プチ不調を解消することは、病気にならない心と体の状態をめざすこと。今までの習慣を見直し、自分の体質について理解することが大切です。修琴堂大塚医院の院長・渡辺賢治先生に症状別のケア方法を教えていただきます。
1.コロナかも!?と
不安になる「風邪」
免疫力up&早めに対応するのが重要
風邪の原因は、空気中に浮遊するウィルスがのどや鼻の粘膜に付着すること。ただし、ウィルスが侵入しても必ず症状が出るわけではなく、全身を巡っている免疫細胞がウィルスを撃退すれば、風邪症状は出ません。しかし、免疫力が低下すると、ウィルスの増殖に対応できず、鼻水やのどのはれなどの症状が出るのです。免疫力の低下をふせぐことがいちばんの風邪対策。そして、風邪かなと思ったら早く治療して休養をとることです。
<対処法1>
とにかく体を温める
<対処法2>
ひき始めは漢方薬でケア
<対処法3>
室内の加湿
インフルエンザウィルスは、湿度50%以上で生存率が低下。湿度が高いと、のどの繊毛がウィルスを出す役目を果たすので、加湿を。
2.長時間同じ姿勢でガチガチに!
「肩こり」
こわばった筋肉を
こまめにほぐして対策
テレワークで同じ姿勢を続け、筋肉が緊張すると、血流が悪くなり細胞が酸欠状態に。それにより痛みを起こす物質が生成されるのが、肩こりの原因です。また、血流が悪くなると老廃物がたまり、その刺激も痛みを起こします。また、肩こりには、酸素の運搬を行うヘモグロビンが少ない貧血が隠れていることもあります。
<対処法1>
15分に1回は動かす
<対処法2>
わき下マッサージも効く
3.わけもなく不安やイライラを感じる
「心の不調」
心の不調は
脳と密接な関係がある
メンタルは気分の問題と思いがちですが、脳内ホルモンも深くかかわっています。幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンやセロトニンなどが減るとうつ傾向に。また、ストレスが長く続くと、それに対抗するコルチゾールというホルモンが分泌されますが、コルチゾールが過剰な状態が長く続くと、幸福感や意欲を感じにくくなります。
<対処法1>
気持ちの切り替えが
できる場所を持つ
<対処法2>
ビタミン、ミネラルを摂る
脳の神経伝達物質の働きを助ける「天然の精神安定剤」がビタミンやミネラル。カルシウム、亜鉛、マグネシウムのほか、赤身魚やナッツに含まれるセレンは、うつ症状や不安感の改善に。コルチゾールが分泌されるとビタミンCを消費するので、ストレスの多い人はビタミンCの補充を。
4.1日中だるく何をしても疲れる
「倦怠感」
胃腸の機能が低下しているせいかも?
倦怠感の理由はさまざま考えられますが、漢方では体に必要なエネルギーが不足する、「気虚」の状態と考えられます。胃腸の働きが落ちて食べてもきちんと消化されなくなり、バテてしまう状態です。また、頭が重かったり、立ちくらみしやすいのは、自律神経の不調が原因かも。休息をしっかりとり、食生活の改善を。
<対処法1>
野菜やたんぱく質をしっかり摂る
<対処法2>
食べる物だけでなく
食べ方も重要
食べ物をよく噛むと唾液の分泌量が増え、消化酵素のアミラーゼが分泌されます。食べ物の味がよく感じられ、胃腸への負担が軽減されます。よい姿勢で一口30回以上嚙みましょう。
5.朝は顔が、夕方は脚が気になる
「むくみ」
テレワークで運動不足の人も増加
むくみは体内の水分代謝がうまくいかない状態で、漢方では「水毒」と呼ばれます。脚のむくみはテレワークによる運動不足、顔のむくみは耳~あごのリンパの詰まりが原因。全身のむくみは自律神経の影響が。また、月経時は女性ホルモンが変動することで血管が広がり、末端に水分が集まってむくみやすくなります。
<対処法1>
軽い運動を習慣づける
長時間立ちっぱなし、座りっぱなしの人は、歩くことで足の筋肉のポンプ機能が働き、むくみが解消します。
<対処法2>
利尿作用のあるお茶で水分補給
6.ストレスや生活リズムの
乱れで起こる「頭痛」
2種類の頭痛でそれぞれ別の対策を
頭痛には2種類あります。ひとつは、肩や首の筋肉の緊張で血管が収縮し、筋肉内に老廃物がたまって痛みが起こる緊張性頭痛で、午後~夕方に起こりやすく、テレワークで増加中。もうひとつは、血管の拡張が原因で周囲の神経が刺激される片頭痛。こちらは、休日などストレスから解放されたときにも起こります。そのほか、女性ホルモンの影響や天候なども頭痛の原因になります。突発的な激しい痛みは我慢せずに病院へ。
緊張性頭痛
…頭が締めつけられるような痛みで、頭全体、特に後頭部から首筋のあたりを中心に痛むことが多い。精神的なストレスが原因となって、筋肉の緊張と無関係に起こることもあります。
片頭痛
…ズキンズキンと血管が脈打っているような痛み。吐き気や嘔吐、下痢をともなったり、光、音、気圧や温度の変化に敏感になる場合も。女性ホルモンの変化も原因になります。
<対処法1>
首や肩の血流をよくする
<対処法2>
静かな場所で安静にする
プチ不調に気づいたときのリンネルおすすめケアアイテム
荒れたのどをいたわるスプレー
小豆の蒸気で首・肩を温める
あったか着圧レギンスで脚すっきり
いつでもどこでも飲める、液体の頭痛薬
教えてくれた
渡辺賢治先生 profile
スタンフォード大学遺伝学教室、慶應義塾大学医学部漢方医学センター長などを経て、1931年設立の漢方専門医院・修琴堂大塚医院の院長に。著書に『未病図鑑』(ディスカバー・トゥエンティワン)など。
illustration: Shinco Uematsu text: Ema Tanaka web edit:Riho Abe
リンネル2021年12月号より
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