CULTURE
:松下洸平さんの暮らしに欠かせないアートとは? 【「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」開催中!】
CULTURE
:
フィンセント・ファン・ゴッホとその家族に焦点を当てた日本初の展覧会「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」が、12月21日まで上野にある東京都美術館で開催中。その展覧会サポーターと音声ガイドナビゲーターを、俳優・アーティストの松下洸平さんが務めています。
アートへの造詣が深く、ゴッホには特に思い入れのあるという松下さんに、ゴッホへの思いやアートの楽しみ方を伺いました。
100年後の今に伝わる、ゴッホの作品と想い

フィンセント・ファン・ゴッホ《画家としての自画像》 1887年12月〜1888年2月 フィンセント・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
《ひまわり》など、世界で最も広く知られている画家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)。その名声が確立されたのは死後のこと。その背景には、彼の想いを次の世代へと続けた、家族の存在がありました。
ファン・ゴッホ家が受け継いできたファミリー・コレクションに、焦点を当てた本展。ゴッホの画業を支え、その大部分の作品を保管していた弟のテオ、テオが兄の死のわずか半年後に生涯を閉じたため、その膨大なコレクション管理することになった、テオの妻ヨー。さらにフィンセント・ファン・ゴッホ財団を設立し、美術館の開館に尽力した、テオとヨーの息子フィンセント・ウィレム。
ゴッホの作品を世界に広げるためにこの3人が大きく貢献しましたが、特にヨーは義兄の作品を世に出すことに人生を捧げ、作品を展覧会に貸し出し、販売し、膨大な手紙を整理して出版するなど、画家として正しく評価されるように奔走したといわれています。

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
本展では、オランダのファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、30点以上のゴッホ作品に加え、日本初公開となるゴッホの貴重な手紙4通も展示。「100年後を生きる人々にも自分の絵を見てもらいたい」と願っていたというゴッホ。初期から晩年の画業をたどるとともに、家族が受け継いできた作品や想いが伝わる展覧会になっています。

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真

浮世絵を含む、兄弟のコレクションを数多く展示。「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
松下さんが作品から感じる、ゴッホの強さとやさしさ

大阪での開催に続く本展の展覧会サポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、俳優・アーティストの松下洸平さん。幼少期から油絵をはじめたという松下さんは、アーティストとしても活動しています。
「子どもの頃から絵を描くのがとても好きで、高校は油絵科に進みました。学生の頃はゴッホのことを勉強したこともあるので、特別な思い入れのある画家の一人です。
本展はなかなか見る機会のない貴重な作品がたくさん展示されていますし、何度でも足を運びたくなる空間になっていると思いました。東京展の前に大阪でもすべての作品を拝見しましたが、会場が変わると、作品からもらうイメージも少し変わるように感じました」と松下さん。

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
松下さんの好きな作品は?

好きだという《オリーブ園》の前で。
《オリーブ園》を描いた作品が好きで、本展で再会できたことが嬉しかったという松下さん。
「この作品はゴッホの生涯のなかで後期の作品。ゴッホは浮き沈みの激しい生涯で、誤解されることも多かったと思うのですが、南仏のサン=レミで心が穏やかな時期に描かれていて、色使いや筆のタッチにやさしさや温かみを感じて好きなんです。改めて観て、いい作品だなと思いました。
芸術はその人を写す鏡のような存在だと思うので、そのときどきのゴッホの心情や気持ちの変化が作品に表れていたり、それを時系列で見ていただけることが、本展の素晴らしいところだなと感じました」

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
「作家によって作品を描く意図は違うと思いますが、僕自身は、写真や文字だけではなく、自分で描いた絵で何かを記憶しておきたいと思ったときに絵を描きます。ゴッホは作品を通して人々を励ましたいという思いで、ずっと制作に取り組んでいたんです。
その人間としての強さややさしさみたいなものが、作品を実際に見ることでダイレクトに感じられるところが、展覧会の素晴らしいところだと思いますし、今回も改めてゴッホの作品を間近で見ることで、彼が生涯をかけて残したかった思いや感じてきたこと、そのなかにたくさんの葛藤があったり、出会いと別れがあって、それらがすべて一枚の作品のなかに込められている。それを体験できるのが、非常に素晴らしいなと思いました。
作品の見方は人それぞれでよくて、正解はありません。足早に過ぎてしまう場所もあっていいと思いますし、自分が興味あるもの、いいなと思うものを集中して見るのも正解だと思うので、見たいペースで見たいものを見てほしいですね」
母の存在が、支えになる

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
本展のサブタイトルは「家族がつないだ画家の夢」。松下さんにとっても家族の支えが大切だといいます。
「特に若い頃はお金がなかったり、アーティストや画家も"まずは作品を残すんだ、一枚でも多く描きたいんだ”という気持ちが強く、余裕がなかったと思うんです。テオやヨーのような家族がいたからこそ、こうして僕たちが今でも作品を見られるし、ゴッホはたくさんの人に支えられて、愛された画家なんだなと思いました。
それは僕自身もそうで、一人では何もできません。僕は幼少期からすごくやりたいことが多い子どもだったので、やりたいことは好きなだけやりなさいと言ってくれた家族の存在が、とても大きかったと思います。母は画家で今でも絵を描き続けていて、そのバイタリティ溢れる背中を見ると僕も励まされるし、頑張らなきゃなと思います。改めて自分も周りの人たちに感謝しなければいけないなと思いました」

