【子どもたちの性教育】 10歳までに伝えたいこと 【子どもたちの性教育】 10歳までに伝えたいこと

日本の学習指導要領で定められている範囲では、学校から「性教育」として子どもたちに伝えられる内容はまだまだ限定されているのが現状。家庭のなかで子どもたちに伝えるべき「性」とは？ 10歳までにできるのはどんなこと？

【幼児期　０～６歳に伝えておきたいこと】

１．“あなたを大切に思っている”ということを、毎日シャワーのように伝える

まだ言葉があまりわからない時期からでも、性教育は始められます。それは「あなたはあなたのままでいい」「ありのままのあなたを大切に思っている」ということをまるでシャワーのように伝えていくこと。成長や子どもの個性はさまざまですが、人と比べず愛されることは人生の大切な基礎になります。

２．自分のからだは自分のもの。プライベートゾーンを教える

徐々に「自分のからだは自分のものであること」「触られてイヤなときは、イヤと言ってもいい」と教えることも大切です。
いわゆるプライベートゾーンがどこなのかを教えて、人に見せることや他人のプライベートゾーンを触るのはよくない、誰かに触られたら大人に教えること、などを伝えていきましょう。

３．性について先入観なく受け入れられる年代はチャンス

この時期「赤ちゃんはどこから来るの？」と聞かれても「そんなことは聞いちゃダメ」と否定的な態度をとったり「コウノトリが運んでくる」など、ごまかしたりするのはよくありません。その反応で「これは聞いちゃいけないことなんだ」と、性の話題がタブーになってしまうからです。
まだ「エッチなもの」という意識のない時期なので、さらっと事実を伝えると「ふーん」と納得するはず。絵本などで一緒に学ぶのもいいでしょう。

４．６歳までの幼児期の性教育におすすめの本

『うみとりくの　からだのはなし』著：遠見才希子、絵：佐々木一澄（童心社）
『ようこそ！ あかちゃん　―せかいじゅうのかぞくのはじまりのおはなし』著：レイチェル・グリーナー、絵：クレア・オーウェン（大月書店）
『性の絵本 みんながもってるたからものってなーんだ？』著：たきれい、監修：高橋幸子（KADOKAWA）

【学齢期　６～10歳に伝えておきたいこと】

１．自分を大切にするのと同じくらい、他人を大切にすること

幼児期から引き続き、自分が大切な存在であること、さらにまわりの人々もそれぞれが大切な存在だから自分と他人を同じく大切にすることを教えます。
スカートめくりやカンチョウなど親世代にあった遊びも、他人のプライベートゾーンに勝手に踏み込む行為。軽いいたずらとは捉えずに、相手が嫌がることはダメだと伝えましょう。

２．性の多様性について大人も正しく理解を

親が考える「女性らしさ」「男性らしさ」をつい押し付けてしまいがち。親は子どもの価値観を大切にして。性の多様性については、大人も学んでおくことが大切です。

３．危険を回避するための対処法も伝える

この年齢は子どもが一人で行動することが増えるので、性犯罪から身を守る方法も確認を。
危害をくわえる人が顔見知りである可能性もあります。一人でいるときに「あっちで遊ぼう」などと誘われても「お母さんがダメと言っているから」などと答えて、ついていかないように教えます。

４．10歳までの学齢期の性教育におすすめの本

『サッコ先生と！ からだこころ研究所 小学生と考える「性ってなに？」』著：高橋幸子（リトル・モア）
『生理だいじょうぶブック』監修：宋美玄（小学館）
『マンガ おれたちロケット少年』マンガ：手丸かのこ、解説：金子由美子（子どもの未来社）

教えてくれたのは……
高橋幸子先生

埼玉医科大学医療人育成支援センター、産婦人科医。全国の学校で行った性教育に関する講演は、年間120回以上。『子どもと性の話、はじめませんか？』（CCCメディアハウス）監修。

illustration：Naomi Mori　text：Ema Tanaka　web edit：Noriko Naya
リンネル2022年8月号より
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