北欧
:【奈緒さんが初めて旅したフィンランド #1】 ヘルシンキから500kmの小さな町“コッコラ”で出合った幸せ
北欧
:
俳優・奈緒さんがめぐるフィンランド旅連載、第一回。
「ずっと憧れていた場所」と語る、旅のはじまりは、首都・ヘルシンキから北へ約500キロ。海と森に抱かれた小さな町・コッコラへと向かいます。
この町で出合ったのは、動物たちがのびのびと暮らすトナカイファームや、手作りのサウナから海へと続く美しい景色。
好きなもの、心地いいもの、大切にしたいものにそっと触れる、気づきに満ちた旅のスタートでした。
トナカイと暮らすということ
まず最初に訪れたのは、9頭のトナカイが暮らす「トナカイファーム」。ヤギやニワトリ、猫たちものびのびと過ごすその場所は、動物たちの自由な息づかいが感じられる空間でした。オーナーのソフィアさんによると、ここにトナカイファ ームを造って12年。「子どもの頃からトナカイと暮らしてみたかった」という夫の夢を、夫婦で叶えたのだそう。

広大な土地に水車や小屋が点在しているトナカイファーム。
「フィンランドでもトナカイはラップランドのような北部にしかいないのが普通。ここで飼 っているのはめずらしいんです」とソフィアさん。
独学でトナカイの世話の仕方を学び、今もわからないことがあればラップランドまで勉強に出かける日々なのだとか。トナカイたちは季節ごとに表情を変えます。7月には冬毛が抜け、8月末には立派な角が生え始め、秋には繁殖期を迎えて角を突き合わせる。奈緒さんも興味津々で近づいてくる赤ちゃんトナカイたちに自然と笑みがこぼれます。

オーナーのソフィアさんがふるまってくれた「トウヒの新芽のシロップジュース」。さっぱりとした味わいで、肺によいのだそう。

寝かせておいたパンの生地を、木の枝にくるくる巻きつける。均等に巻くのが難しいなか、奈緒さんは器用に巻いていました。焚き火で焼いたパンは甘くてやさしい素朴な味わい。
この時季は夜の21時を過ぎても白夜のフィンランドはまだまだ明るい。とんがり屋根の小屋「コタ」の焚き火でソーセージやパンを焼きながらみんなで語ったのは、日本とフィンランドの共通点。
「サウナが好き」「食べることが好き」「街が清潔」「電車ではなるべく端っこに座る」「シャイだけど、一度心を開くと距離が縮まっていく」などなど、似ている点がいくつもあることにびっくり。「遠い国なのに、どこか日本と近い部分があるんじゃないかなと思っていたので、答え合わせができて嬉しい」と奈緒さん。
フィンランド初日の感想は?
「ずっと憧れていた場所が想像以上に素敵で……すでに『また来たい』と思っています(笑)」
Tankar島は街の人々の誇り

ブラウス¥24,200/ヴェリテクール(ヴェリテクール)、ニット¥59,400/マイディ、パンツ¥44,000/オニールオブダブリン(ともにジャーナル スタンダード ラックス 表参道店)
コッコラの港からフェリーで約1時間半。灯台や教会、散策路もあるタンカー島へ向かいます。ここは、フィンランドの短い夏の間だけ観光客を迎える小さな島。この日は夏季限定フェリーの運航初日で、地元の人々にとっても待ちに待った特別な日。地元のおじいちゃんやおばあちゃんがのんびり楽しむ姿があちこちに。
奈緒さんは、船内で購入したドーナツのおいしさに目を丸くし、タンカー島へ到着する間際には、デッキの先頭で身を乗り出しながら写真を撮っていました。

カフェスペースにはドーナツ、コーヒー、アイスクリームを完備。色鮮やかなピンクのドーナツはラズベリーのジャム入り。「さっぱりしていておいしい!」と奈緒さん。
まず向かったのはサーモンスープをいただけるカフェ。 念願の一杯は、サーモン、ジャガイモ、ディルというシンプルな組み合わせながら、ここでしか味わえない格別の味。「美味しすぎる……」と目をつぶって天を仰ぐ奈緒さん。
「船には地元のご年配の方がたくさんいらっしゃって、島に何をしに行くんだろうな、って思ってたんです。でも、行ってみたらわかりました。あのサーモンスープを食べることが、どれほどスペシャルなことか。 家でも真似して作ってみたいけど、この島で食べたサーモンスープが特別すぎて、きっと再現はできないんだろうな」

