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:上田竜也さん「やっぱりチームが好きだと実感した」/初小説上梓記念単独インタビュー
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10年前、KAT-TUN時代から温めていたという初めての小説を今年6月に発売した上田竜也さん。その物語は、どうやって生まれたのか、そして最近のプライベートまでたっぷり語っていただきました。

「グループに貢献したい、最初はその想いで書き始めました」
小説『この声が届くまで』を書き終えたとき、上田竜也さんがまず感じたのは「もうパソコン見なくていいんだ」という安堵の気持ちだったそう。引っ越し作業が終わった直後のような、「ようやく終わった」という感覚に包まれたと言います。
「なんか達成感というより、“もういいんだな”って。ずっとちょいちょい直しながら繰り返してきて、ようやく全部終わったって感じでした。やっぱりストーリーをちゃんと作り上げることが一番大事で、そのあとの修正作業はずっと続いていましたね」
物語の構想は10年以上前。物語の冒頭と結末は当時すでに決まっていたいたと言います。主人公たちの設定が30歳前後なのは、上田さん自身のリアルな感覚と重なっていたからでしょうか?
「昨年の春くらいから本格的に動き始めて、冒頭と結末は決まっていたし、なんとなく流れは頭にあったんだけど、中盤をどう広げようかなって悩んでました。主人公たちの年齢は、普通だったら、夢を諦めるのってもっと早いと思うんですけど、俺らの世界では28とか29でもまだ全然がんばってる人がいるから、年齢より上を想定してみたんです。自分が聞いてきたこと、経験してきたことも含めて、説得力が出る年齢だった気がします」
けれど実は、小説を書こうと思った原点には「グループに貢献したい」という想いがあったと話す上田さん。メンバーが抜けた時期、自分にできることは何かを考えて、物語という手段を選んだそうです。
「実写化されたり漫画になったりして、グループが主題歌を歌ったりすることで還元できれば面白いなって。だから小説を書くというモチベーションがあったというよりは、物語を作ることが先にありました。最初はスポーツものとバンドもの、二つ候補があったんですが、バンドの方が“続きが気になる”って編集の方が言ってくれて。それに、自分しか知らないことがこの世界にはたくさんある。だからこそ、ちゃんと説得力を持たせられると思ったんですよね」
「やっぱり、チームが好きだと実感した」
物語の構想や方向性について、誰かに相談することはなかったのかという問いには、「そもそも選択肢がなかった」と笑いながら話してくれました。また小説を書いていくなかで、自分にとって大事な価値観に改めて気づいたことがあったそう。
「本当に一人で黙々とやってました。途中から誰か入ってきたらごちゃごちゃになるし、自分で決めたい性格なんですよ。アドバイスをもらっても、それを使わなかったときに相手が嫌な気持ちになるかもしれないし。それもあって、人には相談しなかったですね。あと、やっぱり俺はチームが好きなんですよ。何かを乗り越える達成感って、一人じゃ味わえないでしょ。ライブも、ダンサーもスタッフも、みんなで“横一列”でやるのが理想。今回改めてそう思いました。本を作る作業も、CD作るのと似てるのかなと思ってたけど、まったく違いましたね。プロの人たちの感性とか意見がすごく面白かったし、自分では気づけないこともたくさん教えてもらいました」
上田さんにとって、文字を書くことは視覚的なイメージを言葉に置き換える作業でもあったとか。
「俺の脳みそ、基本的に映像でできてるんですよ。カメラ割りとかアップとか、全部決まってる。それを言葉でどう表現するかっていうだけ。“ここでアップ”“ここでリアクション”って。小説というより、“映像の翻訳”みたいな感覚でしたね。それに活字アレルギーみたいなとこあるんで。説明が長いと読めないんですよ(笑)。だから、セリフ中心でテンポよく、読みやすくっていうのは最初から意識してました」
「表紙デザインにもこだわりました、中途半端がいやなので」
小説の執筆は、新幹線や飛行機の移動中、または夜中にふと思いついたときに行っていたとか。長い時間をかけて完成した作品ですが、お手元に届いた感想は?
