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:サウナにはどんな効果がある? 「サウナで心も体も変わります」 清水みさとさん×サウナ文化研究家・こばやしあやなさん対談vol.1
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毎日サウナに通うほどのサウナ好き、そしておいしいごはん好きの清水みさとさんによる連載「食いしんぼう寄り道サウナ」の特別編!
フィンランドに暮らす、サウナ文化研究家のこばやしあやなさんをゲストに迎えてサウナトークをたっぷり2回にわたってお届けします。1回目の今回は、サウナに入るようになってから感じる体質の変化や体調管理などについて、お話を伺いました。
サウナに入ると、体質が変わる?

フィンランドに暮らすこばやしさんとは、こばやしさんの著書『公衆サウナの国フィンランド』(学芸出版社)の出版を機に出会って以来、フィンランドのサウナを巡るなど、親交を深めているという清水さん。
改めて、二人がサウナにハマったきっかけとは?
清水さん(以下清水):私がサウナに入り始めたきっかけは、“やせたい!”だったんです。大学に入った頃、3か月で5キロ太ってしまって。夏までにやせたくて、毎日地元のジムに通い始めたんです。そこでおばさまたちと仲良くなってみんなが入っているサウナに真似して入ったら、“サウナって気持ちいい!”って。はじめからすごくむくみが取れたんです。運動するよりも汗をかくのでだんだんサウナばかり入るようになって、そこからハマりました。もともとむくみやすく排出しづらい体質だったのですが、汗を出して水を飲んで、循環させる気持ちよさを知りました。
でも、やせるかといったらそうではない。やせないけどむくみは取れるし、代謝も上がる。汗を出すだけではなく、ちゃんと水を飲むからいいんだとわかりました。すっきりして元気になります。あやなさんはどうですか?
こばやしさん(以下こばやし):私はフィンランドとの付き合いがまずあって、自然と入る機会ができました。最初のサウナ体験は、ファームステイしていた田舎のおじいさんの家で、自作のサウナに無理矢理裸で入らされて、凍っている湖に飛び込まされました(笑)。最初にそれをやってしまったら、もうどこにでも行けるなって。
清水:たしかに(笑)。
こばやし:日本にいたときは、乾燥肌でアトピー体質だったんです。それがフィンランドに暮らすようになってからフィンランドのサウナにずっと入っているので、まったくなくなりましたね。水も空気も、食べているものも違うから、何がよかったのかはわからないけど、サウナに入る頻度が増えて完治した感じでした。
日本にいた頃は銭湯によく行っていて、サウナにはあまり入っていなくて。日本って気候が湿潤なせいか、私の場合は汗をかいているときの方が悪化しやすかったんです。だから汗を出すのはあまりよくないと思ってたんですけど、サウナでかく汗と普通のときにかく汗が違うんだなと思います。
清水:違いますよね。サウナの後に保湿は絶対に必要なのですが、入り続けていると皮膚が“呼吸しなきゃ!”って思うのかも
こばやし:汗を出さなきゃって、体が思うのでしょうか。サウナにたくさん入っていると肌つやがよくなる気がしますが、フィンランドの研究者や化粧品会社の研究チームによって、そのメカニズムを裏付けるための研究が続けられていたりします。私も自宅のサウナに入るときは、(サウナと外気浴を)ワンセットしたら500mLのペットボトル1本分の水をかならず飲んで、2回目入る。汗を出すようにしたら、肌の調子が劇的によくなりました。
あとサウナのおかげかはわからないですけど、たくさん入るようになったら風邪も引かなくなりました。免疫は確実にアップしていると思います。
自分と向き合うことで、体調管理も

こばやし:フィンランドで、週4回以上サウナに入っている人は週1回の人と比べて、心血管の疾患や脳卒中などになる確率が約60%下がるというデータがあって。もちろんサウナだけが理由ではないと思いますが、サウナを自分の生活に組みこむことで、心身のコンディションが変わるという証だと思うんです。
また同じく、運動した方がもちろん体にはいいんだけど、運動をまったくしない人がサウナに入るか入らないかなら、入る方がいいという研究もあります。運動習慣ってそんなに簡単に変えられないじゃないですか。
清水:頑張らなくても体にいいなら、サウナに入りたいですよね。私はサウナとお風呂だけは、罪悪感がないものだと思っていて。食べるのも好きですが、食べすぎると太っちゃうし、運動もやりすぎるとよくないじゃないですか。
でもサウナとお風呂は悪いことがひとつもない。気持ちがいいし、人にも迷惑かけない(笑)。
こばやし:客観的に見ると、みさとちゃんってもうサウナ中毒じゃないですか(笑)。でもサウナだから悪い目で見られないよね。
清水:そうそう。いいことしかないと思います。全部やりすぎってよくないのに、サウナだけはいい(笑)。
こばやし:サウナの入りすぎがいいか悪いかわからないけどね(笑)。

