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みんなの「おいしい!」は、地球にも人にもやさしいヴィーガン料理 フードプランナー・大皿彩子さん みんなの「おいしい!」は、地球にも人にもやさしいヴィーガン料理 フードプランナー・大皿彩子さん

大皿彩子 ヴィーガンレシピ

中目黒のヴィーガンカフェ『アラスカ ツヴァイ』やヴィーガンベーカリー『ユニバーサルベイクス』のオーナーを務める、フードプランナーの大皿彩子さん。おいしいを追求し、その感動をみんなで共有するために出合った「ヴィーガン料理」。おいしいを求めてヴィーガンを選択することが、地球にも人にもやさしい。おいしいから続けられる、そんな食生活を送るために大切なことを教えていただきました。

目次
みんなの「おいしい!」は、地球にも人にもやさしいヴィーガン料理 フードプランナー・大皿彩子さん
  1. みんなでおいしいを共有できる、ヴィーガン料理
  2. ヴィーガン料理を楽しく続けるための、サステナブルアイデア
  3. 大皿さん流・ヴィーガン料理をおいしくするコツ
  4. 繰り返し食べたくなる、おいしいヴィーガンレシピ
  5. お話を伺った 大皿彩子さん profile

1.みんなでおいしいを共有できる、ヴィーガン料理

ヴィーガン料理に出合ったきっかけ

「私はお肉や魚、卵も食べます。ヴィーガンの食生活をしているわけではない私が、なぜ自分のお店をヴィーガン料理にしたか。きっかけは、お店を始める前に訪れたドイツ・ベルリンでの出来事でした。レストランで、若い男の子たちがタバコを吸いながら、ヴィーガンのおつまみでお酒を飲んでいたんです。気になったので『ヴィーガンなの?』と尋ねると、『お肉が食べられない仲間がいて、ヴィーガンなら全員が食べられてハッピーだから』って。そのとき、腑に落ちたんです。例えば動物性のものを食べることに対して、宗教的や精神的な意識の違いがあったとしても、誰にとってもおいしい料理はヴィーガンなら作れる。いろんな食文化を持った人が集うテーブルで、より多くの人を喜ばせられる!と思いました」

大皿彩子 ヴィーガンレシピ

素材を味わうなら「植物性」で。野菜も余すところなく。

「おいしい野菜が手に入って、素材そのものを味わいたいなと思ったときには、すべて植物性のもので料理をします。すると、素材の味が素直に出て強く旨みを感じます。私は、野菜の皮は基本的にむきません。カブや大根は皮に味があるので、捨ててしまったらもったいない。パクチーの根っこも、ほうれん草の根っこのピンクのところも、すごくおいしいんですよ。すぐ使わないときは、冷凍保存しておきます。捨てないように工夫するのではなく、おいしいを求めた結果捨てない、というほうが合っているかもしれません」


2.ヴィーガン料理を楽しく続けるための、サステナブルアイデア

大皿さんの日々の暮らしから、ヴィーガン料理を楽しみながら未来まで続けていくためのアイデアをご紹介します。

<サステナブルアイデア その1>
野菜かすの再利用&冷凍ストックでおいしく負担減

ヴィーガン ヒューロム ジューサー
スロージューサーは『HUROM(ヒューロム)』のもの。この日はにんじんを入れて、手前にあるのができたジュース、奥が搾りかす。

スロージューサーで入れたコールドプレスジュースを飲むことが、毎朝の日課という大皿さん。お子さんも喜んで飲むそう。にんじんやほうれん草、りんごなど、皮ごとスロージューサーに入れて、出てくる搾りかすは料理に活用しています。

「素材がおいしいと、搾りかすもすごくおいしいんです。搾りかすは、スタッシャーに入れて冷凍しておけば、使いたいときにいつでも使えて便利。スープやカレー、味噌汁、何にでも入れてしまいます。ソフリットみたいな感じで、炒め物や生姜焼きなどにも活用するのもおすすめです。切る手間も省けて助かります」

<サステナブルアイデア その2>
生産者の顔が見える食材を買う&規格外野菜を食べる

フードプランナー 大皿彩子 ヴィーガン 野菜
この日の野菜と有機米は、神戸にある有機JAS認定農家『ナチュラリズムファーム』さんから。

運営するお店でも自宅でも、食品ロスはほとんど出ないそう。大皿さんのおすすめは「マイ農家さん」を持つこと。お気に入りの農家さんを持てば、ご飯がもっとおいしくなると話します。

「野菜やお米などの食材に対して『あの人が作ってくれた!』と大事に思う感覚があるだけで、料理はもっともっとおいしくなります。どうやって農家さんを探せばいい?と聞かれることもありますが、はじめはwebやSNSで気になった農家や農園さんのものを買ってみたらいいと思いますよ」

株の外側に生えている、サイズの大きいしめじ。

職業柄、全国の農家さんの情報も多く入ってくる大皿さん。『アラスカ ツヴァイ』の縁がつながって知った、市場には出回らない規格外のしめじの大ファンに。

「パックに入りきらない株の外側の大きなしめじは落とされて、地元の道の駅などで袋詰めになって売られていることが多いそうです。そのことを親しくなったきのこ農家さん教えていただいて、食べてみると、歯応えがあって旨みがぎゅっと詰まっていて、本当においしくて。虜になり、それ以来購入を続けています。また、農家さんから直接購入するようになると、規格外という概念もなくなります。少し曲がっていても、野菜のおいしさは同じですから」

<サステナブルアイデア その3>
作り手のこだわりが詰まった調味料を使う

大皿彩子 ヴィーガン 調味料
(写真左から)『日東醸造』しろたまり醤油、スペイン・カナリア諸島産の海塩『Sal Marina』、『ボッチ』無糖ピーナッツペースト、『センテナリウム プレミアム』オリーブオイル、『オッティモ』ホワイトバルサミコ酢とバルサミコ酢

