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穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」【連載・第8回】日本に帰ってきても忘れたくないこと(前編) 穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」【連載・第8回】日本に帰ってきても忘れたくないこと(前編)

穂志もえかさんバンクーバー滞在記カフェ
連載 #穂志もえかのバンクーバー通信 colorful days

ハリウッドドラマ FX「将軍 SHOGUN」の撮影のため、昨年9月から約8か月カナダのバンクーバーに滞在していた女優・穂志もえかさん。初めての海外生活で感じているさまざまなことをリンネル.jpの連載で綴っていただいてきましたが、先日帰国されたばかりということで、連載8回目は帰国後の心境について書いていただきました。

目次
穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」【連載・第8回】日本に帰ってきても忘れたくないこと(前編)
  1. 穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」第8回
  2. 穂志もえかさんプロフィール

穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」第8回

皆様こんにちは、
お久しぶりです!

日本に帰ってきました!
バンクーバー在住の方達から、
バンクーバーは夏が一番良い季節なのに! 本当に最高なのに! もったいない!と言われながら。。笑

良い季節になってきたバンクーバー
良い季節になってきたバンクーバー

この連載はカナダに来てからだいぶ経ってからのスタートだったこともあり、
回数は少ないものでしたが、
文章を書くことができて嬉しかったです。

バンクーバーで出会った方達の中には
連載を読んでくださっている方もいて、
バンクーバーを紹介してくれてありがとう、とか
視点が面白いね、などリアクションをもらえたのも嬉しかったです。

■穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」連載第1回から読みたい方はこちら↗

あっという間の8か月。帰国後はバンクーバーのことを思い返す日々

バンクーバーどうだった?と聞かれれば、
即答で、
楽しかった!
と答えています。
もちろん、少ししんどいときもありましたが
それを遥かに上回る良い体験でした。

総滞在期間は約8か月。
終盤は、バンクーバー生活が身にも心にも馴染んできた!
と感じていましたが、
振り返れば、26年の中の8か月はほんのひととき…。
今はまだ無意識にでも頭に浮かぶバンクーバーの景色も、
頭の中でなぞり続けなければ、すぐ日本の日常に塗り替えられ、消えてしまいそうに感じ、
ときに意識的に、バンクーバーでのあれこれを思い返す日々です。

バンクーバー滞在を通して気づいた大切なこと

今回は滞在を通して、
私にとって大切だと思えたことを残していきたいと思います。
個人的なメモのような更新になってしまうので恐縮ですが…。
特に私は精神的な面や価値観において多分に刺激をもらいました。
長くなることが見込まれるので、前編と後編に分けます!

1:伝えることの大切さ、伝え方

こちらの意見や気持ちを尋ねてくれるというのもありましたし、
日本のように、“察する”という文化があまりなかったので、
自分の意思をはっきり伝えなければ伝わらないことが多く、
撮影が進んでいく中で、
自分の意見を伝える、適宜主張をしていく強さを手に入れたように思います。

たとえば、撮影現場で幾度となく聞かれた、
“Are you happy?”
もしそうではなければどうすれば良いかを考えるよ、
なんてやりとりがよくありました。

どんな状況でもやるのがプロ!という考え方もあるとは思いますが、
自分だけちょっと我慢すれば、と思って結果体調を崩したり、
自分の能力に見合わないことにチャレンジをし、怪我をしたりしたら本末転倒だなと思わせられる場面もありました。
実際に先輩からも、
happyじゃないときは自分からも伝える、そして必要なサポートは受けるべき、
自分の身は自分で守るんだよ、というアドバイスもいただきました。

どうしても不快なことを伝えたり、気になることを確認し解決することは、
ワガママではなく、
自分がベストなパフォーマンスをするために必要なことであり、
同時に自分の仕事に責任を持つことでもあるのかなと思わせられました。

