堀込泰行さんにアルバム『FRUITFUL』についてお話を伺いました。ソロになってから待望の3作目となるオリジナルアルバムの音に込められた背景とは。
鬱陶しいくらい色濃いこの季節の緑を表現しました
キリンジのメンバーとしてデビュー以降、心地よいメロディやヴォーカル、そして洗練されたサウンドで多くのリスナーを魅了している、堀込泰行さん。3作目となるアルバム『FRUITFUL』は、ご自身初となる共同プロデューサーを迎えて全曲制作した一枚になっています。
「僕は、いろんなタイプの音楽を作る人間なので、それらすべてを満遍なく納得できる音に仕上げてくれる人が少ないと思っていました。だからといって複数のプロデューサーを迎えてしまうと、統一感のないものになってしまいそうで⋯⋯。だったら、僕の信頼のおけるミュージシャンの方々に協力してもらおうと」
当初は、スタジオに集まってアイデアの交換をしていたそうですが 、コロナの影響で思うような作業ができなくなってしまったとか。
「リモートでの作業は、細かいニュアンスを説明することが大変で。言葉が長すぎるとややこしいことになるし、 短いと誤解が生じてしまう。だから最初は難しさを感じましたが、やりとりを重ねるうちに、それぞれの役割が明確になってきて、僕はヴォーカルやコーラス、作詞に集中することができた。そこからは効率的に作業が進行していった気がします」 また、収録曲の「光線」では、ハナレグミやレキシなどにも楽曲提供をしているシンガーソングライターの阿部芙蓉美さんが作詞を担当。第三者の目線から堀込さんの表情をとらえています。
この季節ならではの心地よい風が
吹き抜ける一枚
「以前から、すべての曲の歌詞を自分で作らなくてもいいのでは?と考えていて、そうしたいと思う人がいたらお願いしようと思っていたんです。 阿部さんの言葉は、繊細でドライ、そしてシンプルだけど饒舌さを感じる。職業作詞家の方とは異なるユニーク さがあって、そこにひかれて今回お願いをしました。自分の作った歌詞同様、違和感なく歌えましたね」さまざまな視点を交えて描かれたアルバムは、堀込さんらしいポップ 曲もあれば、斬新なロックもあり、多彩な構成であるものの、不思議と統一感があるというか。この季節ならではの心地よい風が、全体を通して流れているような気がしました。「5月、特にGW周辺の鬱陶しいくらい色濃い緑が風でカサカサ揺れている中を自転車で通り抜けていく感じが好きで、それを『5月のシンフォニー』という楽曲で表現したんですけど。これを筆頭に、閉塞感が漂う現代で、それを少しでも忘れられるような作品になればと思います」
PROFILE
ほりごめ・やすゆき/ 1997年に兄弟バンド「キリンジ」のメンバーとしてデビュー。 13年に脱退、翌年ソロ活動を本格化。6月3日〜東名阪ツアーが決定。6月25日には、ヒューリックホール東京での公演を予定。
『FRUITFUL』
堀込泰行/¥3,300
日本コロムビア
共同プロデューサーに、冨田謙さん(キーボーディスト)、 八橋義幸さん(ギタリスト)、柏井日向さん(サウンドエンジニア)を迎えて制作。同じ歌詞とメロディでありながら サウンドの違いで異なる雰囲気を放つ、最初と最後を飾る「Stars」から、美しいメロディにうっとりする楽曲まで、甘い果実のようにずっと頰ばりたくなる一枚。
photograph:Shinichiro Oroku text:Takahisa Matsunaga
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