CULTURE
:【今月のカルチャー TO DO LIST】 12月にチェックしたい映画と本と展覧会
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今日の予定は決まりましたか? 今、みなさんにおすすめしたい映画、本、展覧会などを、ライターの赤木真弓さんが厳選し「TO DO LIST」としてご紹介します。ぜひお出かけの参考にしてくださいね!
MOVIE 『女性の休日』

© 2024 Other Noises and Krumma Films.
今回ご紹介したいのは、アイスランドのドキュメンタリー映画『女性の休日』。
今から50年前の1975年10月24日、アイスランドの女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ前代未聞のムーブメントを描いています。
目的は男女平等の実現。みんなで休むことで、女性の存在意義を可視化しようとした、ユーモアのある社会運動。思想の違う人も、ストライキではなく「休日」という言葉を使ったことで連帯でき、アイスランドがジェンダー平等先進国となる大きなきっかけとなりました。

かわいいアニメーションも入り、とても観やすいのも◎。 © 2024 Other Noises and Krumma Films.
インターネットもスマホもない時代に、アイスランド各地から集まった約300人の女性たちが何に突き動かされ、どのように連帯していったのか。当時参加した女性たちが、そのときのことを話す様子が実に楽しそうなのが印象的です。

女性初の大統領となった、ヴィグディス・フィンボガドッティルさんの姿も。 © 2024 Other Noises and Krumma Films.


© 2024 Other Noises and Krumma Films.
女性たちが連帯すれば社会を変えられる、しかも楽しく! アイスランドで愛されているというプロテストソングの「やるの? できるの? 必ずやる!」という歌詞にもあるように、彼女たちの行動に勇気がもらえる映画。
私が観に行った回は終わった後に拍手が起こりましたが、映画とリンクして拍手をした人と連帯できた気がしました。そんな映画体験も含めて、ぜひ映画館で観たい作品です。
出演:ヴィグディス・フィンボガドッティル、グズルン・エルレンズドッティル、アウグスタ・ソルケルスドッティル 他
エンドクレジットソング:ビョーク
2024年/アイスランド・アメリカ/アイスランド語・英語/71分/原題:The Day Iceland Stood Still
後援:アイスランド大使館
提供・配給:kinologue
X@wdayoff_1975
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Facebook@shousewives.wdayoff
BOOK 『森のはずれの美術館の話』

クリスマスのプレゼントとしてもいいなと思って選んだ、今月の本は国立西洋美術館を題材とした絵本 『森のはずれの美術館の話』。
文章は小説『西の魔女が死んだ』などでも知られる梨木香歩さん、絵は「リサとガスパール」シリーズの画家ゲオルグ・ハレンスレーベンさんが手がけています。

絵本は2部構成。第1部は「電車に乗って美術館にきた ある母子の話」。男の子が美術館でお母さんとはぐれてしまうところから物語がはじまります。男の子はあひると女の子、そしておじいさんと出会います。


第2部は大人に向けたモノクロページの「西洋美術館クロニクル。遥か東の国に、西洋絵画を展示する美術館が生まれるまでの歴史を、ファンタジーと現実が交錯する詩的な語り口で描きます。
国立西洋美術館といえば、フランスを中心に活躍したル・コルビュジエによる建築が有名。絵本のなかに出てくる絵画も、実際に美術館で展示されているもので、絵画と建築、物語がリンクする、今までにはなかった新しい絵本。読み終えた後、美術館に行くと、また違う景色が見えそうです。
Exhibition 『髙田 安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方』

展示風景 撮影:加藤 健
そして展覧会は資生堂ギャラリーで開催中の、一卵性双子のユニットで活躍するアーティスト、髙田安規子さん、政子さんによる「Perspectives この世界の捉え方」。
身近な素材を使い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに制作する二人。数学や物理学的アイデアを背景に、繊細かつ緻密な手仕事や構成で生み出され、アートと化学を融合させた独自の感性により表現されます。

《Relation of the parts to the whole》 2025 鏡(217枚)、金具 撮影:加藤 健
資生堂という社名の由来でもある、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)」という考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的、微視的にとらえ、可視化。新作やこれまでの作品を再構成したものを中心に、約20点が展示されています。

《Strata》 2025 化石、古本、鉱石、岩石、生物の骨 撮影:加藤 健

《Can’t see the forest for the leaves》 2024 アンティーク ポストカード、顔料インク、葉 ※個人コレクション 撮影:加藤 健
本を積み重ねて地層に見立てた《Strata》 や、217枚のさまざまな大きさの鏡を中央から放射線状に広がるように展示した《Relation of the parts to the whole》 、1930年代からアメリカで穀物を入れる袋として使われた布「フィードサック」を使ったパッチワークのベッドカバーを、ベッドの大きさと比例して赤から紫へと色のエネルギーが大きくなっていく順に並べた《Spectrum》など。作品の素敵さと、それに込められた意味の深さにずっとこの空間にいたくなるような気持ちになります。
おすすめしてくれたのは
編集者・ライター・
赤木 真弓さん

雑誌やウェブ、書籍で、主に暮らしまわりの記事を手がける。イベントで国内外の古本や雑貨を扱う「greenpoint books & things」、旅好きライターユニット「auk」としても活動。『ラトビア、リトアニア、エストニアに伝わる温かな手仕事』(誠文堂新光社)ほか、旅にまつわる著書多数。趣味は映画、アート、K-POP鑑賞、書店巡りなど。リンネル本誌では「アート&イベント」、リンネル.jpでは「今月のTO DO LIST」「清水みさとの食いしんぼう寄り道サウナ」などの連載を担当。
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text & edit:Mayumi Akagi
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