CULTURE
:高橋一生さんインタビュー「役を通して、自分を見つめ直す」
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本日公開の映画『ラプソディ・ラプソディ』で、“絶対に怒らない”主人公を演じた高橋一生さん。思わぬ騒動に巻き込まれ、人生が急展開していく彼を演じながら、自身の内面にはどのような変化があったのでしょうか。
作品への向き合い方から、日々の暮らしのことまで、飾らない言葉で語っていただきました。
ひとりの人生ではできないことも、
役では疑似体験できる
━━俳優としてますます存在感を増し、観る人の心に強い印象を残している高橋一生さん。真摯に役を追求するなかで、お芝居に対する思いも、少しずつ形を変えてきたようです。
「単純な楽しさというよりも、“パーツ収集”に近いかもしれません。人はこういうときに、こういうふうになるんだな…と疑似体験している感じです。一個人の人生ではなかなかできないことも、フィクションの世界でなら疑似体験ができる。それを自分にフィードバックしていると、結局は『自分がどうあるか』ということにフォーカスしていく。日々勉強しているような感覚です」
━━そんな高橋さんが、映画『ラプソディ・ラプソディ』で演じるのは、ちょっと天然で、絶対に怒らない男・夏野幹夫。知らぬ間にある女性と、勝手に籍を入れられていたことをきっかけに、彼の人生が思わぬ方向へ動き出す……という人間ドラマです。
「幹夫のような、内省的で周りの人を傷つけない……という役は、ここ10数年くらい演じていなくて。僕はいま45歳なんですが、この年齢で成立するのかどうか。大丈夫だろうか? とまず思いました(笑)。それを監督の利重剛さんにも正直にお伝えしたんですけれど、最終的に利重さんが『楽しいからやろうよ』とおっしゃって。信頼している利重さんがそう言ってくださったということなら大丈夫でしょう、と」

━━幹夫をひも解いていく時間は、高橋さんにとって自分自身を見つめ直すきっかけにもなりました。
「幹夫のおもしろいところは、『自分というものを殺して無害な状態になれば、周りともうまくやっていけるだろう』という、大きな勘違いをしているところ。人と関わる上では、少なからず自分の本質的な部分と向き合わなければいけない瞬間があるものですが、そういう一切のことから幹夫は距離を取っていた。演じていて、『大丈夫?』と助けてあげたくなる感覚がありました。ただ、この『〜してあげる』という言い方は、押しつけがましくて僕は好きではないんです。そんな気持ちになっている自分も浅ましいんじゃないか、本当の意味で『寄り添いたい』という感覚は自分の中にないのだろうか。自分を見つめ直すような、なんとも不思議な感覚になる役ではありました」

━━今作は、利重監督の出身地でもある横浜で、全編ロケが行われました。異国情緒あふれる横浜ならではの空気感も、お芝居に影響を与えていたようです。
「以前、取材で『一番影響を受けた映画は何ですか?』と聞かれて、ふと思い浮かんだのがハリソン・フォードの『逃亡者』でした。なぜかというと、僕はそれを中学1年生の頃に渋谷の映画館で見て、友達と逃亡者ごっこをしながら帰ったんです。それって、やっぱり渋谷だったからなんですよね。これが例えば森だったら、そんなことは起きない(笑)。都会で逃げ回るハリソン・フォードの話なので。そのように、場所は強い影響を与えるものだと思っています。横浜という場所は独自の歴史があって、東京とは違う道を辿って形成された空気がある。そういう場所でお芝居をすると、同じ台本でもどうしても変わる部分があると思います。ただ、それを意識しすぎると、縛られてしまうので。あくまで、『ここで日常を生きている幹夫』として、存在するようにしていました」

━━映画の公開は5月1日。新緑のまぶしいこの季節、大切にしたい時間について尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「僕は歩くのが好きなんです。大抵同じルートですし、それほど特別なことはないんですけれど、たまにあえて知らない道を進んだりするのもおもしろい。なんだかかけがえのない時間ですね。10年以上前は、僕もよく自転車や徒歩で移動していましたが、忙しくなるにつれてそういう機会がなくなっていて。でも最近は、あらためて日常の行為を丁寧にやりたい気持ちになっています。誰に見せるわけでもないけれど、ちょっといい花を飾ってみたり(笑)。花の水を替えたりしてると、『生きるってこういうことだよな』と実感するんです」

Profile
高橋一生
1980年生まれ、東京都出身。ドラマ・映画・舞台と幅広く活躍。舞台「天保十二年のシェイクスピア」で第45回菊田一夫演劇賞、NODA・MAP「フェイクスピア」で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。近年の出演作に映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』『岸辺露伴は動かない 懺悔室』『脛擦りの森』、ドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」「ブラック・ジャック」「1972 渚の螢火」など。現在、主演ドラマ「リボーン 〜最後のヒーロー〜」が火曜21時〜テレビ朝日系で放送中
作品情報

『ラプソディ・ラプソディ』
“絶対に怒らない男”の夏野幹夫(高橋一生)が、ある日パスポートの更新のために取得した住民票を見ると、そこには身に覚えのない「続柄:妻」の文字が。どうやら「繁子」という名の女性が、自分と勝手に籍を入れたらしい。正体不明の「夏野繁子」探しの末に見つけ出したのは、破天荒すぎる女性だった。あまのじゃくな繁子に振り回される幹夫だったが、おかしな出会いはやがて2人の人生に予想もしなかった変化をもたらしていく。
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