【私の住むまち、好きな場所。熊本城下町】 童謡「あんたがたどこさ」の舞台へ! ノスタルジックな城下町めぐり 【私の住むまち、好きな場所。熊本城下町】 童謡「あんたがたどこさ」の舞台へ! ノスタルジックな城下町めぐり
特集私の住むまち、好きな場所。LOCAL LIFE REPORT「あんたがたどこさ 肥後さ 肥後どこさ 熊本さ」ーー肥後手まり唄に登場する「センバ山」は、かつての熊本の城下町に実在し、そこにタヌキが住んでいたといわれています。
戦国武将・加藤清正、センバ山のタヌキ、そしてあの文豪まで、400年以上の歴史が息づく城下町は、のんびり散策するのにぴったりの町です。
熊本県在住の松永りえさんに、観光地の熊本城から少し足を延ばして、ガイドブックには載ってないディープな城下町を紹介していただきました。
熊本城下町を紹介してくれるのは…松永りえさん
まずは熊本城を望む「加藤神社」でパワーチャージ
まずは熊本城を見ないと始まらない!ということで、雄大な熊本城ビューが望める加藤神社へ。
熊本城は日本三名城の一つで、1607年に戦国武将・加藤清正が築きました。
2016年の熊本地震で、大きな被害を受けましたが、大小の天守閣や重要文化財の宇土櫓(うとやぐら)は、ここまで復興を遂げています。完全復興まではまだ時間がかかりますが、この復興の経過も今しか見られない景色ですね。
加藤神社は加藤清正を祀った神社で、熊本城の北側に位置しています。
清正公が武将として負け知らずだったことと、「加藤=勝とう」にちなんで、勝負運や受験などのご利益があるとされています。境内には出世運を上げる橋もあるので、これもぜひ渡っておきましょう!
ちなみに熊本県民は、清正公のことを愛情をもって「せいしょこさん」と呼んでいるんですよ。
加藤神社オリジナルの御朱印帳(¥2,500)は春にぴったり華やかなデザインです。
ずっとほしかった御朱印帳、やっと購入できました。
その場で御朱印も書いていただき、清正公からパワーをいただいたところで、いよいよ城下町めぐりのスタートです。
「あんたがたどこさ」のタヌキに出会う新町エリア
熊本城から下ってすぐの新町は清正公が家臣や商人を住まわせて作られた町で、当時は活気あふれる商業の町だったそう。
昔ながらの建物と、新しい建物が入り混じり、そこにのんびりと市電が走り、なんともノスタルジックな雰囲気を味わえます。
また、「あんたがたどこさ」の肥後手まり唄は、新町が発祥といわれており、あちこちでタヌキの像に出会います。昔はこの辺りに船着場があり、その近くにセンバ山があったそう。そこにタヌキが住んでいたんでしょうね。
さっそく、中央郵便局のポストの上にタヌキを発見!
イベントに合わせて衣装チェンジするようで、3月上旬のこの日はハートの風船を持った洋服姿でした。ホワイトデーの衣装かな?
市電の洗馬橋電停前のすぐ横には親子のタヌキ像があります。
触れる場所によってご利益が違うということで、私は尻尾を優しくなでて、大願成就のご利益を願いました。
ちなみに、洗馬橋電停は市電が近づくと「あんたがたどこさ」の軽快なメロディーが流れます。市電に乗る予定がなくても、電車を待ちたくなっちゃいます。
タヌキの像が奉納され続ける「船場菅原神社」
5分ほど歩くと、ひっそりとした住宅街の中に船場菅原神社の鳥居が現れます。
菅原神社というと一般的に学問の神様のイメージですが、こちらのご利益は家内安全・商売繁盛・防火とのこと。個人的な思いですが、「防災」を広める身としてはしっかりお参りしておきたい神社です。
鳥居をくぐると、たくさんのタヌキがお出迎えしてくれます。
センバ山に由来する神社ということで、タヌキ像が奉納されて増えていくのだとか。タヌキがこんなにもリスペクトされているとは、何とも不思議な神社です。
これだけタヌキに見つめられると、つい「あんたがたどこさ」と口ずさみたくなりますが、「それを猟師が てっ…」おっと、ここでは歌えませんね……。
無人の神社ですが、お守りや御朱印は書き置き販売されており、自由に購入できます。新しい御朱印帳に、さっそく二つ目の御朱印が加わりました。
ちなみに、御朱印には菩提樹の葉っぱが1枚ついてくるのですが、この葉っぱを頭に乗せてドロン……できるかどうかは、実際に足を運んでお試しあれ(笑)。
文豪・夏目漱石を感じるノスタルジックな市電通りへ
市電通り沿いに戻ると、古い街並みが残っており、思わず足を止めたくなる建物が並んでいます。
市電通りに面した「吉田松花堂」は、なんと江戸末期から現在も続く老舗の薬屋さん。敷地が広すぎて写真に収まりきらないほどです。販売されている伝統薬の諸毒消丸(ショドクケシガン)は、昔から熊本県民の常備薬・携行薬だったそう。
「しぼりや」の漱石まんじゅう
小腹が空いたので、ちょうど裏通りにある「しぼりや」というお菓子屋さんへ寄ることに。熊本土産として喜ばれる和菓子が購入できる人気のお店です。今回購入したのは「漱石まんじゅう」。皮の中にたっぷりの白あんが入っていて、甘さが体じゅうに染みわたる!歩く力が湧いてきます。
ちなみに、なぜ夏目漱石なのかというと、漱石は英語教師として熊本に住んでいたことがあり、熊本にもゆかりが深いのです。県内のあちこちに漱石ゆかりの地があるのですが、いつか漱石の軌跡もたどってみたいな、と思ったりします。
登録有形文化財「長崎次郎書店・喫茶室」
少し歩くと見えてくる「長崎次郎書店・喫茶室」は圧巻の建物。国の登録有形文化財にもなっています。まるでタイムスリップしたかのような、ノスタルジックな気分になります。
1階の書店は2024年6月に惜しまれながら休業となりましたが、夏目漱石や森鴎外も訪れたとされる、すごい書店なんです。いつかまた再開されることを切に願います。
2階の喫茶室は現在も営業中なので、文豪たちに思いを馳せながら、食事やスイーツを楽しむのもおすすめです。
町を走る市電に乗っても楽しい!
