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:山下美月さん・藤野涼子さんインタビュー/ふたりだから生まれる、新しい“成瀬”の世界
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ベストセラー『成瀬は天下を取りにいく』が待望の舞台化。主人公・成瀬あかり役の山下美月さん、幼なじみ・島崎みゆき役の藤野涼子さんが、個性的なキャラクターを演じる面白さ、お互いだからこそ引き出せる芝居、舞台ならではの魅力を語ってくれました。
——人気小説を初めて舞台化した『成瀬は天下を取りにいく』。全力でわが道を突き進む主人公の成瀬あかりを山下美月さん、幼なじみ・島崎みゆきを藤野涼子さんが演じます。稽古の手応えはいかがですか?
山下美月さん(以下、山下) 稽古が進んで、作品全体の雰囲気が見えてきたところです。脚本を読んだときから、原作の良さを活かした構成だと思っていましたが、実際に稽古で一つひとつの場面を組み立てていくと、演出によって、作品の世界により奥行きが生まれているのを感じます。セットも華やかで、劇場に入ったら成瀬の世界がさらに楽しく、面白いものになるんじゃないかなと、今から楽しみです。
藤野涼子さん(以下、藤野) 私もそう思います。最初に脚本を読んだときに、ストーリーが進むなかに、モノローグや会話劇が組み込まれていて、「これが舞台上でどう組み上がっていくんだろう?」と、なかなか想像がつかなかったんです。でも実際に稽古が始まってみると、あるセリフのタイミングで、吹き出しのようにセットが現れる演出があって。映像ではなかなかできない演劇的な表現が面白くて、毎日楽しみながら稽古を進めています。
山下 演出のG2さんは、細かく指示を出すというよりも、私たちに任せてくださる方なんです。基本的な設定だけ決めて、「ここの会話は自分たちでやってみて」という感じで。とくに家族の日常的なやり取りは、わりと自分たちで考えて、決めていくことが多いですね。
藤野 そうですよね。たとえば、海外の方とやり取りする場面では、「イタリア語で何を話すか、自分で調べて考えてきて」みたいな宿題があったりして(笑)。そういう進め方は信頼関係がないと成り立たないですよね。G2さんが俳優一人ひとりを信じてくださっているんだなということは、稽古を通じて感じています。
山下 今回の舞台は、原作のようにいくつものエピソードが積み重なっていて、章ごとに主役がいるような構成なんです。そのスタートを担っている涼子ちゃんが勢いよくお芝居をしてくれているからこそ、私も気持ちよく作品の世界へ入っていけます。
藤野 成瀬のキャラクターってすごく魅力的だけど、演じるのが難しい役だと思うんです。でも、山ちゃんは本読みの時点で既に成瀬になっていて。声もあえて普段よりも低めに出していますよね。
山下 これまでは自分と役の共通点を見つけて、膨らませていく役作りが多かったんです。でも成瀬については、自分の中にあるものが活かせなくて。かといって身近に成瀬のような人物はいないですし(笑)。だから、今回は一からキャラクターを作り上げていくことになりました。でも、お話をいただいてから稽古に入るまでの間に、原作シリーズの新刊が出たり、本屋さんで成瀬のポスターを見かけたり。成瀬と一緒に歩いてきたような感覚があって。「成瀬ならこうするかな」「どんな話し方をするかな」とじっくり考える時間があって、そうした積み重ねを経て、稽古に入ることができました。
藤野 そんなふうに、稽古場でも常に成瀬でいてくれるので、彼女のまわりで一喜一憂するキャラクターたちも安心して演じられます。
山下 成瀬は“主人公っぽくない主人公”だと私は思っていて。ほとんどの作品は、主人公がさまざまな出会いを通じて成長して、最終的に何かを達成しますよね。でも成瀬に関しては逆で、最初から何でもできるし、自分の意思を貫ける。そういう主人公が知らず知らずのうちにまわりにいい影響を及ぼしていく、“逆主人公”みたいな感覚があります。成瀬の芯は曲げないようにしつつ、その上で、みなさんのお芝居に揺さぶられる柔軟性を持って演じたいです。
藤野 確かに、物語は成瀬を中心に進んでいくからこそ、軸がぶれないことが大事ですよね。島崎自身は普通の人で、どこへ行っても順応できる。でも成瀬と一緒にいることで、思いも寄らないことに巻き込まれてしまうんです。ただ、島崎もなぜか「漫才でM-1に出よう」という成瀬の誘いに乗ってしまうような、ちょっと変な部分を持っているんですよね。
山下 今、ちょうど漫才も稽古しているところですが、お芝居の中で漫才をするってやっぱり難しいです。
藤野 でも今回は“漫才の先生”のしずちゃん(山﨑静代さん)がカンパニーにいらっしゃるので(笑)。ちょうど昨日もいろいろ教えていただいたところです。成瀬はけん玉を披露するシーンもあるんですよね。私は最初、黒衣さんが玉を動かすのかと思っていたけど、実際にやると聞いて驚きました。でも山ちゃんは、けん玉も完璧なんですよ。
山下 私はプレッシャーに弱いので、今から本番が怖いです。舞台に立つのは楽しみなんですけど、けん玉のことを考えるとちょっと……(笑)。

