CULTURE
:【女子旅 隠岐諸島】壮大な自然でエナジーチャージ!海を見渡す宿・Entôで「なにもない」を満喫する新しい贅沢旅
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2021年、隠岐諸島の海士町に誕生したホテル「Entô(エントウ)」。「“ないもの”はなくていい。大切なモノゴトはすべてここにある」という海士町のコンセプトを体現する、ミニマルでありながら豊かな時間を過ごせる宿の魅力をリンネル編集部員がレポートします。
デジタルデトックスで「地球にぽつん」を体感する

島根半島の北方約80kmに位置し、4つの有人島と約180あまりの小さい無人島からなる隠岐諸島。 海洋生物や漁業などの人の営みも含め、隠岐を取り巻く環境そのものが「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」として認定されています。そんな隠岐諸島のひとつ、海士町(中ノ島)にジオパークの「泊まれる拠点」として建てられたのがEntôです。

別館1階にある「ジオラウンジ」は、ゆったりとした時間を過ごせる共有スペース。恐竜などの古生物の化石が展示されている。
「“ないもの”はなくていい。大切なモノゴトはすべてここにある」という海士町のコンセプトに沿って作られたEntôのおもてなしは、手つかずの地球(ジオ)の風景。都会の喧騒から離れ、その身ひとつで自然と一体化するような、のんびりとした時間を過ごせるのが魅力です。客室にテレビや時計はないので、できれば携帯電話もオフにしてデジタルデトックスを試みて。
ひとりで来ても、誰かと来ても。全部屋オーシャン・フロント

こじんまりとした書斎のような部屋。無駄なものがないシンプルな作り。
客室は別館「Annex NEST」と本館「BASE」、2つの棟から構成されています。NESTとBASEあわせた全36室で、すべてオーシャン・フロント。今回、編集部員が泊まったのはひとり旅にベストサイズのNEST 1の部屋。シンプルでコンパクトながら居心地がいい、ワーケーションにもぴったりな空間でした。カルデラ湾の穏やかな海と空、たまに横切る船を眺めているだけで心が浄化された気分になれます。

室内着は和晒京ふたえガーゼの素材。天然素材ならではのやさしい肌触りで着心地も抜群。
お風呂は大浴場の天然温泉を利用。もちろん、温泉もオーシャンビューでした!(大浴場のみ)
用途に合わせて選べる豊富な部屋タイプ

木と畳の落ち着いた空間に、ナチュラルテイストなインテリアが心地いい。
別館「NEST」の4タイプの客室にはテラスと浴槽付き。こちらは2人以上で泊まるのにちょうどいいサイズのNEST WAの部屋。畳の床に、お年寄りや小さい子どもがいても安心な低めのベッドを配置した、和モダンタイプの客室です。視界いっぱいに窓越しの海が広がります。

海を見ながらゆっくりできるテラス。

お風呂に入りながら絶景を楽しめる。
客室はフローリングだったり、畳だったり、浴槽がついていたり、2つの部屋を合わせて使えたりとタイプも豊富。同行する人やシーンに合わせて使い分けたい。
地元の食材を使った‟その日限り”のメニューを楽しめるダイニング

ダイニングもオーシャン・フロント。「メイン料理は窓からの景色です」と従業員の方。Photo by Kentauros Yasunaga
Entôのダイニングでは、島内の漁師さんや生産者さんから食材をいただいたり、スタッフ自ら突いた魚や、採取した野草などを用いて料理を作っています。ディナーは地産地消をテーマに、隠岐牛をメインとしたローカルの魅力溢れる季節のコース。その日ある食材で考えられた、‟その日限り”の料理の数々は、特別な感動をもたらしてくれること間違いなしです。

