CULTURE
:原田知世さん「夫婦の絆の尊さに胸を打たれました」/映画『35年目のラブレター』インタビュー
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:実話をもとにした公開中の映画『35年目のラブレター』。
劇中で描かれる夫婦の絆に感動し、出演を決めたという原田知世さんに作品の見どころをうかがいました。
脚本の魅力が、出演する一番の決め手に
俳優としても、歌手としても、それぞれのフィールドで唯一無二の魅力を発揮し続けてきた原田知世さん。「音楽とお芝居、そのどちらもあるからこそ、いいバランスで続けてこられた」と話します。
「俳優はオファーを“待つ”仕事。今までバランスよくやってこられたのは、本当にラッキーだったと思います」
音楽活動と並行しながらの演技の仕事では、おのずと時間も限られます。そんな中、オファーを受けるときの決め手となるのは、“脚本”だそう。
「もちろん、監督さんや共演者の方も大切ですが、やっぱり大事なのは物語。脚本を読んだときに『この作品を観てみたい!』と感じられるものに出演したいと思っています。ときには、私よりももっと役のイメージに合った方がほかにいるのでは……? と思うことも。そういう場合は遠慮することもありますが、これぞという役に出会えたときは、100%集中して取り組みます」
そう話す原田さんが、脚本を読んで「ぜひ参加したい」と感じたのが、実話をもとに作られた映画『35年目のラブレター』。戦時中に生まれて読み書きができずに育った男性が、自分を支え続けてくれた妻にラブレターを書こうと、定年退職を機に夜間中学へ通い始める……というストーリーで、主人公の西畑保を笑福亭鶴瓶さん、妻の皎子を原田さんが演じます。
「人はこんなにも、誰かのことを大切に思えるんだ……と教えてくれる作品。読めば読むほど、この夫婦の絆の尊さに胸を打たれました。これが実話だと思うと、なおさら感動しますよね」
保役の鶴瓶さんとは、今回が初共演。穏やかな空気を漂わせる保と皎子の関係を、どのように築いていったのでしょうか。
「鶴瓶さんはスタッフの方やロケを見学に来た方に対しても、誰にでも分け隔てなく話しかけるような、温かい方。でも現場に入ったら、『普段の鶴瓶さんのことはいったん忘れて、保さんだと思おう』と決めて。あれこれ考えたり、会話をしなくても、ただ保さんを見つめてそばにいる時間を重ねていけば、自然と2人の関係ができていくだろうと考えました。鶴瓶さんもなんとなくそれを感じ取ってくださったのか、2人でいることがすごく楽で。早くお芝居の世界に入れることができましたね」
おっとりした関西弁も、人物像を作る大切な要素に

舞台が奈良県とあって、関西弁での演技にもチャレンジした原田さん。おっとりとした優しい関西弁も、皎子の人柄を表しています。
「関西弁は、この作品には絶対に欠かすことのできない要素。そこから生まれるリズムや間も重要でしたが、私にそれができるのかな……? と当初は不安もありました。でも監督は、あまり関西弁にとらわれなくても大丈夫です、と言ってくださって。皎子さんの背景についても、九州出身で結婚後に奈良に出てきたという設定にしてくださったんです。細かいところにはあまりとらわれず、皎子さんになっていくことが大事だと思いながら演じていました」
若かりし頃の保と皎子を演じるのは、重岡大毅さんと上白石萌音さん。35年前にふたりが出会い、二人三脚で歩んできた道のりが、細やかに表現されています。
「萌音ちゃんの方が先に撮影をして、私が現場に入ったときには西畑家のセットに重岡くんと萌音ちゃんの写真が飾られていたんです。それが演じる上での大きな手がかりになりました。ふたりのお芝居を直に見ることはできなくても、写真を見ただけでふたりの生きてきた姿や空気感が映像として浮かんできて。私はただそれを引き継いでいけば、きっといい作品になるだろう、と。さらに西畑家のお隣さんや、保さんが通う夜間中学の同級生など、主人公のまわりの登場人物についても、丁寧に描かれているのが本作の魅力。ふたりを取り巻く人々のあたたかさにほっとしますし、彼らのエピソードも主人公の物語を作る、大切な一部になっているんですよね」
原田さんへのQ&A

Q. 最近のマイブームは?
YouTubeで昭和の音楽番組やコンサートの映像を見ています。自分が子どもの頃に憧れていたスターが歌っている姿を見ると、本当に感動して。久保田早紀さんの歌も大好きですし、同じ曲を美空ひばりさん、八代亜紀さん、テレサ・テンさん…と、いろいろな方がカバーしている動画もとても素敵で。歌の勉強にもなりますし、本当に心に響く歌声が多くて、夜に観ているとついお酒が進んでしまいます(笑)。
Q. 春に楽しみにしていることは?
ゴルフに行くこと。夏や冬にも行きますが、やっぱり疲れてしまうので、気候のいい春に行きたいですね。ゴルフは50代になってから始めたのですが、最初はすごく緊張して、ボールを探すのに手間取ったりしていて。その頃と比べるとだいぶ余裕が出てきて、ようやくゴルフらしくなってきた気がします。
作品情報

戦時中に生まれ、過酷な幼少期を過ごしたために読み書きができないまま大人になってしまった主人公の保(笑福亭鶴瓶)。保は定年退職を機に、最愛の妻・皎子(原田知世)へこれまでの感謝を込めた“ラブレター”を書こうと決意し、夜間中学に通い始める。
監督・脚本:塚本連平/出演:笑福亭鶴瓶、原田知世、重岡大毅/公開中
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photograph: Chihaya Kaminokawa stylin & hair & make-up: Tomomi Fujikawa(Figue) text: Hanae Kudo
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