——おふたりでお芝居をしていて感じる、お互いの魅力は?
山下 舞台は生ものなので、その日に感じたことによってセリフの出し方が変わってきます。でも涼子ちゃんは、どんなボールを投げても、柔らかく受け止めてくれて。だから一緒にお芝居をしていて楽しいです。
藤野 うれしいです。山ちゃんは、なかなか現実にはいないようなキャラクターを体で表現していて。でも成瀬も生身の人間なので、ちゃんと気持ちが揺れ動く。そこを内側から出しているのが素敵だなと思って。舞台上ではお客さんの方を向いてお芝居をしないといけないのに、つい成瀬を見てしまいます(笑)。

——おふたりにとって、舞台はどんな場所ですか?
山下 舞台に出るのは久しぶりですが、練習を重ねて、作品の意図を自分なりに咀嚼してから、見る人に届けられるのはありがたいこと。映像のお芝居にも瞬発力が求められる面白さがありますが、やっぱり舞台は別物ですね。毎日、先輩方のお芝居を間近で見られることは、とても勉強になります。
藤野 本当にそうですよね。約1カ月間の長い稽古期間で得られるものはたくさんあります。舞台は基本的に始まったら最後まで通して進んでいくので、物語に従って感情が流れていくのも面白い。それに本番が始まれば、お客さんから受け取るものも絶対にあって、それによってお芝居が変化していく。やっぱり私は演劇が好きだな、と思います。

Q この夏にしたいことは?
去年ダイビングのライセンスを取ったので、大津公演を無事に終えたら、琵琶湖に潜ってみたい。琵琶湖でしか見られない魚もいるそうなので、この機会に挑戦してみたいですね。
最近のマイブームは?
筋膜リリース
むくみ解消のため、定期的に筋膜リリースのサロンへ通っています。家でも湯船に浸かったり、むくみ対策のケアをしていますが、それだけではもの足りなくて。施術はけっこう痛いのですが、終わったあとはスッキリ。筋肉も柔らかくなって、ケガの防止にもつながります。
音楽をシャッフル再生する
何気なくシャッフルで音楽を聴いていると、たまに心に引っかかる曲があるんです。歌詞をじっくり聴くと、演じている役の心情に重なることがあって。その曲をテーマソングにして、聴きながら稽古場へ向かっています。
舞台情報

原作:宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』『成瀬は信じた道をいく』(ともに新潮文庫刊)/脚本・演出:G2/出演:山下美月、藤野涼子 ほか/7月16日(木)~26日(日)京都・南座 ほか滋賀公演あり
滋賀県大津市を舞台にした青春小説で、2024年「本屋大賞」をはじめ、多くの文学賞を受賞した宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』と、続編の『成瀬は信じた道をいく』をもとに構成。中2の夏休み、成瀬あかり(山下美月)は閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映ると言い出し……。
©松竹
Profile
1999年生まれ、東京都出身。2016年、乃木坂46の3期生オーディションに合格し、中心メンバーとして活躍。2024年に卒業。主な出演作にNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」、ドラマ「Eye Love You」、映画『愚か者の身分』など。現在、映画『キングダム 魂の決戦』が公開中
2000年生まれ、神奈川県出身。2015年公開の映画『ソロモンの偽証』のオーディションに参加。主演に抜擢され、デビューを果たす。主な出演作にNHK連続テレビ小説「ひよっこ」、大河ドラマ「青天を衝け」、舞台『スイートホーム ビターホーム』『飛龍伝』など
インタビュー記事に関する読みもの
photograph: Chihaya Kaminokawa styling: Gouda Atsuko hair & make-up: miura(JOUER)[山下さん],Akiyo(JOUER)[藤野さん] text: Hanae Kudo
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