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真

フィンセント・ファン・ゴッホ「傘を持つ老人の後ろ姿が描かれたアントン・ファン・ラッパルト宛ての手紙」 1882年9月23日頃 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)、「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
また今回、日本で初めて公開される4通の手紙は見どころのひとつ。松下さん自身も、手紙を書くことが多いのだとか。
「手紙の方が伝わるし、僕も手紙をいただくことがすごく多いので、手紙でのやりとりは大事だなと思っています。家族や友人、あとはお世話になった方やお手紙をいただいた方には、できるだけしっかり手紙で返すようにしています。
この間実家に帰ったとき、母が僕の昔の舞台のパンフレットや初めて出た雑誌とかを切り抜いて、ファイルに残してくれているのを初めて見て、ありがたいなと思いました。僕はなかなか先のことを考えられない性格で、過去に出た雑誌などをあまり丁寧に保管していなかったのですが、仕事は長く残ってくれると嬉しいのでちゃんと取っておかないといけないなと思いました。家族の支えは必要だと思わされた瞬間でしたね」
ゴッホの筆使いを体感する、イマーシブ映像も

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」会場写真
ゴッホの作品を幅14メートルを超える空間に高精細画像で投影し、「イマーシブ(没入)」体験ができるコーナーも。本展では展示されていない《花咲くアーモンドの木の枝》や《ひまわり》なども見ることができます。
「最新の技術を使って、ゴッホの作品の中に迷い込むような体験ができます。正面からしか見られない作品が、真横からの角度で見ることもでき、いかにゴッホの絵の具の塗りが分厚かったのかがよくわかりました。どこかの地形を見ているような、そんな立体感を感じられるので、ぜひ見ていただきたいです。自分の作品が立体的になって、しかも3Dで動いているので、ゴッホにどう思うのか聞いてみたいです」
好きなアートに囲まれると、安心できる

アートが身近だという松下さんにとって、アートはどのような存在なのでしょうか。
「僕が好きなアートは、それが周りにあると豊かだし、すごく安心するもの。例えば自宅のインテリアや家具も、アートの一つだと思っています。好きな色味や素材のものを並べていると安心するし、好きなアーティストのポスターや自分でアクリル絵の具で描いた作品を家に飾ることもあります。この展覧会で買ったポスターもしっかり額装して飾っています。
最近は額装するのにはまっていて、昔のヴィンテージのポスターや紙を買ってきて、好きな額縁を選んで飾るのが好きですね。自分の好きなものに囲まれて生活することは、大事なことだなと思います。
またインテリアでは明かりを大切にしていて、昼間は日差しがしっかり入るように、逆に夜はあまり明るくなり過ぎないよう、間接照明を使ったり、好きなアーティストのネオン菅を使った作品を飾ったりしています」

ゴッホのあみぐるみを手にして。

グラスペイントアーティストのAlisa Horitaが、7枚の『ひまわり』の世界をガラス絵で美しく表現した青山デカーボの『ひまわり缶』。かぼちゃの焼き菓子8枚入り。¥1,350

イラストレーターのWALNUTさんとコラボグッズもかわいい。
美術館に行くことも好きだといいますが、最近はなかなか時間を取るのが難しいのだそう。
「仕事で海外に行くときは、街の観光よりも美術館やアート作品に触れる時間を多く取るようにしています。この間訪れたスペインでは、ガウディの建築のほか、ピカソの作品も多いので、たくさん見てエネルギーをもらいました。その土地で生まれた画家の美術館を見ると、より近くに感じられます。
街を歩いていてもそこかしこに画家がいた痕跡が残っていて、もちろん日本で貴重な作品を見ることも大切ですが、オランダには行ったことがないので、ゴッホが生まれ育ち、見てきた景色も見てみたくなりました」
音声ガイドでは、ゴッホの手紙の朗読も。最後にメッセージをいただきました。
「声だけですがゴッホ役で、当時こんな思いで描いていたのかなと想像しながら収録しました。何度見ても新しい発見が何回もある展覧会です。ゴッホの生涯に触れて、そして彼を支えた家族の物語も感じることができると思うので、ぜひご家族でも足を運んでくださいね」
■展覧会概要
「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」
- 開催中~12月21日(日)※土・日・祝日および12月16日(火)以降は日時指定予約制
- 会場:東京都美術館
- 開室時間:9:30〜17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日:月曜日、10月14日(火)、11月4日(火)、11月25日(火)※10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、11月24日(月・休) は開室
観覧料:一般 2,300円、大学生・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,600円、18歳以下・高校生以下無料
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル) - https://gogh2025-26.jp
※グッズに関して、一部商品は購入個数制限を設けることがあります。
※商品は一時欠品、完売となる場合があります。
松下洸平さん profile
1987年3月6日生まれ、東京都出身。
2008年、洸平名義でシンガーソングライターとしてデビュー。09年ミュージカル『GLORY DAYS』で初舞台。以降、TV、 舞台と幅広く活動。『母と暮らせば』『スリル・ミー』の演技で第26回読売演劇大賞杉村春子賞・優秀男優賞受賞。第73回文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞。19年NHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演。21年メジャーデビューを果たす。
24年4thシングル「愛してるって言ってみてもいいかな」を発売。主な出演作に、舞台:こまつ座『闇に咲く花』(栗山民也演出)、ミュージカル『ケイン&アベル』、ドラマ:「放課後カルテ」(NTV)、NHK大河ドラマ「光る君へ」など。
現在、「with MUSIC」 (NTV)、「美しい日本に出会う旅」(BS TBS)、「DK SELECT WEEKEND LIVING」(J-WAVE)にレギュラー出演中。
こちらもチェック!
photograph:Mari Yoshioka styling :Tatsuhiko Marumoto hair & make-up : KUBOKI(aosora) text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
おすすめ記事 RELATED ARTICLES
Recommend
SNAPRanking
DAILY
/
WEEKLY




































