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自分を愛して、生きやすくなる。“セルフラブ”の育み方。 自分を愛して、生きやすくなる。“セルフラブ”の育み方。

セルフラブとは、自己肯定感のこと。「自己肯定感が持てず、生きづらさを感じる」「自分にダメ出しばかりしてしまう」そんなお悩みをよく聞きます。人格が形成された大人になってから、セルフラブを育むことは可能なのでしょうか? 心理カウンセラーの山根先生にお話を伺いました。

目次
自分を愛して、生きやすくなる。“セルフラブ”の育み方。
  1. セルフラブを拒む原因、“メンタルノイズ”とは?
  2. 現代女性が抱える、8つのメンタルノイズ
  3. セルフラブを育む、8つのエクササイズ法
  4. メンタルノイズを手放すためのアドバイス
  5. 教えてくれた、心理カウンセラー・山根洋士先生 Profile

セルフラブを拒む原因、“メンタルノイズ”とは?

ありのままの自分を愛したいのに、それを邪魔する声が心の中から沸き起こってくる。この現象を山根先生はメンタルノイズと呼んでいます。

「メンタルノイズとは、自分がついやってしまう心のクセのようなもの。内容はさまざまですが、多くは育ってきた環境や幼少期の体験の中で、いつの間にか刷り込まれてきた価値観や思い込みです。セルフラブが持てない人は、『どうせ自分は認めてもらえない』などと必要以上に自分を責めています」

SNSで楽しそうな他人の投稿を見て「いつも充実している人はすごいな」「自分が投稿しても“いいね”がつかないかも」と胸のあたりがざわつく感じ。これはノイズが発動している証拠。

「ただでさえ、真面目で人目を気にする日本人は多くのメンタルノイズを抱えています。真面目な人は目の前にある問題を解決しようと、とことん向き合うため、自分責めに歯止めがきかず、セルフラブを持ちづらいのです。ノイズは潜在意識の中に刷り込まれているので、いきなり消えることはありませんが、『うまくいかないのは自分のせいではなく、メンタルノイズのせいだ』と認識するだけで、自分を愛することが楽になるはずです」


現代女性が抱える、
8つのメンタルノイズ

メンタルノイズを認識するには、具体的にノイズを見つけることが大事。山根先生が分類した14の主なメンタルノイズの中から、特にリンネル読者世代が抱えていることが多い8つをピックアップ。あてはまるものが多いほど生きづらさを感じているそう。まずは自分にあてはまりそうなものを探してみましょう。

<ダメ出しノイズ>

●人前で話すのが苦手
●ちょっとしたミスが一日中気になる
●家に帰るとどっと疲れる

自信がないので何をやるにも堂々とはできず、ちょっとした失敗も引きずってしまう。責任ある立場は避けようとし、「自分にはこの程度」と考えがち。親や先生にダメ出しを繰り返される環境で育った人に多く、「自分は大事じゃない」と、考えるクセがついています。

<他人ファーストノイズ>

●自由に生きている人を見るとイラつく
●手伝ってと言えず、遅くまで残業する
●自分が何をやりたいのかわからない

言いたいことが言えず、遠慮しがち。これが続くと、自分のやりたいことが何なのかわからなくなるのが問題です。家庭の中で、自分を殺して周りを気遣わなければいけない環境で育った人、特にきょうだいの多い家の長女が多いでしょう。「自分の嫌なこと」に気づくことが大切。

<他人が怖い、裏切りノイズ>

●人と距離感がなかなか埋まらない
●親密になると壁を作って遠ざけてしまう
●人に仕事を任せるのが苦手

人に近づくのを恐れたり、親密になると居心地の悪さを感じたりするタイプ。やさしい親が急に機嫌が悪くなって怖い思いをしたり、大好きな祖父母をなくしたりと、対人関係で傷ついた経験が根底に。自分を守るためのノイズですが、あえてそれを無視すると解決に向かいます。

<タイムイズマネーノイズ>

●時間に余裕があっても最後はバタバタ
●いつも焦っていて、何かに追われている
●行動が遅い人にイライラする

本来はのんびり屋さんなのに、親から時間がもったいないと厳しくしつけられ、意味もなく時間に追われるように。急かされることによりミスが多くなって、自分を責めてしまいがち。まずはゆっくり食事をしたりして、本来の自分のペースを再確認するとよいでしょう。

<ありのままの自分封印ノイズ>

●他人のSNSを見てへこむ
●身近な人のいい報告を喜べない
●人からの評価が過剰に気になる

すぐに他人と自分を比べてしまうタイプ。自分の軸がないので、相手の期待に応えて無理をしがち。幼いころに人と比べられたり、誰かの理想を押し付けられて育ったタイプに多いです。ありのままの自分を出すと、周りに認められないという思い込みがあります。

<謙虚謙遜ノイズ>

●褒められても素直に受け取れない
●恋愛で理想的な相手だと、引け目を感じる
●リーダーに推薦されると断ってしまう

他人に認められないと悩んでいますが、実際は他人の称賛や愛情を素直に受け取れない。母親との関係に原因があり「母親に自分の何を認めてほしいのか」「母親からもらっているもので、受け取るのを拒否しているものがあるのではないか」と考えると解決のヒントに。