ゴーヤと季節のフルーツを添えた真鯛のカルパッチョ。

白ワインによく合う肉厚で新鮮な岩牡蠣。

隠岐牛はオープン・キッチンで調理してくれます。

隠岐牛のサーロインステーキ。脂身が少なくヘルシー。

香りが強く、歯応えがある十六島海苔を使った本膳。

出汁でくずしてお茶漬け風に。
料理以外にも地酒や隠岐島民から親しまれるふくぎ(クロモジ)の皮を漬け込んだ「ふくぎウィスキー」など、お酒好きなら試さずにはいられない美酒も魅力。料理とお酒を通して、隠岐島の自然を新たな視点で楽しむことができます。Entôのダイニングは事前予約制でディナーだけの利用も可能。海士町に訪れた際は、ぜひ利用してみてください。
※メニューは変更する場合がございます。
好奇心をくすぐられる展示室やライブラリー

Photo by Kentauros Yasunaga
ジオパークの拠点施設であるEntô。隠岐について学べる展示室 Geo Room“Discover”を併設しています(入場無料)。ミニチュア模型や年表でわかりやすく地球と隠岐の成り立ちや島前3島の魅力を知ることができる場。ここで予習をしておくことで、その後の島探索がもっとおもしろくなるはず。

本館BASE1階、温泉の横にあるライブラリーは町内に数ある中央図書館分館のひとつ。島に住むすべての人が気軽に立ち寄れるパブリックスペースになっています。ゆっくり本を読めるスペースがいくつも用意されているので、ソファに座って読むもよし、客室に持って行って読むもよし。いつもとはちょっと違った特別な読書時間に浸ることができます。

島民の作業スペースとしても使われている憩いの場。

みんなのおすすめ本カードチェックして。
一歩外に出ると広がる隠岐の大自然

Entôの魅力はなんと言っても気軽に大自然を堪能出来るところ。晴れた日の夜にはエントランス前の芝生で焚き火が行われることも。ディナーの前後、火を眺めながらひと息入れたくなります。
翌日、朝早く起きたので宿の近くを散歩。歩いてすぐ菱浦湾に出れると聞いて行ってきました。

緑に囲まれた道を歩くこと5分……。

エメラルドグリーンの海が眼前に!
明治時代の文豪でギリシア生まれの小泉八雲は、隠岐を訪れた際に菱浦湾を気に入り、鏡のように穏やかで美しい入り江の景色に「鏡浦」と名付けたそう。昔も今も人が心を動かされる景色は変わらないことを実感します。どこまでも青く透き通った水面に心が洗われるようでした。
近くにレンタサイクルできる場所もあるので、自転車で近隣を散策するのもおすすめです。
「本来の自分」に還る旅

Entôの由来は『遠島』。文字通り「遥か彼方、遠く離れた島」そして「島流し」を意味します。古くから遠流の地と定められた隠岐。離島でありながら豊かな湧水に恵まれていて、飢えたり、生活に危険を覚える場所ではなかったことから、後鳥羽上皇や後醍醐天皇など、高貴な方々が隠岐に流されてきた歴史があるそう。大衆から遠く隔てられ、便利とはかけ離れた地で自分の身ひとつ、心ひとつに向き合うことの重要性を、昔の人は知っていたのかもしれません。
さらに、Entôの「^(サーカムフレックス)」は、コンセプトである「地球にぽつん」を表現しているのだとか。都心から離れ、フェリーに揺られて遥々たどり着く体験、この"遠さ"こそが、このホテルの価値だとされています。どこまでも続く海の先、水平線にぽつんと浮かぶ姿は、小さくても存在感を放っています。

ライブラリーに置いてあったメッセージカード。「あなたがこれから大事にしていきたい‟問い”は何ですか?」
ないものはない、だけど、あるものはある。自分が本当に大事にしたいもの、忙しさから蔑ろにしていること。見えなくなっていた“まっさらな自分”を、思い出させてくれる宿、Entô。ぜひ一度は訪れて、この新しい贅沢な時間を体感してみてください。
施設情報
photograph & text:Liniere.jp
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