コロナ禍で感じる、体と心のプチ不調。こんな症状が出ていませんか？ コロナ禍で感じる、体と心のプチ不調。こんな症状が出ていませんか？

在宅で人との交流が減って、なんとなくの不調を感じることが増えていませんか？ なんとなくの不調を放置せずしっかりと対処することで、病気を遠ざけ、健康を保つことができます。修琴堂大塚医院の院長・渡辺賢治先生に不調を放置しない大切さを教えていただきます。

なんとなくの不調＝未病。
放置すると病気の原因に……

「コロナ禍で、今まで暴飲暴食や会社でのストレスが多かった人は規則正しい生活で健康になっていますが、一方で外出が減ったことで、心身の不調を感じている人も多いです」と、渡辺先生。健康の基本は、食事、睡眠、運動習慣。睡眠不足が解消すれば元気になるし、通勤が唯一の運動だという人は、動かないことにより体にこりや張りが出ます。

「大切なのは、なんとなくの不調を放置せず、自分の体の声をよく聞くこと。病院では診断されない慢性的な不調を、漢方では未病といいます。未病はケアをすれば回復しますが、それになれて放っておくと、いつ病気になってもおかしくありません。未病のうちに対処しておくことで、病気を遠ざけて、健康を保つことができます」。

こんな症状ありませんか？
プチ不調のチェックリスト

□ 急に頭痛がするときがある
□ 肩こりが慢性化している
□ 倦怠感がありやる気が出ない
□ 急に不安になるときがある
□ 怒りっぽくイライラしてしまう
□ 脚や顔がむくみやすい
□ 風邪をひきやすい
□ 顔色が悪いといわれる
□ 下痢や便秘になりがち
□ 胃もたれやお腹の張りを感じる

ひとつでもあてはまると「未病」の疑いあり！

プチ不調が出たら？
まず日常生活を見直しましょう

１.体の声を聞く

“なんとなくの不調”は、体が発する未病のサイン。「病院に行くほどでもない」と感じる不調も、漢方的には問題のある症状で、生活習慣で改善できる場合があります。定期的な健康診断で、チェックすることも大切です。

２.質のいい睡眠

睡眠は深い眠りのノンレム睡眠が重要。ノンレム睡眠中に、体は傷ついた細胞の修復や再生、免疫力の強化、いやな記憶の消去を行うからです。朝の光を浴びたり、寝る前のスマホをやめるなどして睡眠の質の改善を。

３.食にこだわる

食材には「陽」の食材と「陰」の食材があります。それらを季節や体質に合わせて摂って、体を「中庸」に保つことをめざすのが、漢方の食養生です。旬の食材を中心にバランスよくとって、よく嚙んで食べましょう。

４.体を動かす

理想は1日60分の運動ですが、運動習慣のない人は、「プラス10分、多めに体を動かすこと」を目標に。階段を使えばお尻まわりの筋肉が鍛えられますし、散歩のときに脚の付け根から動かすと体幹のトレーニングに。

５.入浴も大切

入浴は自律神経を整え、血流を改善する効果があります。寝る1時間くらい前に、のぼせない程度のぬるめのお湯に20～30分つかるのが理想。血流がよくなることで、免疫の担い手であるリンパ球や白血球の働きがよくなります。

６.呼吸を意識

横隔膜の周辺には自律神経が密集しています。深く息を吸って横隔膜が動くと交感神経が優位に、息を吐くときは副交感神経が優位になります。1日のうちに何回か深い呼吸を行うことで、自律神経のトレーニングに。

７.姿勢を整える

デスクワークで前かがみの姿勢を続けると、肺が圧迫されて呼吸が浅くなり、自律神経の乱れにつながります。鏡で自分の姿勢をチェックする、椅子の背によりかかって背中を大きくそらすなど、姿勢を整える意識を。

教えてくれた
渡辺賢治先生 profile

スタンフォード大学遺伝学教室、慶應義塾大学医学部漢方医学センター長などを経て、1931年設立の漢方専門医院・修琴堂大塚医院の院長に。著書に『未病図鑑』（ディスカバー・トゥエンティワン）など。

illustration：Shinco Uematsu　text：Ema Tanaka　web edit：Riho Abe
リンネル2021年12月号より
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