“SDGs”というと大きすぎる目標に聞こえるけれど、私たちにもできることがたくさんあります。まずは未来への行動を実践している素敵な人のお話を聞いてみませんか? 今回登場いただいたのは、モデル・環境アクティビストとして気候変動問題に取り組む、小野りりあんさんです。
〈インタビュー〉自分の活動を持続可能にするために、拠点を北海道へ
日差しが心地よい8月の札幌。北海道育ちの小野りりあんさんは、今年、生活拠点をここ札幌に移すことに決めました。
「とはいっても、これまでどおりいろんなところに通いながら、モデルや環境活動を続けるつもり。大好きな地元にベースを定めたのは、自分がしっかりしていないと踏ん張れないと感じたから。今、地盤固めをしているんです」
小野さんが長らく活動を続けるのは、気候変動問題。「ともに活動している仲間が、疲れてきているなと感じるんです。それぞれ日々の生活でいっぱいいっぱいの中、気候変動について関心を持ってもらうのは難しい。無力を感じながらも、でも続けていくために、私たち自身メンタルのケアはとても大切だと気づきました。私も心の拠点を持つことで、また頑張らなきゃって」
そうしてでも今向き合わざるを得ないのは、危機が差し迫っていると感じているから。
「気候変動が進む現在、すでにたくさんの生き物が死に、人間も飢餓で苦しみ、洪水や森林火災などあらゆる災害も起こっています。気候変動は、いざ自分の前に深く影響が出たときに行動しても、手遅れだといわれているんです。一番恐れているのは、気候が乱れすぎて食糧ができなくなること。家は建て直せたとしても、食糧が不足するのは命の問題に直結します。そうなると、サバイバルの戦いが始まってしまい、恐ろしい行動を起こす人が出てしまう。実際今でも自分の身を守ることができず、たくさんの人が難民となっていて……」
気候変動の影響が紛争発生の火種となったり、紛争を長引かせ、悪化させるという研究結果もあります。決して、他人ごとではありません。
「今みんなで行動していかないと、という強い危機感を持っています。環境先進国では、数々の市民運動が起こっていますが、あらゆる活動の中でこの『市民運動』が一番インパクトのある結果を出せるのだそう。人々が力を合わせることで、何倍も影響力が増すんです。これまで歴史的に市民運動といえば、暴力的なイメージが強いかもしれません。でも、非暴力的で平和的で愛に溢れていて、きちんと伝わる市民運動も起こしていけるのだと3か月のヨーロッパ滞在で学びました。そして市民運動には、戦略を立ててデザインする人が必要なのだということも」
その「デザイン」についてさらに学びたい、そしてヨーロッパで広がる「未来世代法」を日本でも実現させたい……。大仕事だなあ、と笑いながら、たくさんのビジョンを教えてくれた小野さん。新たな知識の窓になってくれる彼女の活動を追うことも、私たちの環境活動の第一歩になりそうです。
<小野りりあんさんのSDGsなアクション #01>
気候危機について学びアクションする
もう待ったなしといわれる気候変動問題も、りりあんさんによれば「ヨーロッパなどと比べて、日本では情報に触れる機会がとても少ないと感じます。私はみんなにどう伝えて働きかけていくかについても勉強中」。私たちも、積極的に知ろうとすることが大切。
<小野りりあんさんのSDGsなアクション #02>
大切なことは自分や仲間をいたわる心
気候変動問題について、より詳細にリアルな情報発信が行われているヨーロッパでは「それを目にして“もう地球は滅亡だ”と、うつになってしまう若者も多くいます。また、気候変動についてずっと活動している人は、危機感が周囲に伝わらないことへのもどかしさや無力感に苛まれやすいんです。活動する人同士、自分や相手をケアするスキルを身につけていくことが大事だなと思っています」
<小野りりあんさんのSDGsなアクション #03>
地球によいことを楽しみながら取り入れる
「コロナ禍になりプラスチックのカトラリーを渡されることが増えたので、再びマイ箸生活に。マイボトルも毎日持ち歩きます」。クリーンカンティーンの使い込んだ水筒がいい味。マイボトルやバッグ持参なども、その意識がまわりに伝わることも環境活動の一環。
お話を伺った 小野りりあんさん profile
photograph:Junji Fukuda text:Miho Arima web edit:Riho Abe
リンネル2022年11月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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