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環境に流されず幸せをつかむためには? 大女優・高峰秀子さんの養女で『ふたり』の著者、斎藤明美さんが語る誇り高き女優の人生 環境に流されず幸せをつかむためには? 大女優・高峰秀子さんの養女で『ふたり』の著者、斎藤明美さんが語る誇り高き女優の人生

高峰さんの本を通して、伝えたいこと

名文家としても知られた高峰さん。『おいしい人間』(扶桑社文庫)は、最近復刻された一冊。

今回刊行された『ふたり』をはじめ、高峰さんの本の復刻にも尽力されている斎藤さん。

「生誕100年ということで、これだけ本を出すことを高峰は喜んでいないと思います。ただ私はそんな高峰の気持ちはわかっているけど、客観的に見てやる価値のある人だと思うからやっています。高峰は忘れてほしい、煙のように消えていきたいと望んでいた人。でも日本映画というものがなくならない限り、忘れないでと言わなくても忘れられない人だと思っています。

彼女にもし欲があれば、もっと映画に出ているし、ドラマだって出たかもしれないし、本だってもっと書いていたと思います。でも彼女は書くことも演じることも、自分から望んだことは一度もなかった。自分から望んだのはとうちゃん(松山さん)との結婚だけ。普通の生活がしたかっただけの人なんです」

高峰さんには上昇志向ではなく向上心があり、自慢ではなく自負があったと話す斎藤さん。本書を通して伝えたいことは?

「高峰の人生はオセロゲームに例えると、5歳のときにはすでにほぼ黒。負けが決まりの状態からスタートしたのですが、1枚だけ握りしめた白いコマで一個一個ひっくり返していくんです。忍耐強く諦めず、人生を投げず。そして私が出会った70歳の頃には、全面を白くした。環境や親とか社会のせいにせず、自分の理想と希望を捨てないで、”私はこんな人間になりたい”と諦めずに努力して目指していたら、必ず幸せになれると感じてほしいです。高峰はそれを実証した人だったから。

人生の勝ち負けは、自分が望む人生かどうか。何か目標を持ち、今の状態がもし嫌なら、何が嫌なのか、不満なのか、自分と向き合って考えてほしいです。高峰が持っていた一枚の白いコマとはなんだったのか。もっと言えば、あなたにとってこれだけは離したくない、人にも譲らず、死ぬまで握りしめていたい一枚の白いコマとはなんなのか、それを考えてほしいなと思います」

『ふたり ~救われた女と救った男』(扶桑社)
5歳でデビュー、20代半ばで映画界最高のギャラをとっていた高峰秀子は、世間からは順風満帆な大スターと思われていましたが、実情は、ギャラはすべて養母と十数人の親族に搾取され、学ぶ機会も奪われ、好きになれない女優業を黙々と続けざるを得なかった孤独な女性でした。その大スターに名もなく貧しい一人の助監督が交際を申し込み……。

貴重なプライベートアルバムと高峰秀子の随筆、言葉、斎藤さんが長年収集した貴重な資料、斎藤さんしか知らない情報を解説に付して、この一組の男女の数奇な運命を描いています。懸命に生きていればきっと未来は開ける、読めば誰もが励まされる一冊。
扶桑社のHPをチェック↗

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text & edit:Mayumi Akagi

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