CULTURE
:【女子旅 隠岐諸島】 神秘的な離島でリフレッシュ! 世界が認める自然の驚異と文化遺産を巡る
CULTURE
:北海道で見られる植物と沖縄で見られる植物を同時に見ることができる、そういった特殊な植物分布が虫や動物にも影響し、あらゆる場所の生き物が共生している不思議な島である隠岐諸島。
「ユネスコ世界ジオパーク」に認定されている日本唯一の離島でもあります。そんな隠岐特有の自然を存分に感じられるおすすめのスポットをお届けします!
隠岐諸島の成り立ち
島根県観光振興課
「ユネスコ世界ジオパーク」に認定された火山活動で誕生した隠岐は、長い年月、波や風の浸食を経て今の姿に変化してきました。自然が織りなす美しい景観は世界でも有数だといわれており、それぞれの島に名所や絶景スポットが満載です。
隠岐諸島は4つの有人島からなり、一番大きな島である島後(どうご)に対して、他の3島をまとめて島前(どうぜん)と呼びます。島後と島前は少し距離がありますが、島前3島は島後と比べて、島の距離が近く行き来しやすいのが魅力。今回は、各島のおすすめスポットを紹介します。
「ユネスコ世界ジオパーク」とは?
世界的にみても独自性があり、価値があると認められた地質遺産があるエリアのなかで、それらの価値を保全し、次世代に向けた教育活動を行い、持続可能な経済活動につながる取り組みをしている地域のこと。隠岐諸島は大小あわせて、約180もの島からできており、人が住む島は4島。これらの島とその周りを囲む海域がジオパークとして認定されています。
島後島にある神秘的パワースポット・壇鏡の滝
真っ直ぐ力強く流れ落ちる雌滝。
島後にある横尾山を源流とする那久川の滝「壇鏡(だんきょう)の滝」。日本の滝百選・名水百選にも選ばれている壇鏡の滝湧水は、「長寿の水」「勝者の水」とも呼ばれています。
鳥居をくぐり、老杉に囲まれた渓流沿いの参道を歩くだけで、とても清々しい気持ちに。そして奥まで進むと、那久川の上流、岩壁の左右に高さ50mの雄滝と40mの雌滝が流れ落ちています。
雄滝は、滝の裏側(滝つぼ側)から流れ落ちる水をみることができる「裏見の滝」としても知られています。
雄滝。二つの滝の間にはこじんまりとした古くからある壇鏡神社も。
季節ごとに変わる景色を楽しむ
珍しい植物や生き物がたくさん見られる隠岐では、季節ごとに景色が変わります。
ぜひ視線を色んな場所に巡らせて、隅々まで観察してみてください。
葉に乗る小さな花を、船頭に見立てて命名された「ハナイカダ」。
夏から秋にかけて周囲をオレンジ色に染めるという「オニユリ」。
老杉がそびえ立つ滝までの参道。木々の間からやさしい光が差し込む。
壇鏡の滝
島根県隠岐郡隠岐の島町那久
西郷港より(車で約40分)
西郷→(県道44号線)→都万→(県道44号線)→那久→(村道壇鏡線)→壇鏡の滝
TEL:08512-2-0787(隠岐の島町観光協会)
後鳥羽上皇の半生を辿る海士町・隠岐神社
鎌倉時代、海士町に本拠を移した後鳥羽上皇を祀る「隠岐神社」。1939年(昭和14年)、後鳥羽天皇の崩御700年祭の年に、御神徳を広めるために創建されました。後鳥羽上皇といえば百人一首『人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は』(人が愛しくも思われ、また恨めしく思うこともある。この世をつまらなく思う、悩んでしまうこの私にあるのだなぁ)の句で有名ですが、これを詠んだのは33歳のときだとか。
歴史上の転換点ともされる日本史上初の朝廷 VS 武家政権による戦い、承久の乱に敗れた後鳥羽上皇は、60年の生涯を閉じるまでの19年をこの場所で過ごし、二度と京に戻ることはなかったといいます。隠岐神社は比較的新しい神社で、ご利益は「繁栄」。本殿が隠岐造りと呼ばれる隠岐の伝統的な建築様式で造られており、重厚で厳かな雰囲気を感じとることができます。
後鳥羽上皇の仮御所である行在所跡。
和歌に秀でていた後鳥羽上皇が和歌に読み込んだ「勝田池」。
周辺には、後鳥羽上皇が住まいとしていたお寺の跡地や当時の後鳥羽上皇がどのような思いで過ごしていたのかを垣間見ることができるスポットも。
