LIFESTYLE
:【ヴィンテージ賃貸マンションをDIY】実は壁も、床も、棚も、扉も…自分たちでつくる好みのインテリア(素敵なおうち訪問:長野宏美さん宅後編)
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素敵なおうちを訪ね、家づくりにおいてこだわったところやお気に入りのポイントなどをお聞きする連載「素敵なおうち訪問」。
今回訪れたのは、都内のヴィンテージマンションにて、家族三人で暮らしている編集者の長野宏美さん。こちらの後編では、夫婦で手がけた賃貸DIYについて、こだわりと工夫を教えていただきました。
長野宏美さんのおうちDATA


・世帯人数:三人暮らし
PROFILE
長野宏美さん(編集者・PR)
株式会社となりの代表。日本各地のものづくりや、暮らしにまつわる取材と執筆、PRを手掛けるなど幅広く活躍中。一児の母。
Instagram:@hrm_ngn
リビングの壁や床をDIYで心地よく
ものづくりや暮らしにまつわる編集・PRの仕事を行う長野宏美さんが暮らすのは、都内築44年のヴィンテージマンション。竣工当時のディテールが残る、趣ある住まいです。

そんな空間がとびきり素敵に映る理由は、夫婦のこだわりが詰まったDIY。ヴィンテージマンションの設えをいかしながら、壁や床を自分たち好みに整え、家具まで手づくり。暮らしながら少しずつ、自分たちらしい空間に育てています。
重厚感のあるウッディーな壁紙

壁にかかる、馬がモチーフのアート作品もお気に入りの一つ
リビングの壁一面には、海外サイトから取り寄せたはがせる壁紙をセレクト。もともとの柱や窓枠の木色と合わせて、深みのある色を選びました。
深みを感じさせるフロアタイル

リビングと廊下には、タイル調のフロアシートを敷いています。そのままだと一枚あたりのタイルのサイズ感が大きかったようで、一枚のタイルを1/4サイズにカットしたうえで、間に白い目地棒を挟みながら敷き詰めていったそう。ここにもさりげないDIYの工夫が光ります。

暮らしにフィットする手づくりの家具
さらに、いくつかの家具は手づくりで。サイズや質感、使い勝手まで、自分たちの暮らしにぴったり合うものをつくれるのも、既製品にはないDIYの醍醐味です。
壁付のタイル調シェルフ

ショップの什器をイメージしてデザインしたそう
リビングで一際存在感を放っているのが、アートや植物を飾っているタイル調のシェルフ。パートナーの自信作だそうです。
「カラーボックスを連結して、引き出しを取り付け、上からタイルを貼っています。収納下は、ちょうどレコードを収納できる高さに設定して、ステンレスの脚をつけて。夫から完成のイメージを聞いたときは、どんなものになるか全く想像できませんでしたが、面白いアイディアですよね」

実は引き出しになっていて、収納としての機能も
夫婦の思い出が詰まったレコードラック

夫婦として暮らす前に、初めて一緒にDIYをしたのがこちらのレコード棚。前のおうちから大切に持ってきたものです。
「初DIYの作品なので、今じっくり見ると粗が目立ちますが、それもいい思い出です(笑)。制作過程では、最初に用意した木材が薄すぎて、レコードの重みに耐えられなかったので厚みを足したり、想定外のハプニングもありました。今の住まいにもすっかりなじんでくれてよかったなと思います」

和室の押し入れの扉や襖もDIY
リビングに隣接する和室は、夫婦のワークスペース。収納スペースを増設するべく、奥にあった押し入れには、新しく手づくりの扉を設けて、空間全体の雰囲気を一新しました。

備え付けのエアコンを避けて新たに壁と扉を設置。畳の上にカーペットを敷いてやさしい雰囲気に
「大きな板とラタン編みの生地を用意して、両開きの扉を手づくりしました。アール(曲線)のついた窓をあしらいたかったので、長細い木材をカットして、細かなパーツを組み合わせて扉にしています」

