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:【誕生70周年記念 ミッフィー展 開催中!】 松下奈緒さんが考える、ミッフィーが愛される理由
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オランダの絵本作家でグラフィックデザイナーの、ディック・ブルーナさんによる「ミッフィー(うさこちゃん)」。
今年、誕生70周年を迎えたのを記念し、200点以上の作品や資料でミッフィーやブルーナさんの魅力に迫る「誕生70周年記念 ミッフィー展」が、5月12日まで松屋銀座で開催されています。
ミッフィーが大好きだという女優・ミュージシャンの松下奈緒さんに、本展の見どころや、ミッフィーの思い出など、ミッフィーが長く愛される理由をたっぷり伺いました。
ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナさん

1927年にオランダ・ユトレヒトに生まれ、絵本作家・グラフィックデザイナーとして活躍したディック・ブルーナさん。1953年に初めての絵本『de appel(りんごぼうや)』を発表し、1955年には『ちいさなうさこちゃん』でミッフィーシリーズが誕生。以来、120冊以上の絵本を生み出しました。
もともとアーティストを夢見ていたというブルーナさん。父親が経営していた出版社でデザイナーとして活躍し、ペーパーバック(文庫本)の表紙を手がけます。1951年から約20年の間に手がけた表紙は、約2000にも及ぶそう。ペーパーバックシリーズの宣伝用ポスターに描かれた、本を読みすぎて目が赤くなった、クマのキャラクター〈ブラック・ベア〉は人気を博しました。

若きブルーナさんが描いた絵画作品が見られるのは貴重。

アーティスト、デザイナーとしての仕事を見られる展示。奥には〈ブラック・ベア〉のポスターも。
ミッフィーシリーズの絵本32作品の原画とスケッチを一堂に

ブルーナさんの制作風景の映像は必見。
ブルーナさんが50年以上にわたって描き続けた、ミッフィーシリーズの絵本全32作品をたどる本展。「もっと、もっと、ミッフィー」をテーマに、1955年の『ちいさなうさこちゃん』(初版)から、2009年の『うさこちゃんのおじいちゃんへのおくりもの』まで、全32作品の原画やスケッチが日本で初めて一堂に展示。
素朴な線で描かれたミッフィーが、家族や友だちとの温かい繋がりを通して、たくさんのことを経験していく様子を、1作品ずつたどることができます。

絵本がどのように作られているのか、わかりやすく紹介。
また、今回初来日となる『うさこちゃんおとまりにいく』(1988年)、『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(1996年)の2作品に、『うさこちゃんとたれみみくん』(2006年)を加えた3作品からは、特に多くの原画や資料を展示。
ブルーナさんのデザイン的な冒険や遊び心、おばあちゃんの死をまっすぐに描いた物語、友だちとの身体的な違いからミッフィーが気づいたことと勇気ある行動。考え抜かれたシンプルな色と線で、子どもたちに対してやさしく向き合って生み出された、ミッフィー絵本の大切なエッセンスを感じ取ることができます。

『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』の展示壁面は、黒とグレーに。

日本で初めて公開される『うさこちゃんおとまりにいく』。

展示を通して、グラフィカルな色や線、構図などがよくわかる。
大人になっても大好きなミッフィー

子どもの頃からミッフィーがいつも側にいたという松下さん。家の中には今もミッフィーグッズを集めた場所があるのだとか。
「最初の出合いは、文字の描かれていない絵本。どこに出かけるときにも持ち歩いて、母がオリジナルのストーリーを作って聞かせてくれていたと聞きました。鮮やかな色、輪郭がくっきりしていて、絵のインパクトが印象的だったことを覚えています。
家には大人になってから、世界を旅して買ったミッフィーの置物やグッズがたくさんあります。世代関係なく、ミッフィーちゃんって欲しくなりますよね。みなさんきっと、自分の人生のなかにミッフィーがいて、懐かしくもなるし、変わらずにいつも微笑んでくれるミッフィーを手に取ってしまうんでしょうね」

絵本には赤、黄色、緑、青、そして茶色、グレーの6色のみを使用。それぞれの色にメッセージがこめられています。
本展を見て、改めてブルーナさんの絵の魅力を感じたのだといいます。
「ブルーナさんの世界観にどっぷりはまりました。限られた色の中で試行錯誤しながら1ページを仕上げていて、ひとつひとつの作業が本当に細かいし、一筆一筆大事に描かれていることを知って、本当に驚きました。お話もそうですが絵にも温かみを感じましたし、シンプルだけどすごく奥が深い。だからこそ世界中の人に愛されているのだとわかりました。原画の色合いもとてもきれいでかわいい。間近で見られる機会はなかなかないので、それが本展の一番の喜びだと思います」

