CULTURE
:【春の京都・両足院】 着物で訪ねる、自分を見つめるお守り「結守」づくりの静かな時間
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こんにちは。元呉服屋で、日本の文化や着物が身近にある生活を楽しんでいる暮らし部エディターのrinaです。
つい最近新年を迎えたばかりのはずなのに、気がつくと3月ですね。一年の1/4が過ぎようとしているなんて……。そんなあっという間に過ぎてしまう日々の中で、今の自分を見つめなおし、理想の姿を考える時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。
今回は世界にひとつだけのお守り「結守(ゆわいまもり)」を作りに、着物を着て京都の東山にある両足院へ行ってきました。
着物のコーディネートのほか、制作を通して感じたことや、このお守りのご由来がとても素敵だったのでご紹介します。
コーディネートは凛とした禅寺と
かわいらしいお守りからイメージ

淡い黄緑と黄色のぼかしに、椿柄の小紋/グレーの半幅帯/花柄の織りの着物コート/真綿のショール
この日の京都はまだまだ寒く、妊娠6ヶ月の私は首もとを守るためにタートルネックの上に着物を着ることにしました。両足院は禅寺なので派手すぎず、凛とした空気に合うように寒色で落ち着いた色合わせを意識して。でも結守の可愛らしい要素も入れたくて、花のモチーフをところどころに入れました。黄緑と黄色のぼかしがコーデに温かみを添えて、小さな春の訪れを感じさせます。
帯は電車移動もあるので楽ちんに半幅帯。明るいグレーの面だけを見せるとのっぺりとするので、前帯を一部折り返して、帯締めも斜めにして、小さな遊びをプラス。手袋にブーツに真綿のショールで防寒対策もばっちりです。


冬と春が入り混じる季節。着物選びの楽しさも広がります。
京都・東山にある禅寺
両足院の結守づくりへ
両足院は、阪急河原町駅の中央改札口から地上へ出て、徒歩15分ほど。四条通り、鴨川、南座など、京都に来たら見ておきたい景色の中を歩いていくのでとても楽しいです。祇園も近く、食事処や着物のレンタルショップも多いので、観光するのにも便利な場所です。
両足院の鎮守である毘沙門天像は、七福神の一人としても有名です。インド神話の財宝神クベーラを前身にもつとされる神様で、勝負運、商売繁盛、合格祈願、良縁成就、誓願成就などの神様として信仰されています。
両足院 お守りづくり体験「結守」
場所:両足院 写経場
公式サイト:https://ryosokuin.com/
住所:京都府京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町591
時間:9:30〜16:00
志納料:3,000円
予約:不要
結守の授与所は門をくぐったらすぐに見えてきます。写経場は建物内なので天気や気温を気にすることなく過ごすことができました。さっそく志納料を支払い、お守りを選びます。
お守りの袋には華やかで繊細なインド刺しゅうやシンプルな麻を使った生地に、菊結びや梅結び、叶結びなど縁起の良い結び紐があしらわれています。生地、結び方や紐の色との組み合わせ、ひとつとして同じものがなく、どれもかわいらしいので目移りしてしまいます。
迷いに迷って、この日の澄んだ空気を思い出させてくれそうな淡いブルーグレーの花の刺しゅうのものに決めました。今日のコーディネートにもピッタリです。
用意されているお守りを購入するだけだった今までとは違い、願いたいことや今の気分に目を向けて「自分のためのお守りを自分で選ぶ」という体験がとても新鮮でした。

ケースの中にたくさんの結守。これは迷う……!
お守りづくりに必要な道具を受け取り席に着いたら、筆ペンを使って自分の願いを書いていきます。机に作り方の説明書が置いてあるので安心です。どのように書いたらいいか分からない、といった相談も、スタッフの方に聞けば丁寧に対応してくださいます。

