LIFESTYLE
:私たちのサウナの入り方「サウナは千差万別。自分に合うサウナを探して」 清水みさとさん×サウナ文化研究家・こばやしあやなさん対談 vol.2
LIFESTYLE
:
毎日サウナに通うほどのサウナ好き、そしておいしいごはん好きの清水みさとさんによる連載「食いしんぼう寄り道サウナ」の特別編!
フィンランドに暮らす、サウナ文化研究家のこばやしあやなさんをゲストに迎えてサウナトークを2回にわたってお届けします。2回目となる今回は、二人のサウナの入り方や日本の好きなサウナについてたっぷりお話を伺いました。
サウナの魅力はロウリュにあり

こばやしさん(以下こばやし):『晩酌の流儀』というドラマがあって、ビールが大好きな主人公が一日の終わりに飲むビールを珠玉の一杯にすることを一生懸命考えて、どのように生活をするのかというストーリーなのですが、私はそのサウナ版だなと最近考えていて。
私にとっての珠玉の一杯は、ロウリュ(熱したサウナストーンに水をかけ、蒸気を発生させること)なんですよ。ロウリュを気持ちよく浴びるためにはどうしたらいいのか、すごく考えているんです。
清水さん(以下清水):それ、わかります。
こばやし:20年以上サウナに入っていますが、最近、人生最強に気持ちがいいロウリュに出合って。それが趣味の狩猟をした後だったんです。もちろん気軽に入ったときのロウリュや朝一番のロウリュもいいのですが、自分が疲れきっていて、もう何もないというときに入ったサウナがすごく気持ちがいいとわかりました。
清水:お腹が空いているときにごはんを食べるのと一緒?
こばやし:そうそう。ロウリュの一杯を気持ちよくするために、走ったり、楽器をたくさん吹いた後、通訳の仕事で頭をフル回転させた直後に、間髪入れずにサウナに入るようにしたり。熱い空間に入るだけでも気持ちがいいけれど、蒸気を浴びる気持ちよさは格別だというのは知ってほしいですね。同じサウナでも、石を温めるために使うのが、電気なのかガスなのか、薪なのかスモークなのかによって、出てくる蒸気の質が全然違うし、汗の出方も全然違う。この感覚は、日本人が白米にこだわる文化にもすごく近いと思っています。
わたしたちの好きなサウナ

清水:ロウリュができるサウナは日本にも少しずつ増えていますよね。私は最近、日本橋・浜町にあるサウナ「ととけん」がお気に入り。風呂、サウナ、水風呂だけのコンパクトな空間で、セルフロウリュもできるから、サウナが初めての人にもおすすめです。広すぎないから、シンプルにサウナと水風呂の気持ちよさがわかるんですよね。初めてのサウナはシンプルでわかりやすいところがいい。
こばやし:「黄金湯」もセルフロウリュできますよね。
清水:女性側はセルフロウリュができます。男性側はロウリュはできないけど外気浴ができて、水曜は男女入れ替えもあり。黄金湯は、初心者の人にも行きやすい銭湯だと思います。銭湯は場所によっては独自のルールがあって、私はそれをおもしろいと思うんだけど、初めてだとわからない。わかりやすいところに一度行ってみて、シンプルにサウナと水風呂に入って、気持ちよさを知ってほしいですね。横浜の「スカイスパYOKOHAMA」もおすすめ。「ととけん」も「黄金湯」もビールが飲めたり、手ぶらで行けるのもいいですよね。

こばやし:地方に行くと自由度が高くなって、天然の水風呂に入れたりするのもおもしろいですよね。昨年、フィンランド人の入浴ツアーを企画して、日本のサウナだけでなく古い銭湯や、城崎温泉や岐阜の田辺温熱保養所のような昔ながらの日本の蒸気浴文化を感じるところまでいろいろと行ったんです。
アウフグース(タオルを振り回して蒸気を攪拌させる)も初めて体験してもらったのですが、結局彼らが一番気に入ったのが、京丹後の「蒸 -五箇サウナ-」。日本の里山にある古民家のなかにフィンランド式のサウナが入っていて、目の前には川があって。さらにサウナの横に囲炉裏もあって、フィンランド人がマッカラ(ソーセージ)を焼く設備まで整っている。つまりフィンランドのサウナの最小要素が全部そろっているんですよね。
清水:いいですね。宮城県の「MARUMORI-SAUNA」もすごくよくて。サウナはシンプルでセルフロウリュもできるし、目の前の川に入れるし、焚き火もできてみんなでゆっくりできて素敵なんです。サウナが好きになると、次はどこに行こうって思うのが楽しいですよね。
こばやし:楽しい楽しい。
清水:あまり旅行もしなかったのに、サクッと遠出してみようかなって、自分の行動範囲がどんどん広がっていく。サウナは場所によって全然違うので、行ってみたいと足を延ばせるのもいいところだと思います。
こばやし:以前はどうやって次の旅先を選んでいたのか覚えていないのですが、今はおもしろそうなサウナや入浴文化があるところで、行く国や場所を選ぶようになりました。でもサウナだけにフォーカスした旅というわけではなく、行くと自然とサウナ周りの景色やごはんを楽しんで、結果的に旅のパッケージになる。いいお風呂やサウナがあるところ、と決めておくと楽ですよね。
サウナの探し方・選び方

