迷いの時期を乗り越えて、お芝居が楽しくなった
まっすぐ役や作品と向き合い、俳優という仕事を心から楽しんでいる永野さん。近年は複雑な思いを抱えた役を演じることも多く、ますます表現の幅を広げています。そんな彼女に役と向き合うときに大切にしていることを聞いてみると「自分の心を消さないこと」と一言。
「役だけで一生懸命生きようとすると疲れてしまいますし、私が演じたからこういう表現になったというところを目指しているので、あえて距離感をつくるようにしています。もしかしたら、役に入り込めるのは俳優としてとても素敵なことかもしれませんが、役だけの人生にしないほうが私にはあっているなと感じます。役に引きずられすぎているときには、台本を開かずに全く関係のないことを考えたり、プライベートの予定を立てたりして一旦切り離すようにしています」
俳優としてのキャリアは長く、子役やモデルを経て第一線で活躍し続けてきた彼女。中学生の頃に仕事と本気で向き合おうと決めたものの、ずっと迷いがあったと意外な心のうちを明かします。
「ありがたいことにいろんなお仕事をいただいていたのにブレまくっていて、『私には向いてないんだ』『この仕事を続けていていいのか』と自問自答していた時期がありました。それでもいろんな作品と関わっていくなかで、自分のことだけじゃなくて周りの人たちにも目を向けられるようになったんです。正解のない世界なので、大変な状況でもそれぞれベストを尽くそうとがむしゃらに頑張る姿から刺激をもらいますし、そこに参加できるのは貴重なことだなと。自分のことを大切にしながら、作品全体を俯瞰できるようになりました。視野が開けたおかげで、人に頼ってもいいし、頼られるのも嬉しいことなんだとわかってから、仕事がすごく面白くなりました。お芝居がしたいという気持ちは以前から変わらないのですが、やっと余計なことに気を取られずに、純粋にその楽しさを追求できるところまできたのかもしれません」
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