そんな松下さんが印象的だったのは、今回初来日となる『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』だそう。
「ミッフィーの大好きなおばあちゃんが亡くなってしまったところからお話がスタートするのですが、子どものときにおばあちゃんが死んじゃってどうしたらいいんだろうとか、おばあちゃんはどこに行っちゃったんだろうという、子どもの頃の疑問に答えてくれるような絵本で。うれしいことも楽しいこともあるけれど、悲しいことや辛いこともある。ブルーナさんが伝えてくれると、素直に受けいれられる気がして、ちょっと泣きそうになりました」

時代とともに、少しずつフォルムを変えてきたミッフィー。
「ちょっとずつ耳の形や、顔の輪郭も変わっていますが、愛くるしさはずっと変わらない。今日は何回かわいいって言ってるかな(笑)。いくつになってもかわいいですよね」
松下さんが、もっとやりたいこと

会場には扉を開けると絵が出てくる、かわいい仕掛けも。
もっと深く、もっと楽しく、もっとミッフィーを好きになれる本展のテーマにちなんで、松下さんがやってみたいこととは?
「もっと旅に出たいですね。オランダの美術館を巡る旅をしたことがあるのですが、雨が多くて、濡れた石畳や曇った窓から見える景色は、ちょっと憂いがあって、ほかには感じたことのない美しさでした。だから光を大事にするフェルメールのような画家が生まれたんだと実感しました。美術館には、ゴッホの絵と同じ柄のワンピースを着たミッフィーなど、ミッフィーとのコラボグッズがたくさんあって、好きなものが詰まっているので記念に買いましたね。
ブルーナさんの暮らしていたユトレヒトにはまだ行ったことがないのですが、展示の写真や映像を見ているとアムステルダムよりも自然に溢れていて、こんな穏やかな場所で過ごされていたのかなと想像しました。ちゃんと知識があったうえで旅をすると、また違う感動があると思うので、もっともっと旅をしたいとずっと思っています」

入って最初の展示では、ブルーナさんのアトリエの様子も。
絵と音楽を愛するブルーナさん。ミュージシャンとしても活動する松下さんとの共通点もありそうです。
「私は絵は全然描けないですが、絵を見るのはすごく好きだし、自分だけの世界に入れるというところが絵と音楽には共通してあるのかなと思います。一人でも楽しめるけど、みんなとも楽しめる。そういうところが私はすごく好きで、今もずっと続けていて、改めてブルーナさんにその素晴らしさを教えていただいた気がします。
休日は美術館に行くのも好きですが、窓を開けると気持ちのいい風が吹く季節になってきたので、晴れているだけで幸せな気持ちになります。旅先ではすごくアクティブになるのですが、お家で過ごすことも好きなので、衣替えをしたり掃除機をかけたり、大好きな洋裁をして過ごすのが好きです」

展覧会オリジナルグッズはなんと500以上。ここでしか手に入らないミッフィーグッズも魅力的ですが、松下さんも気になっているそう。
「70という刻印の入ったネックレスをつけたぬいぐるみなど、今ここでしか買えないミッフィーは貴重ですね。いろいろなブランドとのコラボレーショングッズもかわいくて、いろいろ欲しくなってしまいますね」

「近沢レース店」とコラボレーションした、レースバッグは3色。各¥2,420

展覧会図録 ¥3,850
ずっと変わらずかわいいミッフィーに会いに

温もりあふれるストーリーや愛らしい登場人物たち、リズミカルな言葉やグラフィカルな色、線、構図。あらゆる角度からミッフィーの魅力を紹介する展覧会。
「子どもの頃もしくはお子さんと一緒に、一度は手に取ったことがあるミッフィーの絵本。童心に帰れるし、いろいろな気づきや教えもあって。いくつになっても教えてもらえることがあるんだなと思います。展示を見ていただけると、70年愛されている理由がわかる。時代も世代も超えて、見てかわいいと思えることってすごく強いと思うんです。
展示を見ると、ブルーナさんの人となりや過ごされてきた環境もすごく素敵で。心が豊かになるような暮らしをされていたんだろうなと思うと、作品がより魅力的に感じられると思います。ミッフィーは70歳ですけど(笑)いつもかわいいし、変わらないミッフィーに久しぶりに再会できて、今日はとてもうれしいです」
■展覧会概要
松下奈緒さん profile
1985年2月8日生まれ、兵庫県出身。2004年女優デビュー以降、数多くのドラマ、映画で主演を演じる。2010年NHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」ではヒロインを演じ、同年紅白歌合戦で紅組の司会を務めた。 また、ミュージシャンとしてもオリジナルアルバム9枚をリリースし、コンサートツア ー、BillboardLiveツアーを行う。
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photograph:Mari Yoshioka styling : Kozue Onuma hair & make-up : Mika Yamashina text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Illustrations Dick Bruna © copyright Mercis bv,1953-2025 www.miffy.com
(衣装クレジット)
ブラウス¥31,900/ADORE(ADORE 03-5785-6425)、スカート¥63,800/ランバン オン ブルー(ランバン オン ブルー 0120-370-877)、イヤリング¥49,500/TAKE-UP(TAKE-UP 03-3462-4771)、シューズ/スタイリスト私物
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