素材の味をぐんと引き出してくれる調味料は、それだけでも主役級のおいしさ。大皿さんのキッチンにも、国内外問わず作り手の思いあふれる調味料がずらり。少し高価なものでも、手間ひまをかけて作られた本当においしいものを大切に使うようにしているそう。

「調味料を味わいたいから、調味料が主役の献立を考える日もあるくらいです。オリーブオイルやバルサミコ酢は、個人輸入している方の熱量に感動して、試食してみたら本当においしかった! また、スペイン・カナリア諸島からやってきた海塩は、『ユニバーサルベイクス』店長の旦那さんの地元のお塩です。美しいカナリアの海を思い浮かべて食事したら、楽しさもおいしさも広がりますよね」


3. 大皿さん流・ヴィーガン料理をおいしくするコツ

近年注目を集める大豆ミートをおいしく食べるコツなど、簡単ですぐに真似できる方法を教えていただきます。

<ヴィーガン料理をおいしくするコツ その1>
大豆ミートに下味をつける

下味につけている大豆ミート
下味につけている大豆ミート

なかなか思った味にならないという話をよく耳にする「乾燥の大豆ミート」。使い方のポイントは、切り干し大根や高野豆腐などの乾物感覚で扱うこと。水で戻して、水気をよく絞って、好きな下味につけてから調理に使います。

「この日のメニューは、大豆ミートの唐揚げ。しっかりした味付けにしたかったので、ニンニク、生姜、醤油、みりん、お水で薄めた下味に、半日ほどつけます。あとは絞って、片栗粉をつけて揚げるだけ。大豆ミートはおいしくて便利な乾物です!」

<ヴィーガン料理をおいしくするコツ その2>
野菜は鍋で火を通す

フードプランナー 大皿彩子 キッチン 鍋
大小さまざまな鋳物鍋を所有。

フライパンをあまり使わないという大皿さん。野菜やきのこに火を通すときは、鋳物鍋に入れて無水でじっくり火を通す調理が主です。

「野菜やきのこを鍋に入れて、オリーブオイルや塩などと一緒に弱火でゆっくりと火を通していきます。炒めるよりも簡単に本来の味を引き出せます。そして残った水分には、素材の旨みが出ているので、調理に余すところなく活用します」


4. 繰り返し食べたくなる、おいしいヴィーガンレシピ

大皿彩子 ヴィーガンプレート レシピ

今回教えていただいた、にんじんの搾りかす、大豆ミート、大きなしめじを活用したヴィーガンワンプレートです。

(MENU)
・大豆ミートの唐揚げ ピーナッツタルタルソース
・大きなしめじとマッシュルームと大麦のサラダ
・にんじんの搾りかすを使ったアーモンドミルクスープ

\おいしくなるポイント/

大豆ミートの唐揚げ ピーナッツタルタルソース

「大豆ミートは下味をしっかりつけて、よく水気を切ること。衣は片栗粉だけです。おいしくカリッと揚げるコツは、途中何度か箸で上げて、空気に触れさせることです。手間は少ないのに、簡単に上手に揚げることができることもおすすめポイント。ソースには『ピーナッツタルタルソース』をかけてみました。豆乳マヨネーズ、大きめに刻んだピクルス、そして隠し味は、千葉県産の無糖ピーナッツペーストを。甘さとコクがあって、香りもよくなります。ピーナッツペーストを入れるだけで、卵を使わなくても奥深い味のソースに変身します」

大きなしめじとマッシュルームと大麦のサラダ

「我が家の定番サラダです。大きなしめじを、多めのオリーブオイルとニンニク、塩だけで炒めました。そのまま茹でておいた大麦を加えて混ぜるだけで完成。大麦がきのこやオリーブオイルの旨みを吸ってくれます。ピクニック用にサンドイッチの具材にしたり、ピタパンなどに挟んでもおいしいです!」

にんじんの搾りかすを使ったアーモンドミルクスープ

「搾りかすにも、にんじんのおいしさがたっぷり詰まっています。それを活かすために、牛乳よりも、にんじんの味が引き立つアーモンドミルクをチョイス。調味料もすべてヴィーガンのもので作りました。鋳物鍋でじっくり炒めた玉ねぎの甘さも感じます。ポイントは、玉ねぎを弱火で炒めて焦がさないように注意すること。透き通ったらOKです」

作り方・レシピは、下記の「日々の食卓」Vlog動画をチェック!

「世の中にある、おいしい食材との出合いが大好きで、楽しくてしょうがない!」という大皿さん。“おいしくて、楽しいから”ヴィーガンの料理を続けられる。それが地球や環境、そして人にもやさしいアクションになる。

「私にとって、ヴィーガンは目的ではありません。おいしくて、楽しい食生活が前提です。『おいしい野菜の本来の味を楽しむために、植物性のものだけで調理してみる』まずはそれからでもいいと思います。おいしかったらその習慣を続けてみてください。それが少しでも広がって、みんなに連鎖していくことが何より素敵なことだと思います」


お話を伺った 大皿彩子さん profile

フードプランナー 大皿彩子 アラスカツヴァイ ユニバーサルベイク
大皿彩子さん
(株)さいころ食堂代表。中目黒のヴィーガンカフェ『Alaska zwei』、世田谷代田と下北沢のヴィーガンベーカリー『Universal Bakes & Cafe』『Universal Bakes Nicome』を営む。「おいしい企画」のフードプランナーとして、食に関わる空間づくり、イベント企画・運営、レシピ開発など幅広く活躍中。
Instagram:@saikolo

photography:Yuta Seki text:Riho Abe
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