長崎次郎書店を眺めていると、ちょうど「COCORO」の市電が走っていました。
市電は10〜20分間隔で走っていますが、COCORO車両に出会えたらラッキー!熊本城の城壁をイメージしたデザインが、城下町の雰囲気にぴったりです。ちょうど漱石に思いを馳せているときに「こころ」というのも運命を感じます。
もし散策して疲れたら、帰りは市電に乗って、車窓から城下町の風景を楽しむのもいいですね。市電の運賃は大人180円、子ども90円、どこまで乗っても一律料金です。
歴史と現代が融合する古町エリア
新町から古町へ、唐人町通りへ進んでいきます。
古町(唐人町)は「一町一寺」の街並みが特徴で、これは120メートル四方の中央にお寺を置き、その周囲に町屋が配置されて碁盤目状になっています。もともとは熊本城を守る仕掛けの一つだったそう。
ただ、2016年の熊本地震で、多くのお寺や町屋が倒壊してなくなってしまったのはとても残念です……。
現在は、古い建物の中に新しいカフェやショップが入っていて、古き良きものと現代が融合したおしゃれな町になっています。写真を撮りたくなる映えスポットもたくさん!
こちらは、町屋を利用した「ルーツピュアリィ」というショッピングモール。オーガニックのお野菜とスイーツのお店や、レストラン、オーガニックコットンの洋服屋さんなど、引き戸をガラガラと開けて、ふらっと立ち寄るだけでも楽しかったです。
こちらも登録有形文化財の旧第一銀行
存在感バツグンのこの建物は国登録有形文化財の旧第一銀行です。レンガや石、アーチ窓などがとても美しくて見入ってしまいます。
建物の中に入りたくなりますが、現在は一般の会社が入っているため、見学には事前予約が必要です。今回は外側から見るだけで我慢……。
のんびり食べ歩きしたいお店が立ち並ぶ古町
人気カフェ「珈琲回廊」でコーヒーブレイク
交差点にある「珈琲回廊」は、いま熊本で大人気のカフェ。この日も平日ながら、たくさんのお客さんで賑わっていました。おいしいコーヒーをテイクアウトして歩くのもいいですね。
「月のうさぎ堂」の団子で一服
唐人町通りを抜けて、清正公通りを歩いていると、「月のうさぎ堂」というかわいらしいお団子屋さんを発見!
このお店のように古い町屋のお店は戸が閉まってることが多いので、入店するときに緊張しますが、ガラガラと開けた先にはだいたい優しい店員さんが迎えてくれるのでご安心を。
みたらし団子(1本200円)は注文してから焼いてくれるので、できたてホカホカを食べることができます。サイズも甘さもほどよくて、おいしい!もう1本買えばよかったな。
バナナ専門店「松田青果」
さらに進むと見えてくる「松田青果」は、なんとバナナ専門店!さまざまな種類のバナナが並んでいます。専用の室(むろ)で熟成することで、びっくりするほど甘くておいしいバナナになるのだそう。バナナを片手に城下町散策、というのもありかも!
食べ歩きできるお店は今回紹介した以外にもたくさんあって、コロッケや駄菓子、熊本名物の辛子蓮根まで!ふらっと寄って、お店の方と話すのも楽しいですよ。
さて、今回の散策はこれでおしまい。熊本生まれ、熊本育ちの私も、ここまでじっくりと歴史を感じながら歩いたのは初めてでした。
熊本城の壮大さにパワーをもらい、あちこちでタヌキに出会い、文豪に思いを馳せ、おいしいものに誘惑され、400年の歴史に触れてお腹も心もいっぱいです。もし歩き疲れたら市電に乗っちゃえばOK!また、あちこちにレンタサイクルもあります。気軽に回れるのが新町・古町の魅力です。
観光地のキラキラした熊本城も素晴らしいですが、少し足を延ばして、ディープな城下町を巡ってみては?
こちらもチェック!
photograph & text:Rie Matsunaga
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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