柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」が菊池亜希子さんとコラボレーション。民藝に対する熱い想いを語っていただきました。
展覧会を見た後、あらためて見てみると、
いつも何気なく使っているものに愛着が湧いてくる
ーー本誌で『またたび』を連載していた、旅好きの菊池亜希子さん。旅先では必ず買い物をしたいタイプといい、できることなら作っているところを覗いてみたいといいます。これまで旅先で買ってきたものは、どこか民藝を感じるものが多いのだとか。なかでも特に気に入っているのは、岡山で購入した倉敷ノッティングの椅子敷き。毛織物工場の残糸を活用して生まれた織物です。
「どの椅子に敷いてもなじむ、懐の広さがあります。後々調べると、『倉敷本染め手織研究所』という学校で技術を学んだ作り手が、継続的に生産していける仕組みがあって。すごく民藝的な考え方だなと思って、より愛着を感じるようになりました」
ーー民藝とは、民衆的工芸を略した言葉。“民藝運動の父”と言われる柳宗悦らが、衣食住をトータルで提案。民家や景観保存までその活動は多岐にわたります。そんな民藝を改めて俯瞰的にとらえる本展では、公式サイトの企画でコラボしている菊池さん。民藝に関する視点や考え方が、今の時代にフィットすると感じるそう。
「民藝は生活に密着し、自分で価値を作っていくもの。だからみんなが当事者になれるんですよね。この展覧会を見ると、どういう視点でものがアップデートされ、生活に広がっていったかを知ることができます」
ーーたとえば、と菊池さんが話してくれたのは、鳥取の医者であり、陶器やニットのネクタイなど新作の民藝をプロデュースした吉田璋也。
「日本各地の技術や材料がどれだけ豊富に取り入れられるか知った上で、どう活用すればより魅力的になり、多くの人の心に引っ掛かるか考えた、名プロデューサーなんです。手仕事をただありがたがるのではなく、考えられたデザインや視点が入ると、ものとしての価値をより高めて広く届けられるんだとよくわかりました」
ーー展覧会を見た後、あらためて見てみると、いつも何気なく使っているものに愛着が湧いてくる、と菊池さん。暮らしに興味のある人に、カジュアルな気持ちで見てもらいたいといいます。
「目線を少し変えると“これも素敵!”と好きが広がります。民藝を勉強していくと、自分の生活を抱きしめたくなるんですよね。人が作った温度や、ここではない土地の風を感じるものなど、自分の好きなものの原点には、いつも民藝的な視点があった気がします。どういうものを選んで愛用するか意思表示をして、大事に長く使うことでその背景や技術を守っていく。お買い物好きとしては、民藝の考え方に共感するし、そうありたいなと思います」
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