また神社の前には、後鳥羽上皇に関する歴史的遺物を展示した「後鳥羽院資料館」 も併設しています。隠岐神社の参拝は無料。併設の後鳥羽院資料館は大人300円、子ども150円で入館できます。
隠岐神社
島根県隠岐郡海士町海士1784
菱浦港より車で10分
島内巡回バス海士島線「隠岐神社」下車徒歩1分
TEL:08514-2-1470(後鳥羽院資料館)
大自然が生み出したアートを間近で観察・国賀海岸
西ノ島にある浦郷港観光交流センターから、隠岐諸島を代表する景勝地「国賀海岸」を遊覧船で巡ることができます。
途方もない時間をかけ大自然が創り上げた、大小の奇岩群や洞窟群を間近で見るのは圧巻。特に高さ257mの大断崖「摩天崖」は必見です。海上から見ると、角度や高さがより壮大に感じられます。
「明暗の岩屋」内から外を撮った図。
「明暗の岩屋」は内部の長さがおよそ200mの海蝕洞窟で、船で通り抜けできる世界的に見ても非常に珍しい洞窟。特に凪の日にしか通り抜けることができないため、通り抜けることが出来た人は願いが叶うともいわれています。
「亀岩」と呼ばれる亀の形をした岩。
国賀海岸の奇岩「赤壁」。
昼に見ると、海に佇む百済観音像のようにも見える「観音岩」の神々しさ。
こちらは国賀海岸の中でもひときわ細長くそびえ立つ奇岩。海上からは百済観音の姿に見えることから「観音岩」と呼ばれていますが、西ノ島町の陸上からは日が沈むころに、火が灯ったろうそくに見えることから別名「ローソク岩」とも。観音岩がローソクのように見える時期である春と秋、4月中旬から6月上旬 、8月上旬から9月上旬が見頃です。
国賀めぐり定期観光船(西ノ島町)
運航期間:3月21日~10月31日の毎日
出発時間:[1]8:30 [2]10:50 [3]13:00 [4]15:00(所要時間:約1時間30分)
※[1]は7月13日~8月31日のみ運航
集合場所:浦郷港観光交流センター
乗船料金:大人:4,000円、小人:2,000
TEL:08514-7-8412(隠岐観光株式会社)
観光船の詳細はこちら↗(WEB予約可)
摩天崖遊歩道で自然の中をハイキング
時間に余裕がある方は国賀海岸の摩天崖遊歩道のハイキングもおすすめです。摩天崖から国賀浜にいたる約2.3km、高低差約250mにわたる遊歩道で、放牧地帯に位置し、読売新聞の遊歩百選にも指定されています。
海上から見るのとはまた違った迫力がある摩天崖。
片道70分のショートコースでも、ここでしか見られない摩天崖の全容を見ることができます。この日は猛暑であまり見かけることができませんでしたが、牛馬の草を食む姿も見られるそう。春から秋にかけて、オキタンポポ・オキノアザミなどの隠岐特有の草花や上空を飛び交うアマツバメなど多くの動植物を観察できるとのこと。
道はやや歩きづらい箇所もありますが、全て下りのコースで、ハイキング経験が浅い方や高齢の方にも負担が少ない道になっています。ほかにも、上級者向けコースなどもあるので、自分に合った工程で組み込んで。
摩天崖遊歩道
島根県隠岐郡西ノ島町浦郷
車の場合国、別府港から賀海岸駐車場まで約15分、別府港から摩天崖駐車場まで約25分
別府港から営バスで約35分「国賀」バス停で下車
コース詳細はこちら↗
ヨーロッパの大草原を思わせる知夫村・赤ハゲ山
赤ハゲ山は隠岐諸島南部にある知夫里島の西に位置します。標高325mの山頂の展望台からは、島根半島から島前・島後の島々の大パノラマを一望することができます。
さらに頂上付近で水が湧いているため、山の上ではたくさんの牛が放牧されています。どこまでも続く海と空、清々しい草原に、のびのびと生きる牛たちの風景はどこか日本離れしていてヨーロッパを思わせます。4月下旬~5月上旬には、淡紫色の野だいこんの花が一面に咲くのだとか。
知夫里島の牛は完全放牧で雌のみ。人や車が近づいても堂々とした佇まい。
子牛と思われる小さい牛も。
約600万年前に形成された島前カルデラの景色。
知夫里島は隠岐4島で唯一、タヌキが生息している島だそう。なんとその数、人の数より多いとも!