窓からラタンの生地が見えるように裏から貼りつけた
さらに、同じワークスペースにあった襖の扉を一枚外し、新しく扉を手づくり。

「デスクの後ろが襖だったので、リモート会議のときに背景がちょっと気になってしまって…。それで、新しく仕切りをつくることにしたんです。造りは意外とシンプルで、細い木材を一定の間隔で並べて格子戸を作り、もともとあった鴨居レールに合わせて下方に戸車を付けるだけで、きちんと開け閉めできるようになりました。今は向こう側が見えるデザインにしていますが、ロールカーテンをつけるのもいいかもね、と話しています」
リビングを象徴するアート作品も夫婦で手づくり

驚くべきことに、リビングの壁に掛けられた大きなアート作品も、夫婦で手づくりしたものだという。ウィンドウショッピング中に見かけた絵に一目惚れし、二人で再現したそう。
「絵は立体的なタッチで描かれていて、調べてみると塗料に重曹を混ぜれば同じような質感が出せることがわかったんです。色付けは茶色をベースに、途中で少しグレーを足してみたり。塗りすぎた部分には白を重ねて戻したりと、二人で話し合いながら、好みの仕上がりに近づけていきました」
また、アートの上には、作品をやさしく照らすライトも取り付け、美術館のような雰囲気を演出。自宅にいながら、アートを楽しむ豊かな空間が広がっています。

「“いい”と感じた部分を言語化して、お互いに壁打ちしながら一つのものをつくっていく。そんな作業はとても楽しいものです」
賃貸DIYの魅力や工夫、インスピレーション源
今の住まいに引っ越してきて一年。夫婦で少しずつ手を動かしながら、心地のよい空間に整えていきました。
「夫は、欲しいものや素敵なものと出合ったら、『こうしたら自分でつくれるかも』と考えます。はじめはその発想に驚きましたが、探してみれば、自分たちの理想を叶えるための素敵な材料やパーツがたくさんあることを知りました。材料を揃えて組み合わせたり、工夫次第でわが家にぴったり合うものをつくれることが面白いなと」
DIYをするときに大切にしていることは、「原状回復できること」と「色のバランス」だそう。
「やっぱり賃貸なので、元通りに戻せることをしっかり意識しています。また、扉や柱など、もともとのおうちの色とちぐはぐにならないよう、色のバランスにも気をつけました。濃淡やトーンの差が出すぎないように、できるだけなじむような色選びを心がけています」

夫婦ともにインテリアが好き。ちょっとした好みの違いはあるものの、そのたびにお互いの希望をしっかり話し合い、毎回チューニングしながら空間をつくっているそうです。「そのプロセスもまた楽しいんです」と長野さんは笑います。インスピレーションの源は、昔の映画の中にも。
「Pinterestで、自分の好きなインテリア写真をコツコツ集めていました。特に、80〜90年代の映画に登場するような西海岸のインテリアに影響を受けたと思います。夫も私も、『いつかこういう雰囲気のおうちに住んでみたい』と温めてきた想いがあって、今、それぞれの時間やアイデアを持ち寄りながら、少しずつその理想に近づけている。だからこそ、楽しめているんだと思います」

「夫は今、新しいレコード棚をつくりたいと言っていて。私としては、子どもがこれからどんどん動き回るようになるので、プレイスペースも設けないと、と思っています。そうなると自然と間取りや部屋の使い方も変わってくるので、そのタイミングでまた新しいものをつくったり、手を加えたりできたらいいなと考えています。夫婦ともにつくることが好きだから、子どもの成長に合わせて、家族みんなで楽しく過ごせる空間を整えていきたいです」

家族三人のこれからについて話してくれた長野さん。家族の変化に寄り添い、自分たちで手を加えながら、住まいも日々の暮らしも丁寧に育てていくことの楽しさを教えてくれました。
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photograph:Tsubottle edit & text:Riho Abe illustration(間取り):Kayo Yamaguchi
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