念願のサーモンスープは、食べたい分だけ自分でお皿によそうスタイル。群島パンとコティカリア(ノンアルコールビールのような味のドリンク)付きという完璧セット。

出発時に屋上デッキに集まって景色を眺めていた人たちも、しばらくすると地下のカフェスペースに移動し、コーヒー片手にのんびり談笑していました。
腹ごしらえのあとは、道を散策したり、灯台に上ったり。
「きれいな景色を眺めながら、ただ歩いてるだけで、心がすごく穏やかになりました」と奈緒さん。
思い出したのは、地元福岡で船に乗って通っていた小さな島(能古島)のこと。夕日の写真を撮ったり、お花を見に行ったりした懐かしい気持ちになったそう。
「ああ、こういう時間、私もすごく大事にしてたなって。 とっても落ち着きました」

芸術家が集まる楽園のような場所

森と海に囲まれたウクスピヒラヤには、近所の子どもたちが毎日海に遊びにきます。
中心部から少し離れた人口わずか1000人の地域に、奈緒さんが「秘密基地みたい」と目を輝かせた場所がありました。世界的に活躍するオペラ歌手、映画監督、脚本家、役者、ミュージシャンなど、大勢の芸術家たちを輩出してきたコッコラの“もうひとつの顔”ともいえる場所。街の開発で取り壊されそうになった古い木造住宅を救い出して移築、芸術家たちが集い、自分たちで少しずつ修復しながら完成させたウクスピヒラヤです。 夏の間は宿泊所として、他の季節はアーティストレジデンスとして利用されています。

ライブや映画の上映も行われる手作りのステージ。フィンランドでは「教育の一環で演劇をやることがある」と聞いた奈緒さんは、「アートや表現って特別なことじゃないと思うんです。演じることで誰かの立場を理解することができたり、何かを言われてこんな気持ちになるんだ、ということがわかったりする。私は芝居を“やさしいもの”として始めたんですけど、改めて、始めたときの思いを守らなきゃ、と思いました。ウクスピヒラヤはそれが守られている場所。自信を持って日本に帰れそうです」
案内してくれたのは、コッコラの芸術家一家アイロラ家の長女ラウラさん。 ウクスピヒラヤはアイロラ家のそばにあり、母オウティさんはこの一帯の世話役。家のドアはいつも鍵がかけられておらず、誰にでも開かれ、職を失った人や居場所を探している人たちがここを訪れて新しい一歩を踏み出していくこともあるのだそう。

アイロラ家の母・オウティさんの手料理。

ラウラさんとおそろいのつなぎでニコリ。
一室ずつインテリアの違うレジデンスを見学したあとは、奈緒さんも庭仕事をお手伝い。目を見張る手際のよさにラウラさんたちも歓声をあげます。 横にはアコーディオンを奏でるおじいさんと、作業を止めて一緒に歌いだす人たち。 即興で始まる自由な音楽の時間。


一部屋ごとにテーマがあり、それぞれ違うインテリアで彩られていました。
野外劇場もあるウクスピヒラヤは音楽や演劇がとても身近にあり、夏には手弁当で映画祭やコンサート、朗読劇や演劇が行われるそう。
「最近、純度が高い思いに技術はかなわないところがあるなと思うんです。技術を磨いていくことも素敵ですけど、純粋さの中にある崇高さは、絶対に傷つけられない何かがある。 ウクスピヒラヤはその思いがあふれている場所でした」
「何者でもない自分」に
戻ることができる場所

