヤジッドさんの人生を大きく変えたのは、映画のクライマックスでもあるパティスリー世界選手権のコンテスト。芸術的で美しいスイーツの数々も、この映画では見どころです。

「あのシーンは映画的な演出もありますが、ほとんど事実。あのシーンで登場する氷菓も、実際に僕が作っています」

日本のタイトルになっている「パリ・ブレスト」は、ヤジッドさんが一番好きだというフランスの伝統的なお菓子。リング状のシュー生地にプラリネ風味のクリームをはさんだお菓子ですが、ヤジッドさんが作るのはフォークを刺すとパリッと割れ、中からクリームがとろけ出す、伝統とモダンを融合した「パリ・ブレスト」。見た目も全く違います。

そのほか、大きなさくらんぼの形をしたチョコレートのコーティングが特徴的な「フォレ・ノワール」など、ヤジッドさんが作るものはどれも芸術的。そのアイデアの源は?

「僕は世界各国を旅行するので、そこで見るアート作品や建築もインスピレーションの源になります。それからもうひとつ大きいのは、オートクチュールですね。オートクチュールのコレクションは欠かしません。どのようなディテールが手仕事で施されているのか、それをお菓子としてどのように変換することができるのかを考えます。そういう意味では、あらゆるところから影響を受けていますね」

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