清水:都内もあちらこちらにサウナがあるので、サウナ検索サイト「サウナイキタイ」をチェック。自分の現在地を入れて、近くにあるサウナを探して行っています。セルフロウリュができるところやアウフグースをやっているとか、クチコミもあって全部調べられるので、行きやすくなりましたね。
こばやし:先日、仕事と仕事の合間に時間があったので歩こうと思ったら、目の前に「SHIZUKU」があって、仕事先の人と別れて1分で入りました(笑)。
清水:そういう隙間時間を使うと、いつでも行けますよね。私は毎回長く休憩はしないので、45分あればサウナに入れる! 朝は5〜6分サウナに入って、水風呂も体を冷やせばいいと思っているので、気持ちがいいと思ったらそこまで長く入らない。ちょっとだけ休憩したらまたすぐにサウナに入るというのを3セット。最後にゆっくりして、“あー気持ちよかった! 今日もがんばろう”とサクッと出ます。
こばやし:この間サウナにある砂時計で、試しにどのくらい入っているか計ってみたら、15分で2セット終えていました。
清水:私たち、汗も多分出やすくなっているんですよね。

清水:冬場など汗が出づらいときは、私は一回お湯に浸かります。あらかじめ体を温めて汗を拭いておく。水分があると、サウナで汗が出づらいんですよね。我慢するのは嫌なので、水風呂も1分とか入らなくても体が冷えればいい。実はすごく簡単なんです。
こばやし:逆にサウナってやりすぎると疲労感が増すので。
清水:1セットをもっとコンパクトにして、最後にゆっくり休憩するのでもいい。そのときどきに合わせます。サクッと行ってサクッと汗を出したいときは、渋谷と恵比寿の間にある「改良湯」など、100度近い熱いサウナに行くんです。自分のなかで、このサウナは結構汗が出やすいなど、メモをしたりしています。低すぎても汗が出ないので、85度くらいのサウナがおすすめです。
こばやし:汗を出す目的で入るサウナとロウリュを楽しむサウナは、結構別物だと思います。一言にサウナといっても、サウナの仕様的に楽しみ方が全然違うんです。大きく分けると、ひとつはとにかく汗を出す、日本ならではの熱々ドライサウナ。もうひとつのロウリュを浴びるサウナは、そんなに熱くない。蒸気を浴びると体に水滴がついていくのですが、それが自分の汗かどうかもよくわからないくらいで、その3、4割が汗だとも聞きます。私は“プハー”となるような珠玉のロウリュを楽しむために入っています。
清水:“プハー”にも使えるし、喫茶店みたいにも使える。いつ行くかによっても変わるから、サウナっておもしろいですよね。
サウナは入ってみないとわからない

こばやし:新しくオープンしたサウナは、もう追えなくなってきて。帰国して行くところは、家から行きやすいところになってしまいますね。
清水:結局そこにたどり着きますね。もしくは仕事の途中にあるサウナとか。習慣化してみようと思ったら、行きやすいところがいいですよね。
こばやし:フィンランドにはないので、日本ではサウナよりお風呂に入っておきたいんですよね。だからどうしても銭湯サウナが増えるし、銭湯で交代浴(温かいお風呂と冷たい水風呂に交互に入ること)をするだけで満足。蔵前にある三筋湯は昔から薪で焚いている銭湯で、すごくやわらかいお湯で、シャワーがすごく冷たいんです。薪の方が湯質がとろんとしていて気持ちがいい。
清水:京都にある「サウナの梅湯」も薪で焚いていますよね。私もなんだかんだ、サウナのない銭湯にも行きます。
こばやし:私の中ではお風呂とサウナは分かれていなくて。風呂でも汗を出せるし、体をきれいにして疲労回復のためにゆっくりするという意味では、銭湯でも十分です。サウナは千差万別で、自分に合うサウナは人それぞれ。入ってみないとわからない。用途別に使えます、ということは知っておいてほしいですね。
清水:1回だけサウナと水風呂に入って終わってしまうのが一番もったいない。2セット目の方が汗が出るし、水風呂も気持ちよく感じます。1セット目で諦めないで!
こばやし:どうしてもサウナは我慢というイメージがありますが、フィンランドの人たちはサウナが一番だと考えているので、サウナの中をいかに快適にするか考えた結果、あまり熱すぎず、しゃべってもOKにしている。どこにピークをもっていくかも、全然違うんですよね。
清水:私は最近、サウナに入りながら力を入れないでマッサージをしていて。自分に向き合って、自分のために使う時間なんですよね。
こばやし:サウナに入るとそういう時間が作れる。私は仕事で煮詰まって一度リセットしたいときにはシャワーを浴びますが、サウナの中には仕事を持ち込まないし、考え事もあまりしないようにしています。「スパ ラクーア」や「コリドーの湯」など、ワーキングスペースのあるサウナを活用するのもいいですね。
清水:「渋谷SAUNAS」も仕事スペースがすごくいい。サウナって何かと付随すると、よりいいことが起こる。仕事もはかどりますね。
こばやし:コミュニケーションツールにもなっているしね。日本のサウナはタオルなど、持ち物や準備が特にいらないのがいいところですよね。
清水:とにかくサウナは簡単。何も難しくないので、ぜひ行ってほしいです。
今回対談したのは……こばやしあやなさん
1984年生まれ。フィンランド在住。サウナ文化研究家。「Suomiのおかん」の屋号で現地コーディネート、執筆、翻訳活動をする傍ら、2016年に現地大学院で執筆したフィンランド公衆サウナの歴史と意義という修士論文が話題に。卒業後もコーディネート業務を続けながら、日本とフィンランドの浴場文化に橋を架ける活動に取り組んでいる。著書に『公衆サウナの国フィンランド:街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』(学芸出版社)。
清水みさとさんの『ご自愛サウナライフ』発売中!
こちらもチェック!
photograph:Miho Kakuta edit & text:Mayumi Akagi
撮影協力:サウナ大橋会館
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
おすすめ記事 RELATED ARTICLES
Recommend
SNAPRanking
DAILY
/
WEEKLY







