ウクスピヒラヤには手作りのサウナも。仕事を終えたあと、みんなで一緒にサウナに入り、水風呂がわりに海で泳いで語り合う。そんな時間を体験すべく、初めてのフィンランド式サウナへ。サウナ→海→海辺で休憩を3セット。水温シングルの海に飛び込み、背泳ぎで体を冷やす奈緒さん。海からあがって海辺のベンチに寝転ぶと、森からさわやかな風がそよぎ、鳥の声が聞こえてきます。奇跡のように美しい場所で奈緒さんはこう語ります。
「ここは自然と暮らしが溶け合っていて、自分と遊ぶ時間があるんですよね。だから自分が何を好きで何が嫌いか、すごくよくわかる。いまは自分の気持ちを自分の言葉で話せない人も多いけど、ここにいると本当の自分に戻れる気がします」
地元に根付く
コッコラ発のアパレルブランド

デザイナー兼CEOのアンニーナさんの案内で、コッコラ発のアパレルブランドPaaPiiの縫製工場を見学。2011年に誕生したPaaPiiは、フィンランド産オーガニックコットンの生地を用い、工場は太陽と地熱エネルギーを使用。

「すべての工程がハンドメイドだということにびっくりしました」と奈緒さん。
「PaaPiiのお洋服はとてもあたたかくてユーモアがあるので、何から刺激を受けて創作しているですか? とアンニーナさんに質問したら、“自然”だとおっしゃっていて。森の中を歩いてみたり、人の背景からインスピレーションを受けて落とし込むこともあるそう。『ああ、だからPaaPiiを着ると幸せな気持ちになるんだな』と思いました」。
広報部長ラネ(犬)が
迎えてくれるホテル
迎えてくれるホテル

コッコラ駅のすぐそばにある「Hotel Kokkola」は、清潔で心地よい滞在が叶うあたたかな雰囲気のホテル。何より嬉しいのは、広報部長を務める看板犬・ラネがお出迎えしてくれること。ラネとのふれあいに、思わず笑みがこぼれるはず。アクセスがよく、街歩きにも便利な立地で、旅の拠点にぴったりです。
美しい眺めのサウナとレストラン

コッコラ中心部から自転車で約20分、美しい海辺に2025年6月にオープンしたばかりの「Hickarö resort」。クラシカル、スチーム、ビューの3種のサウナが365日楽しめる最新型リゾート。

サウナのあとは、穏やかな海を眺めながら地元の食材を使った日替わりランチやディナーを楽しめます。レストラン利用だけでも訪れたい特別なひとときが待っています。
コッコラ・セイナヨキ・ヘルシンキを巡る
7日間の旅行日程
旅行料金:569,000円(2人部屋利用、燃油サーチャージ別途)
⚫︎出発日:2026年6月5日(金)
旅行料金:589,000円(2人部屋利用、燃油サーチャージ別途)
※上記のスケジュールは現地の事情や荒天などの事由により変更となる場合がございます。
俳優・
奈緒さん

1995年生まれ、福岡県出身。2018年、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」でヒロインの親友役に抜擢。2019年公開の『ハルカの陶』で映画初主演を果たす。近作に、『傲慢と善良』、ドラマ「春になったら」「東京サラダボウル」「塀の中の美容室」、舞台『WAR BRIDE -アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン-』『大地の子』など。公開待機作に主演映画『死ねばいいのに』(金井純一監督・2026年7月3日公開)、主演映画『シャドウワーク』(吉野竜平監督・2026年公開)がある。2026年4月7日、初のフォトエッセイ『いつか』を出版。
奈緒さんがめぐるフィンランド旅の記事はこちらもチェック!
model:Nao photograph:Shinsaku Kato styling:Junko Okamoto hair&make-up:masaki text:Tomoko Ueda coordinate:Keiko Morishita special thanks:Finnair/Finntour/Visit Finland/Visit Kokkola
リンネル2025年10月号
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※掲載している情報は取材時のものです。現在は変更になっている場合があります
おすすめ記事 RELATED ARTICLES
Recommend
SNAPRanking
DAILY
/
WEEKLY






![【愛用歴25年以上!内田彩仍さんとドモホルンリンクルの素敵な関係】うるおいとエイジングケア※[基本4点]で肌力を鍛える!](https://liniere.jp/wp/wp-content/uploads/2026/03/S__21012484.jpg)


