<幸福恐怖症ノイズ>

●長い休みを心から楽しめず不安に
●何もしないと罪悪感がある
●わざわざ苦労して、達成感を得ようとする

周りからは幸せそうに見えても安心できず、怠けることに罪悪感を持つタイプ。両親が苦労していたり、母親が我慢をしているのを見て育ったりした人で、日本人にはとても多いノイズです。両親は好きで苦労を選んでいただけで、自分には責任がないと気づくことが大切です。

<おもてなしノイズ>

●自分の一挙手一投足で嫌われたかもと被害妄想に
●どう思われるか気になり、SNSに投稿できない
●ひとりになるとぐったり疲れる

自分を犠牲にして他人を喜ばせようとするので、人といると疲れてしまう。サービス精神旺盛で他人のために尽くす親の姿を見た人に多く、「自分は我慢して人を楽しませたほうがいい」と思い込んでいます。自分が楽しくて相手も楽しいことを増やすことが解決法です。


ノイズに邪魔されない心に!
セルフラブを育む、8つのエクササイズ法

自分のメンタルノイズがわかると、その影響を受けないように少しずつ体質改善していくことができます。ここで紹介する8つの心のエクササイズの中から、できそうなものから日々の生活に取り入れてみて。

#01 やめることリストを作る

To Doリストの逆で、「STOPリスト」を作りましょう。To Doリストはやらなければならないことが増えていくので、心の負担が重くなります。できなかったことが増えると自分を責める原因にも。受け身のクセをなくすには、やらされ感がなく、自分で決めて、挫折しないことが大事です。

#02 テレビのながら見を禁止する

流れてくる情報を一方的に受け止めているのがテレビのながら見。見ていないつもりでも、心は勝手に気になる情報をキャッチしてしまいます。“ちゃんとしなきゃ”と思う人はそう思わせる情報だけを耳にして、いつの間にかノイズが増幅。テレビは見たい番組だけにし、スイッチを切って。

#03 心の中にチャウチャウを飼う

「どうせ私は……」というノイズが出てきたら、心の中のキャラクター・インナーチャウチャウ犬の出番。「ちゃうちゃう!」と否定してもらいましょう。自分を客観的に見るのは難しいものですが、キャラクターを設定しその子にセリフを言わせることで、第三者的に見られるように。効果絶大です。

#04 絶好調ラベルを貼る

不調を感じるとネガティブ思考になりがち。その逆で、いいところを見つける心のエクササイズです。「頭が重い」と思ったら、「でも、胃の調子はいいし、腰も痛くない。むしろ絶好調!」と考えること。無理にポジティブ思考にせず、不調を見つけたら同時に好調なところを探すのがコツ。

#05 自分実況中継と自分司令官

まず「今、本を手に取った」など自分の動作をひとつひとつ実況中継し、自分を客観視しましょう。次に自分が自分の司令官になって、行動する前に指令を出します。これをすることで、無意識でやっている行動をおさえ、受け身にならずにさらに自分を客観視できます。

#06 嫌なことはトイレで水に流す

ミスするとなかなか切り替えられない人におすすめ。嫌なことがあったらできるだけ早くトイレに行き、嫌なものがついていそうなイメージのある体の部分をトイレットペーパーで拭いて、トイレに流すこと。自宅ならシャワーで体を洗い流したり、手指をていねいに洗うのも効果的です。

#07 やめてみる10秒瞑想

“メンタルノイズは消せる”と気づくためのエクササイズ。頭の中で「やめてみる」ことを10秒イメージします。最初は「心臓の動きを止める」イメージ。実際にはそれをしたら死んでしまいます。次に「ノイズに従うことをやめる」イメージを。ノイズを拒否しても、死なないことに気づけたら◎。

#08 オセロ式メンタル反転法

メンタルノイズを、いきなりすべて消すことは困難。オセロは一手ですべてを反転させることはできず、1個1個黒と白を反転させていきます。そんなふうに、1日に1回でもノイズの存在に気づいてそれを拒否できたら、成果があったと考えて。自分の変化に気づけるはず。


メンタルノイズを手放すためのアドバイス

「さんざんあなたを悩ませてきたメンタルノイズですが、一方でこれまでの自分を守ってきてくれたものでもあるのです。メンタルノイズのもとは幼少期に作られますが、『親の言うことを聞けば褒めてもらえた』『親を気遣っていると親の機嫌がよかった』など、もともとあなたを守るためのものでした。それが大人になって環境が変わり、通用しなくなってしまっただけなのです。“もう守ってくれなくても大丈夫だよ”というイメージで、メンタルノイズを手放していってください」

メンタルノイズは急に消えるものではないですが、ノイズの影響を受けないように心掛けていれば、たまに悪い結果になっても「ああ、邪魔されちゃったなあ」と受け止められます。

無理にポジティブシンキングを持たなくてもいいのです。大事なことは、ダメな自分もありのまま受け入れること。まずはそこから始めてみませんか?


教えてくれたのは…
心理カウンセラー・山根洋士先生

profile
これまでに8000人以上のカウンセリングを行い、AIやロボット科学、脳科学を取り入れたメンタルノイズメソッドを開発。著書に『自己肯定感低めの人のための本』(アスコム)、最新刊『「自己肯定感低めの人」が幸せになるワークブック』(宝島社)が発売中。

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCslhXIh3I5Z-tSUubCYwLUQ
Twitter:@yamane_hiroshi

illustration: Shinco Uematsu text: Ema Tanaka web edit:Liniere.jp
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください

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