CULTURE
:「舞台は初めての挑戦。今は毎日が楽しい」
舞台『シッダールタ』中沢元紀さんインタビュー
CULTURE
:ヘルマン・ヘッセの名作を原作とした『シッダールタ』で、初の舞台に挑む中沢元紀さん。父への複雑な思いを抱える役を演じながら、日々成長を実感していると話します。
稽古場での発見、役と向き合う時間、共演者とのやりとり…。舞台ならではの濃密な日々について伺いました。

すべてを吸収するつもりで、
稽古に臨んでいます
「すべてが初めての経験。いまは毎日が楽しいです」
——舞台『シッダールタ』で、初めての舞台に挑む中沢元紀さん。現在は稽古の真っ最中。初めてづくしの日々のなかで、着実に手ごたえを感じているそう。
「稽古のなかでお芝居や動きが変わっていくこともありますが、何が一番いいのかをみんなでアイデアを出し合いながら最適解を探っていく過程が楽しいです。僕はひとつのことを突き詰めるのが好きなタイプなので、“考えて考えて試す”という作業は性に合っていて。今は、すべてを吸収するつもりで稽古に臨んでいます」

——もともと舞台には、いつか立ってみたいという憧れを抱いていたそう。
「舞台を中心に活動している役者さんたちは、本当に芸達者で素晴らしい方ばかりという印象がありました。もちろん映像には映像ならではの魅力がありますが、舞台ではひとつのお芝居をじっくり深めていけるところに惹かれています。出演が決まったときはうれしかったですし、稽古が始まるのが待ち遠しかったです」
——『シッダールタ』の原作は、ノーベル文学賞受賞作家、ヘルマン・ヘッセの代表作。裕福なバラモン階級の子として生まれたシッダールタがその生活に疑問を抱き、深い叡智を求めて旅に出て、出会いと別れを経た末に悟りへと至る物語。「自分自身とは何か」「人間とは何か」「混沌とした世界の中で、どう生きるべきなのか」といった、壮大なテーマが描かれます。主人公・シッダールタを演じるのは、確かな演技力で数々の作品に存在感を残してきた草彅剛さん。中沢さんは、シッダールタが思索を重ねていく過程で、大きな影響を与える“息子”の役を担います。
「父であるシッダールタは、かつて宮殿で裕福に暮らしていた人。その立場を捨ててから生まれた息子なので、『本当は自分も裕福な生活ができたはずなのに』という思いも抱えています。ただ、一方で父親からの愛もたしかに感じている。そのもどかしさや愛情を求める気持ちを表現して、単なる反抗期の息子にならないようにしたい。息子という役割をしっかり僕が果たすことで、作品にもう一段階、深みが出ると思っています。とくに父親と対峙するシーンは重要なので、演出の白井晃さんとも一対一の稽古を重ねながら、さらに深めていきたいです」

——父親役である草彅さんとは、今回が初共演です。
「普段接しているときは、みんなが知っている草彅さんのイメージのままなんです。でも、本読みを始めて役に入った瞬間に空気が一変して。シッダールタそのものだったので、やっぱりすごいなと圧倒されました。まだ稽古の序盤なので、シッダールタとの親子関係はこれから本格的につくっていくところですが、今からとても楽しみです」

——プライベートでは、料理好きな一面ももつ中沢さん。「リンネル.jp」では料理人の笠原将弘さんのもとで料理を教わる「中沢元紀の板前さん入門」も始まったばかりです。
「公演中はちゃんと自炊したいと思っています。体をけっこう動かすので、栄養のあるものを食べて体調管理をしないと。野菜もお肉もとれて、体に良さそうな蒸し料理なんていいですよね。疲れを取るためにも夜はお風呂に浸かって、ストレッチや整体で体のケアも欠かさないようにしたいですね。東京公演から兵庫公演まで、同じお芝居を 60公演以上できる機会はなかなかないだろうし、自分の引き出しが増えるのが楽しみ。終わったときには、きっと成長した自分になっていると思います」

Profile
中沢元紀
2000年生まれ、茨城県出身。2022年、WEBCMドラマ「メゾンハーゲンダッツ~8 つのしあわせストーリー~」で俳優デビュー。2025年放送の連続テレビ小説「あんぱん」に出演し、注目を集める。主な出演作に映画『沈黙の艦隊』『ファストブレイク』『君の顔では泣けない』、ドラマ「下剋上球児」「ひだまりが聴こえる」「最後の鑑定人」など。公開待機作に映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』(12月5日公開)がある。
作品情報

舞台 シッダ|ルタ
ドイツの作家、ヘルマン・ヘッセの最高傑作「シッダールタ」を舞台化。「シッダールタ」の壮大な世界観をベースに、現代を映す舞台へと昇華。情報の氾濫、価値観の変容、哲学の喪失によって混沌とした世界の中で、自我とは何か、他者とは何か、個のアイデンティティとは何かを、作品を通して映し出していく。
作:長田育恵/演出:白井 晃/音楽:三宅 純/出演:草彅 剛、杉野遥亮、瀧内公美、鈴木 仁、中沢元紀、池岡亮介、山本直寛、斉藤 悠、ワタナベケイスケ、中山義紘、柴 一平、東海林靖志、鈴木明倫、渡辺はるか、仁田晶凱、林田海里、タマラ、河村アズリ
松澤一之、有川マコト、ノゾエ征爾
東京公演:2025年11月15日(土)~12月27日(土)東京・世田谷パブリックシアター
兵庫公演:2026年1月10日(土)~1月18日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
舞台『シッダールタ』公式HP
シャツ¥41,800円、パンツ¥39,600円/ホワイトマウンテニアリング(ホワイトマウンテニアリング)シューズ¥42,900円/マルボー(オーセンティック・シュー&コー)
全て税込価格
photograph:Chihaya Kaminokawa styling:Tomoko Tanaka styling assistant:Airi Nishida hair & make-up:Akihito Hayami text:Hanae Kudo
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