ヨシタケシンスケさん「子どもの頃の自分が言ってほしかったことを描きたい」/展覧会『ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ』インタビュー前編 ヨシタケシンスケさん「子どもの頃の自分が言ってほしかったことを描きたい」/展覧会『ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ』インタビュー前編
テーマは、人間にとって大事なことを選びたい
最初の頃は絵本を作る際、テーマをもらってから描いていたというヨシタケさん。
「最初はお話を作ったことがなかったので、好きなことを自由に描いていいと言われると、何をしたらいいかわからなかったんですよね。自分が読んできた絵本を見たときに、改めて僕がやることってあるのかな、子どもに与えるべきものとは、と難しく考えはじめてしまって。いただいたお題にちゃんと応えるということだけに注力してみて、お題があるとできるんだと初めてわかり、最初の何作かはお題をいただきながら作っていたんです。
基本的にお題に応えるというイラストレーターの仕事を10年近くやっていたので形にできたのですが、いくつか作っていくうちに自分で自分にお題を出せばいいんだと気がついて。“今度はこういうテーマで本をつくってみたらどうか”と自分に発注するような形にしたら、自分でできるなと。1作作るごとに、自分の中でノウハウが溜まっていきました」
絵本のテーマは、そのときどきの関心事を選んでいるそう。
「ひとつ基準があるとすれば、そのテーマが子どもにとっても大人にとっても、身につまされるものであるかどうかを大事にしています。絵本を描いてみてわかったのは、絵本を読むのはお子さんですが、レジに持っていくのは大人なんですよね。だからお子さんにだけ人気があっても続かない。自分も子育てしていくなかで絵本を読むとき、大人として楽しい方が嬉しいんですよ。絵本は基本的に子どものものみたいな部分がありますが、大人が読むべき絵本もたくさんあるし、すごく素晴らしいものもくだらないものもあるのは、子どもの本も大人の本も同じなんですよね。どうせなら一冊の本がいろんな人に引っ掛かりがあってくれた方がお得だと思うし、自分が作る本は子どもは子どもなり、大人は大人なりに、面白がれる部分を入れたいなという思いがあります。だからこそテーマを選ぶときは、人間にとって大事なことを入れたいです。
いろいろなタイプの作家がいらっしゃいますが、僕はそのときどきのニュースを形にするタイプの作家。自分の子どもたちが小さいときは、おしっこもれるよねみたいな話を描くし、その子たちが大きくなって巣立っていくことが見えてくると、子どもっていなくなるよねみたいな話を描く。そのときそのときの気持ちや発見を形にしていくのが、僕は好きなんだなとわかってきました」
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