こんな微笑ましいシーンにも出合えます。
隠岐郡知夫村・赤ハゲ山
来居港から徒歩1時間または車で20分
TEL:08514-8-2272(知夫里島観光協会)
600万年超の歴史をもつ大地の軌跡と絶景・赤壁
赤ハゲ山からしばらく歩くと目の前に大きな崖が。「赤壁」は島の西海岸線に位置する高さ50から200mの絶壁。1935年(昭和10年)に国の名勝天然記念物に指定され、国の特別保護地区となっている景勝地です。日本海の荒波に荒々しく削られた約1kmにわたる赤褐色の岩肌は、季節や時間帯によって様々な表情を見せてくれます。
崖に近づくにつれ、崖の下から吹き上がってくる風を強く感じます。
約630万年前の噴火で日本海に姿を現した隠岐諸島。赤壁は、噴火した火山の火口が侵食されてできた断面です。赤い色は噴火で飛び出した溶岩のしぶきの鉄成分が酸化して生じたもので、繰り返し噴き上がったしぶきによって縞模様ができました。
ドラマチックな赤壁は隠岐諸島で最も印象深い景観であり、知夫里島を象徴する風景の一つになっています。
国指定名勝 隠岐知夫赤壁
島根県隠岐郡知夫村
来居港より車で25分+(遊歩道)徒歩5分
TEL:08514-8-2272(知夫里島観光協会)
グルメ情報
旅といったらご当地グルメ。島の恵みがいっぱい詰まった隠岐の海鮮や隠岐牛……。
ここだけは外せない! という2店を編集部員がピックアップ。
白バイ貝をはじめとする隠岐ならではの贅沢海鮮丼!
島後にあるイチオシのお食事処。隠岐近海の新鮮な魚貝類を中心とした和食料理と、隠岐そばなどの郷土料理をいただけます。店内はテーブルと座敷があり、少人数でもグループでも落ち着いて過ごせる空間になっています。海鮮に合わせた地酒も豊富。
写真は味乃蔵丼。隠岐の特産である白バイ貝、ブリ、カツオ、いさき、タイをふんだんに使った贅沢な海鮮丼。このボリュームでなんと2,200円! ぜひ本場の海鮮を味わってみて。
お食事処 味乃蔵
島根県隠岐郡隠岐の島町西町八尾の一16
西郷港より徒歩6分
ランチ 11:00~14:00(L.O. 13:30)
ディナー 17:30~22:00(L.O. 21:30)
定休日:月曜日・年末年始
TEL:08512-2-3975
ここでしか味わえない! 世界で唯一の隠岐牛専門店
一般市場にほとんど出回らない幻の牛「隠岐牛」が食べられる世界で唯一の隠岐牛専門店。海士町・菱浦港のすぐ近くにあります。写真は隠岐牛 焼肉重 2,600円。ジューシーながら胃もたれしないお肉に高級感あふれるお重。これでこのお値段はあまりにもリーズナブル……!
島生まれ島育ち隠岐牛店
島根県隠岐郡海士町大字福井1368
菱浦港より徒歩2分
ランチ 11:00~13:30
ディナー 17:30~21:30(L.O.20:45)
精肉販売 10:00~14:00、17:00~20:00
定休日:日曜日、臨時休業あり
TEL: 08514-2-1522
公式HPはこちら↗
様々な時代を経て約1万年前に離島になった隠岐。その時間と地質が育んだのが、今も存在する不思議な生態系です。
隠岐の自然は世界的に見ても大変珍しく、北海道で見られる植物と、沖縄で見られる植物が同じ場所に生きていたり、大陸性、高山性、氷河期の植物までもが同じ場所で共存しているなど、その原因ははっきりとは解明されておらず、今も多くの謎が秘められているそう。そして、その独自の植物分布にならって昆虫や生物が集まり、不思議な生態系を形成しています。
知れば知るほど、神秘的で奥深い隠岐諸島。訪れてみればきっとその魅力に惹き込まれるはず。
島から島への移動はフェリーで。本数が限られているので、時間に余裕をもって、計画的な旅行がおすすめです。
photograph & text:Liniere.jp
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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