(お守りづくりの道具) 願いを書く紙、筆ペン、祈祷済みの木札、塗香、包み紙
自分の願いを改めて考え、じっくり深める
瞑想のようなひとときの心地よさを知る
いざ自由に自分の願いごとを書いていいとなると意外と難しいもの。今までのお守りは、「家内安全」「安産祈願」など、願いごとを叶えるというよりは一年を通して神様に見守っていてもらうための”安心”を形にしたものだったように思います。でも今回は、自分がどう在りたいのか、どんな一年にしたいのか、そのために何をするのか、自分自身への問いの先にある”決意”や”願い”を形にするためのものです。
やりたいことがたくさんあるタイプの私は、自分の中の膨らんだ気持ちを少しずつほぐして、根本となる在りたい姿や今集中したいことを考える時間となりました。削ぎ落とす作業をしていくと、意外と私の欲望はシンプルで、日々の小さな心がけで心を満たすことができるのではないかという気づきがありました。書き終えた頃には頭がすっきりと冴え、心も軽く、心地よい感覚だけが残っていました。自分の心の「今」を見つめる作業は、瞑想に近い作業だったのかもしれません。


窓から見える美しい庭が、心を静かにし、瞑想の時間へと誘います
願いを書いたら、紙を折りたたみ、木札と塗香をつけて、包み紙に包んでお守り袋に納めます。これでお守りは完成です。
中身を知っているのは自分だけ。自分で選んで、自分で願いを書いて、そして自分の手で決意を込めて封をする。一つ一つの動作が、お守りをより特別なものにしていきます。
夫に抱かれていた息子が触りたそうにしていたので膝に乗せ、最後は一緒にお守り袋に入れました。一人はもちろん、家族や友人、大切な人と一緒にお守りを作る時間は、素敵な思い出になること間違いなしです。


封をして、お守りに決意を込めていきます
「願いが叶いますように」ではなく
決意を宣言し行動を変えるきっかけに
最後に、この結守の背景についてお話を伺うことができました。
この結守が授与され始めたのは約2年前。「坐禅は敷居が高いけど、日常の中で少しでも瞑想のような時間を設けられれば」と、この体験が考案されました。生地を切って縫い、生地に穴を開け、紐を結び、袋に詰める。その全ての工程は手作業によって作られているそうです。そんな制作にまつわるお話を聞き、結守はかわいいお守りというだけではなく、多くの方々の手仕事の温もりを感じられるひとつの作品なのだと感じました。
お客様もさまざまで、修学旅行生や、カップル、親子が多いようですが、男性だけで来ることもあるそう。最近はSNSでも紹介され、海外の人も増えてきたようです。世代や性別、国籍を超えて体験できるお守りづくり。とても素敵ですよね。

毘沙門天へお詣り
具体的な目標でも、決意表明でも、誰かへの手紙でも、願いを書く紙には何を書いてもいい。その自由さがこのお守りの一番の特徴。自分自身の想いを綴ること、その書くという行為自体がひとつの祈りのようなものなのかもしれません。
「願いが叶いますように」と神様頼みの受け身のものではなく、自分で考えて書き、そして自分の中にその願いを留めて、思い返して自分を鼓舞するためのものにする。行動を変えるきっかけとなるお守り。それが結守に込められた願いでした。
「自分で作れるかわいいお守り」というだけで足を運んだ私ですが、実際にお守りづくりを体験し、その歴史や背景を学ぶうちに、かわいいだけではない魅力にどんどん惹かれていきました。自分の「今」と向き合う時間は、新しい自分に出会えるようなそんな嬉しさに満ちていました。

帰りに毘沙門天にお参りをし、門を出ました。
ほくほくと温かい気持ちに満たされながら、お守りをバッグに結びます。うん、やっぱりかわいい。この子にしてよかった。いつでも身につけておきたくなるかわいいお守りに心躍ります。見るたびにこの日の空気と、書いた願いやその時の気持ちを思い出せる。そんなお守りってなかなかないですよね。
両足院では、結守だけでなくさまざまな体験が用意されています。予約制にはなりますが、セルフ坐禅やサウンドメディテーションもありますので、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
これからの時期、桜で賑わう春の京都で、喧騒から抜けだし、静かなこの場所で自分の「今」を見つめる贅沢な時間を過ごしてみませんか?「新しい自分に出会う体験がしたい」「いつもと違う京都を味わいたい」「大切な人との特別な思い出を作りたい」この記事がそんな方の参考になると嬉しいです。
リンネル暮らし部エディター・
rinaさん

どんなときでも自分の好きを大切に。元呉服屋で毎日着物生活。転職後は「暮らしの先にある着物」を求めて、美味しく愉快で心地のよい生活を日々研究中。リンネル暮らし部エディターとしてブログを発信中。
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