自分にとって心地よく、社会のためにもなるソーシャルグッドな取り組み。暮らしの一部をソーシャルグッドに変える知恵を集めました。まずは、近年注目が集まっている「ヘアドネーション」をご紹介します。今回、人生2度目のドネーションカットを体験した美容師の高橋真以子さん。カットの様子を通して、詳しい内容をお届けします。
今の生活を大きく変えずに
気軽にトライできる社会貢献
ヘアドネーションとは、寄付された髪の毛で医療用ウィッグを作り、そのウィッグを事故や病気で毛髪を失った18歳以下の子どもたちに無償提供する活動のこと。
「8年くらい前にドキュメンタリーを見て、その活動を知りました。チャリティに参加してみたいという思いと、ロングが好きだったこともあり、約4年前に初めて参加し、2度目になります」と美容師の高橋真以子さん。
寄付する先は、日本で初めてヘアドネーションの取り組みを行ったNPО法人「ジャーダック」。 団体によって条件が異なりますが、ジャーダックは最低でも31㎝以上の長さが必要に。
「まずはホームページで詳しい条件を知ることから始めてみるといいと思います。伸ばすのはお手入れが大変だけれど、ヘアアレンジや前髪をカットしたり、ロング生活を楽しみながら、乗り切りました。今の生活を大きく変えずに、髪を伸ばして切るだけで子どもたちの笑顔につながるのはうれしいことですよね。無理なくできる社会貢献なのかなと思います」
国内最初のヘアドネーションのNPO団体
「ジャーダック」の活動と成り立ち
2009年に設立された「ジャーダック」はヘアドネーションされた髪だけを使い、JIS規格準拠の小児用医療用ウィッグを製作。子どもたちに無償で提供しています。代表の渡辺貴一さんに活動への思いを聞きました。
「この取り組みが社会貢献の最初の1歩となればうれしいです。2歩目として、ご自身のヘアドネーション体験のその先を少しだけ想像してみてください。どうして小さな子どもがウィッグを必要としているのか。髪について誰もが持つ無自覚の偏見や決めつけに気づき、意識するだけで、ウィッグユーザー(脱毛当事者)が生きやすい社会になるのではないかと思っています。ヘアドネーションがそのきっかけになれば幸いです」
ヘアドネーションに参加!
計9束カット。髪を半分に折り返してウィッグの地肌となる生地に植えつけるため、約40㎝あるとボブウィッグに仕上がるそう。この後自分で髪を送付します。
After
「約4年ぶりに短くなってすっきり。誰かのためになると思うとうれしいです」
ぶつ切りのような束感を残し、スタイリングでウェット感のあるニュアンスに仕上げて、ヘルシーで洗練された雰囲気に。今回高橋さんがカットしたのは夫・保坂誠一さんのヘアサロン「The C omotesando」にて。
トライしてくれたのは...
美容師・高橋真以子さん
photograph:Yumi Furuya text:Chie Sakuma web edit:Riho Abe
リンネル2021年11月号より
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