また、自分が伝えることでみんなが気にかけるようになり、
次に他の誰かが同じような状況になったとき、然るべきケアをしてもらえるようになる。
一見、自分のための行動が、他人のためにもなることを実感することもありました。

雰囲気に丸め込まれず、なあなあにせず、
作品と自分のために、言い方に気をつけながらも伝えるべきことをきちんと伝える。
これは良い強さを手に入れたと感じています。

仕事に限らず、普段、我慢をしたり、相手に寄せていきがちな私でしたが、
自分の気持ちに耳を傾けるようになりました。

誤解や認識のズレが生じやすいことに悩んでいましたが、その解消にも繋がりそうです。

ウクライナカラーに点灯したバンクーバーのスタジアム。
ウクライナカラーに点灯したスタジアム。一般の住居でも、ベランダにウクライナの国旗を下げて意思を表明しているのをよく見かけました。

2:“個”という感覚

この、“個”という感覚は、バンクーバー生活でハッキリと得たものだと思います。
個の尊重こそが多様性なのではと思わせられました。

みんなが共通で同じように思うもの、って少なかった気がするのです。

たとえば、美の価値観もそうでした。
メイクのトレーラーで、
顔(頭)が小さいっていうことがなんで褒め言葉なのかわからない、
という話がカナダのクルー達の口から出たとき、ハッとしました。
当たり前のように憧れたり、それが良いって私も思っていたけど、
その美の基準は誰が決めたのか…。

ボディポジティブという言葉の出現にも見られるよう、
個々が自分にしかないものを大切にしつつ、
他人や大多数の意見ではなく、
自分の価値観のもと、なるべく自分を愛し、
同時に相手にしかないものを尊重することができたら。

私もそのときから自分がここ数年囚われていたものからスッと解放され、
短くて筋肉質な脚も、大きなお尻も面長だと感じる顔も、そんなに気にならなくなりました。

もちろん、自分が思う美しさに向かって励むことは今後もすると思うけれど、
ここしばらく、
“みんなが思う美の基準”があり、
そこに向かって自分の形を大きく変えていかなければ、という風潮があるように感じ、
ときに窮屈に感じていました。
日本でも、美しさの多様性、進んでゆくといいなと個人的には思います!

バンクーバーのクリスマス
メイクチームの2人。クリスマス休暇前の最後の撮影で、メイクトレーラーの扉を開けたらこの格好で登場!

自分の感じたことを大切にしている、
一本芯のあるカナダの方達の姿は、自由でした。

この年齢でこの髪形や服装は痛いと思われちゃうからできない、とかも少なく、
皆、自分の好きな髪色、髪形、ファッションを楽しんでいて、カラフルな印象でした。

言葉だけでは説明できないのですが、
周りの目を気にし過ぎていない、
一人ひとりが放つ、自由で解放的なあの空気感を知れたことは本当に大きいなと思います。

バンクーバーに行ってみてほしい!(是非夏に!笑)

バンクーバーの港の夜景
夜景も本当に綺麗なバンクーバーの街

前編はここまでにしたいと思います。
なんだか長々と読みづらい話をしてしまったなと思いつつ、
最後どうにかまとめていきたい…!


では、
日本の皆さんは熱中症に気をつけてください!
塩分、水分。

穂志もえかさんバンクーバーのカフェにて

PROFILE

穂志もえかさん
女優。1995年生まれ、千葉県出身。講談社主催「ミスiD2016」にてグランプリを受賞。2018年公開の映画『少女邂逅』で初主演を務めたほか、映画『愛がなんだ』、『街の上で』などでも注目を集める。連続ドラマCX「アンサング・シンデレラ」や、KTV/CX「大豆田とわ子と三人の元夫」など話題作に多数出演。ハリウッドドラマFX「将軍 SHOGUN」撮影のため、2021年9月から約8か月間カナダのバンクーバーに滞在。
Instagram:@moekappa823

穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」連載記事一覧はこちら

photograph:Jun Imajo[profile]
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