「夜中にふっと浮かんだときに書いたシーンもありますし、ツアー帰りの新幹線で集中して書くこともありました。ずっと打ち込んできたことなので、初めて現物を見たときは“おおっ”てなりましたね。ああ、自分が書いたものがちゃんと商品になったんだって。ただ、書店に本が並ぶと思うと嬉しさよりも違和感のほうが先に来ますね。もちろん嬉しいんだけど、“小説家?”って、自分でも思うし(笑)」
表紙やキャラクターのイラストにも、強いこだわりを持って臨んだそうです。イラストレーターさんとは綿密な打ち合わせを重ね、キャラクターの性格や雰囲気、服装まで具体的に伝えていたと話します。
「龍のキャラについても、ワイルドさとか色気とか、こういう感じがいいってたくさん伝えました。キャラの資料とかも集めて、身長や服装のイメージも全部自分のなかにありましたね。打ち合わせでも、“前髪はもう少しこう”みたいな細かい注文もさせてもらいました。たしかに、そこまで関わらない人もいるかもしれないですが、俺は、自分のイメージ通りのものができないと嫌なんですよ」
そんな上田さんですが、実は活字が苦手で、人生で読んだ小説は2冊しかないとのこと。その2冊も、最後まで読み切れていないそうで……。
「ひとつは高校のときに読んだ『バトル・ロワイアル』。漫画も小説も全部買ったんだけど、小説は途中で断念しました。描写が激しくて、ちょっとキツくなっちゃって。もう一冊は『フランダースの犬』。アニメがすごく好きで、細かいところが知りたくて小説も買って、今も家に置いてあります(笑)。俺、世界名作劇場が大好きなんです。『アルプスの少女ハイジ』とかも好きだし」
と意外な一面を披露。また「活字が苦手」でも自作の小説はすでに何度も読み返しているそう。
「確認のつもりで読み始めたら、結局最後まで読んじゃったんですよ。“ちょっとだけ読もう”って思ったのに(笑)。たぶん、自分で言うのもなんですがテンポよく読みやすいからかな」
「ストレス解消には、運動と源泉掛け流しの温泉」
校了日も深夜まで残り、読み通して自ら直していたという上田さん。ストイックそうなご性格から、つい「ストレスが溜まるのでは?」と聞くと「溜まりますよ、しょっちゅう」。
「ライブのこととか、仕事全体のこととか……理不尽なことを言われると、何言ってんだ? ってなる(笑)。でも、ちゃんと筋が通っていれば納得できることも多いです。『ああ、なるほどね』って、自分のなかでちゃんと落としどころがあれば、って感じです。言葉の裏に何があるんだろうって、けっこう考えちゃうタイプで。こういうふうに誘導しようとしてるなって気づくと、ストレスになります。本音で話してくれる人の方が、全然ラクです。喧嘩したとしても、そっちの方がストレスは少ないです」
そうした日々のストレスをどうやって解消しているのかを尋ねると、「運動」というお答え。上田さんは20代の頃からずっと体を動かしてきたと語ります。
「食事制限すると逆にストレスが溜まるので、運動してパーッと発散して、好きなもの食べて、が自分には合ってますね。自由に生きてる人の方が長生きすると思うんですよ。お酒飲んでタバコ吸って肉を食って、っていうおじいちゃんおばあちゃんの方が元気だったりするじゃないですか。そういうのを見てると、“ストレスが一番の敵なんだな”って」
そして、ストレス解消のもうひとつの手段が「温泉」。それも、かなりのこだわりがあるそう。
「最近、源泉かけ流しにこだわってます。やっぱ違うんですよ。香りとか、感覚とか。近場も行くけど、車で行く方が気楽ですね。仕事でどこか行ったついでに立ち寄ることもあるけど、空いた時間に“今から行こうぜ”って決めて行くこともある。温泉仲間がいるんで、だいたい何人かで調整して。やっぱ癒やされますよ、温泉は」
ときにテレビのままクールに、ときに柔らかい笑顔で。チームへの貢献のために紡ぎ始めたストーリーが形になり、それを読んで自ら「チームが好きと実感した」という上田さん。思わず感涙できる初小説は、ちょうど本屋さんに並び始めたところです。
初の著書『この声が届くまで』
お話を伺ったのは……上田竜也さん
上田竜也/うえだ たつや
1983年10月4日生まれ、神奈川県出身。アイドルグループKAT-TUNのメンバーとしてデビューし、歌手・俳優・タレントとして幅広く活躍。ドラマや舞台での演技力にも定評があり、独自のストイックな生き方でも注目を集めている。2025年6月、初めての小説『この声が届くまで』を上梓。
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text:Miho Arima
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