【映画『キノ・ライカ 小さな町の映画館』】 共同経営者のミカ・ラッティさんが語る、アキ・カウリスマキ監督とフィンランド・カルッキラ 【映画『キノ・ライカ 小さな町の映画館』】 共同経営者のミカ・ラッティさんが語る、アキ・カウリスマキ監督とフィンランド・カルッキラ
発案から開館までわずか半年! みんなで作った映画館
映画館のアイデアがスタートしたのは、2021年の春のこと。6月には工事を始めて、オープンしたのは同年の10月8日でした。
「映画にも登場するペペ・トイッカさんが、キノ・ライカの入居する建物のオーナーになり、そのときずっと空き家だったこの建物をどうしようという話が出て。私が“もしかしたら映画館にいいのでは?”と話すと、ペペさんが直接ポルトガルのアキに電話して(アキ監督は冬の寒い時期はポルトガル在住)。2週間後、春になりアキが戻ってくるタイミングで、作ろうとすぐ決まりました。翌日には私が“バーがあったらいいね”と話すと、じゃあバーも、とどんどん話が進んで。アキが来てから2週間後にはもう共同経営することまで決まったんです。あっという間にオープンすることになって、この数か月の間に10キロ痩せたくらい、本当に大変でした」
アキ監督は現場責任者として、設計やインテリア、作る作業を担当、ミカさんはそれ以外のすべて、バーの運営の準備やウェブサイトの制作などを担当したそう。
「いろいろな問題もありました。例えば映画館で使っている椅子は、もともとアキがヘルシンキで運営していた古い映画館「Andorra」で使用していたもの。古いものなので、部品が壊れてもその部品がないんです。だから3Dプリンターを使って部品を作ったりもしました。地元のいろいろな映画関係の友達が、なかばボランティアのような形でたくさん集まってくれて、みんなで一緒に作業をしたり。こけら落としでユホ・クオスマネン監督の『コンパートメント No.6』を上映したのですが、上映権を支払う代わりに、ソビエトの古いポンコツ車を一台あげたり。とにかく手作りとみんなの協力で完成したんです。
本当におかしく聞こえるかもしれないけど、いろいろな話をするなかで“こんなアイデアどう?”と話すと、“じゃあやろう”と実現できるところまでやるのが、アキとの共同作業のおもしろいところ。お互いの信頼もあって、そんな感じで物事が進んでいったんです」
「映画館作りに関してはアキがリードした感じです。35年間映画のセットの設営もやってきたから、彼の映画の要素がたくさん。モダンなバーの看板、犬のライカの絵、アキの映画で何度も使われてきたバーカウンターとか。色彩的にもサロン室は『ル・アーヴルの靴みがき』の世界観になっています。
アキ監督のなかにしっかりしたものが通っていて、多分映画を作るのと同じだと思うんですよね。いろいろなものを集めていって、一つの映画を作るのと同じプロセスなんじゃないかと思います。ある意味カオスなのですが、それがちゃんとコントロールされている感じがしました」
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