LIFESTYLE

時間と空間を彩る「お香」の楽しみ方や選び方のコツを東京香堂・ペレス千夏子さんに聞きました 時間と空間を彩る「お香」の楽しみ方や選び方のコツを東京香堂・ペレス千夏子さんに聞きました

東京香堂のペレス千夏子さん

空間を包み、時を感じる「お香」。ふわりと立ちのぼる煙と香りが織りなす、見えない世界に触れる時間は、自分と向き合うための大切な習慣。時間も空間も心身も浄化するお香で、日々の暮らしを健やかに導きます。
そんなお香の楽しみ方を「東京香堂」のペレス千夏子さんに伺いました。

目次
  1. お話を聞いた ペレス千夏子さんprofile
  2. 見えない香りの世界を自分らしく創造する
  3. お香で空間を満たすアイデア
  4. お香で時間を刻むアイデア
  5. お香ビギナーさんにおすすめのお香アイテム
  6. 今年お香で新たに楽しんでみたいこと

お話を聞いた
ペレス千夏子さんprofile

1935年創業の寺院専門の線香店の3代目として生まれる。南仏・グラースの調香学校を卒業後、西洋と東洋の香りを融合させた「東京香堂」を設立。
Instagram:@tokyokodo_jp

見えない香りの世界を
自分らしく創造する

「香りと向き合うことは、自然と向き合うこと。そして自分自身と向き合うことです」。
そんな素敵な言葉をくれたペレス千夏子さんは、長らく続く寺院専門の老舗線香店の孫として生まれました。テキスタイルデザイナーとして活躍したあと、家業を継ぎ、「東京香堂」という仏具や雑貨とは異なるステージのお香ブランドを立ち上げました。

「お香は世界中のあらゆる場所で、浄化や祈りのシーンに使われてきました。空間や人を清める役割を担い、気持ちを整えて見えない世界とつながる道具だったんです。今はさらに多様化され、コロナ以降はもっと暮らしに根づいてきたように思います。常に香りを発するディフューザーと違い、ほしいときに香りを漂わせ、必要でないときは香りを出さない点も家で過ごす時間が増えた背景にフィットしたのではないでしょうか」

一瞬で消えていく儚さ、そして見えない世界を煙として具現化できるのもお香だけの魅力。今回は時間と空間を彩るためのお香の新たな楽しみ方を教えてもらいます。

お香

お香だからできるあんなこと、こんなこと

①リズムを刻む
お香をたく数分〜十数分の時間が、仕事や家事のスタートの合図になります。気持ちを切り替えたいとき、メリハリをつけたいときに有効。

②心身のバロメーター
心身の状況によって、香りの感じ方がいつもと違ったり、お香をたけなかったり。今、自分がどんな状態かわかるひとつの指標になります。

③空間の情緒を作る
お部屋のアートのように部屋の雰囲気を作ることにも一役。自分や誰かに寄り添う香りを選ぶことで、そのときどきの情緒を漂わせられます。

④見えないものへの気づき
香りは目に見えないぶん、感性にダイレクトに問いかけてくるもの。今、自分がいるルーツに思いを馳せ、今日を迎えたことへの感謝につながります。

お香で空間を満たすアイデア

香りの濃淡や種類によって空間をアレンジできるお香。たく場所やタイミングの工夫でより心地よい空間に。

【来客のとき】

お香

STEP 1 訪問30分前に「お迎え香」をたく
ゲストが到着する約30分前にお香をたき始めると、迎える頃にはほどよく香りが行き渡っている状態になります。到着時間から逆算してお迎え準備を。

STEP 2 相手の心持ちを想像し、たく場所と香りを選ぶ
ゲストが来たら、そのときの雰囲気や会話の内容で相手の状況をイメージしながら、香りの種類やたく場所(リビングや玄関、廊下など)を選びます。

【眠るとき】

STEP 1 寝室から離れた場所でほのかに香らせる
就寝時に香りが強いと眠りの妨げになることも。ほのかに香るぐらいがベストなので、寝室から少し離れた場所でたくのがちょうどいいです。

STEP 2 植物の香りに包まれ、一日の疲れを癒やす
天然の植物が放つお香の香りは、夜になると親密度が増します。仕事や家事がひと段落した就寝前の時間に、鎮静効果の高い植物の香りをたいてみましょう。

お香で時間を刻むアイデア

お香には燃焼時間があるので、必要な長さを選んで行動の時間を区切るタイマー代わりに使ってみるのも手。

東京香堂のペレス千夏子さん

毎日のお香ルーティン

朝:感謝と祈りを捧げる 外出前の15分
お出かけ前に必ず燃焼時間15分ほどお香をたき、そのときだけは自分のメディテーションタイムに。バタバタと慌ただしい朝だからこそ、向き合うひとときを。

昼:香りの感じ方でその日の心身の状態に気づく
習慣的に毎日たいていると、いつもの香りをひときわ強く感じることが。時により、胸がざわざわしたり、満たされたり、日々の自分の変化が感覚的にわかります。

お出かけ中は塗香で

東京香堂の塗香
出先ではロールオンタイプの塗香が便利。両手のひらに塗って手をすり合わせ、手で顔を覆って息を吸うと、森林浴をしたように呼吸が穏やかに。千夏子さんは外で清めたいときなどによく使うそう。

お香ビギナーさんにおすすめのお香アイテム

白灰があれば、好きな器がどれでもお香立てに

お香におすすめの白灰

きめ細かい白灰にお香を寝かせて置くと、通常のお香立てと違って燃え残りが出ません。端を残すことなく、灰の上ですべて燃焼するので後始末も不要。
お香をたくたびに灰は増えていくので、株分けしていくのがベスト。下の写真のように茶漉しでダマをふるえば、半永久的に使い続けられます。
また、お気に入りの陶磁器やガラスに灰を入れることで、素敵なインテリアに。

お香におすすめの白灰

もし香り選びに迷ったら、
好みの植物や季節の花の香りが入ったお香がおすすめ

東京香堂のお香「星屑」
天然水晶と植物を掛け合わせた珍しいタイプ。星屑¥3,300/東京香堂

「お香を選ぶのに迷ったら、自分が好きな植物やハーブが入ったもの、もしくはその季節に芽吹く草花のものを選ぶと失敗が少ないと思います」(千夏子さん)

今年お香で新たに楽しんでみたいこと

香木+お香など、複数の植物の香りを重ね合わせた香りの重奏

香木+お香を合わせる

千夏子さんが最近楽しんでいるというのが、香木と複数のお香を同時にたいて空間にどんどん香りを重ねる方法。自分で調香していく感覚で、新たな香りを発見できるのもおもしろい。植物が原料のお香と香木のハーモニーで、森の中にいるような奥深い空気が生まれます。

こちらもチェック!

photograph:Yumiko Miyahama text:Tokiko Nitta
リンネル2025年3月号
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

Related Article
おすすめ記事

リンネル最新号&付録

  • リンネル 最新号
  • リンネル 最新号
  • リンネル 最新号
  • リンネル 最新号
  • リンネル 最新号
  • リンネル 最新号

2025年6月号

買うべき理由のある春服

付録
紀ノ国屋
刺しゅうロゴがおしゃれ
大容量おでかけショッピングトート

特別価格:1,480円(税込) / 表紙:奈緒 /
2025年4月18日(金)発売 ※一部の地域では発売日が異なります

VIEW MORE