清水:普段、汗をかく機会って減っているじゃないですか。すべての場所が心地よすぎて、汗をかかなくてもいい快適な状況ができていると思うんです。でも、サウナはちゃんと極限に持っていってくれる。そういうことが人間には必要ですよね。
こばやし:こんなに暑い環境にいても、水風呂に入っても平気だということを、自分の体が知ることができる。フィンランドではこれを「レジリエンス」というのですが、恐怖や極限の環境に対する自分の心身の対応力のことで、こういうことも大丈夫なんだと知っていると、すごく寒いところで着替えることも水風呂よりマシだと考えると平気になるし、体もそれに適応している感じがありますね。
清水:大事ですよね。自分の限界を広げた方が、全部楽になる。
こばやし:それからサウナに恒常的に入っていたら、自分の体に向き合う時間が長いので、いつもと違う微妙な異変にも気がつきやすくなるというのもありますね。汗ひとつとっても、塩辛さが変わります。
清水:本当にそう! 私は前日にしょっぱいものを食べると、しょっぱい汗が出ます。ときどき汗をなめて判定しています(笑)。
こばやし:私は自宅のサウナがベースで、同じようなコンディションで毎日入っているけれど、10分いられる日と早く出たくなる日がある。体調で違いがあるんでしょうね。
清水:あと、温めて冷やすというのが健康のために必要だと思うから、水風呂は必須! もし無理ならシャワーでもいいですよね。
こばやし:私は人間の体ってうどんみたいだと思っていて。茹でた後に水にさらすと、コシが出るみたいに。
清水:私もそれ思っていました(笑)!
サウナは最高のデトックス?

こばやし:欧米では冷水で体を冷やすコールドセラピーが流行っていて、少なくともアスリートの常識になっています。もはやサウナに入らず、水風呂だけ入る人もいるくらい。あとフィンランドで寒中水泳の人気がすごい。人口500万人の国なのに10万人くらい参加しているらしくて。
清水:私は、サウナなしでただの冷たい水に入るのはできないなぁ。ドイツでも寒い朝に朝日を見ようと湖に行ったら、おばあさんが泳いでいて驚いたことがあります。
こばやし:アスリートの人たちの目的は筋肉疲労の緩和ですが、一般人は理由もわからないまま、なんとなく体にいいかなと乾布摩擦をしていたのに近い感覚なのかもしれません。でも基本的に気持ちがいいんですよ。
サウナに入っていると体がどんどん温かくなって、血管が膨張して熱を出そうとするじゃないですか。その後に水風呂に入ると、外からキュッと血管収縮の命令が出されるようなものなので。温かい血が一気に閉じた血管に流れるから、ととのっているときは中からカッカと熱くなってくる感じがある。水風呂に入っているときは麻痺している感じですが、出た後が気持ちがいい。結果的に血流をよくして、それによってリカバリーも早くなるんですよね。

ーサウナに入ってみたいという人は、定期的に入った方がいいのでしょうか?
清水:そう思います。1か月に1回とかではなく、試しに週に2回ぐらい。
こばやし:特に日本は施設へサウナに入りに行くので、シャワーや広いお風呂もありますよね。やっぱり広いお風呂でゆっくり自分の身繕いをする時間が大事。フィンランド人はサウナに行くというと本当にサウナに入るだけで、体をきれいにしたり、洗うことに時間はあまり使わないんですよ。
でもほかの海外のサウナや浴場に行っていてわかったのですが、彼らの一番の目的は体をきれいにすること。日本も多分同じだし、ロシアのおばあちゃんも、ずっと持参したスクラブで体をきれいにしていて。家の狭いお風呂では、これができなかったりするんですよね。
私は今日も黄金湯の朝風呂に行ってきたのですが、最近銭湯も朝6時から開いているから、出勤前に行く人も多いですよね。
清水:朝風呂は気持ちがいいですよね。朝サウナも目が覚めます。
こばやし:私も家では絶対朝に入ります。フィンランドって朝も暗いから、体が起きないんですよ。
清水:アフリカなどのサウナのない国を旅すると、老廃物が溜まっていく感覚がすごいあります。指がパンパンにむくんで、“滞ってる、出したい!”って。帰ってすぐにサウナに行くと、ものすごい汗が出るんです。
こばやし:しばらくサウナに入っていないと、汗がドロッとしますよね。デトックスとサウナは関係ないという説もありますが、それなりに血が流れて汗を出して、その分水分を摂ると、体の中が明らかに入れ替わって、変わっているはずだと思います。私も帰国すると、荷物だけ置いてそのまま銭湯に行っています。
清水:習慣化するとそういうリズムができるし、自分の体とも向き合えると思います。
まだまだ盛り上がる、サウナトーク。vol.2では、二人のサウナの入り方や、おすすめのサウナをご紹介します。
今回対談したのは……こばやしあやなさん
1984年生まれ。フィンランド在住。サウナ文化研究家。「Suomiのおかん」の屋号で現地コーディネート、執筆、翻訳活動をする傍ら、2016年に現地大学院で執筆したフィンランド公衆サウナの歴史と意義という修士論文が話題に。卒業後もコーディネート業務を続けながら、日本とフィンランドの浴場文化に橋を架ける活動に取り組んでいる。著書に『公衆サウナの国フィンランド:街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』(学芸出版社)。
清水みさとさんの『ご自愛サウナライフ』発売中!
こちらもチェック!
photograph:Miho Kakuta edit & text:Mayumi Akagi
撮影協力:Massif
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