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:【女子旅 ラトビア】 ジンジャーブレッド作り、ウールサウナ、洞窟ワイン。ラトビアでとっておきの体験5選
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バルト三国の中央に位置する、国土の約53%が森林というラトビア。ラトビアでは、昔から伝わる家庭料理からサステナブルな料理を味わえるレストラン、「ピルツ」と呼ばれるサウナ、洞窟でワインの試飲などさまざまな体験ができます。豊かな自然や美しい景色の恵みをたっぷり感じる、ラトビアならではの5つの特別な体験をご紹介します。
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01
伝統的なお菓子、ジンジャーブレッド作り

1924年、ラトビアの首都・リガ郊外のユグラ湖畔に創設された、ラトビア民族野外博物館。ヨーロッパ最古で最大の野外博物館で、約87ヘクタールの広大な土地に、ラトビアの5つの地域から移築した、歴史的な建造物が並びます。ここではラトビアの昔の暮らしや、プズリ(麦わらの飾り)作りなどの手仕事、歴史を学ぶことができます。
また毎年6月最初の週末には、50年以上にわたって民芸市も開催。ラトビア中から集まった、民族衣装に身を包んだ作り手から直接、ミトンやかご、織物などの伝統工芸品を買うことができる、手仕事好きにはたまらないお祭りです。

22人が一緒に暮らしていたというクルゼメ州から移築した家。手作りのものをシェアしたり、部屋を効率的に温める工夫がされていたそう
現在もミサが行われている1704年に建てられた最古の木造教会や、馬小屋などのほか、ラトビアでは少なくとも14世紀から存在したというサウナ小屋も。
家にお風呂がなかったため、週に一度サウナに入っていたといわれ、出産や病気の治療にも使われていたのだとか。


小さなサウナ小屋の前には池も。火事を防ぐため、自宅から遠い場所に作られていたのだそう
ラトビアの家庭料理

ライ麦パンをとても大切にしているラトビア。シナモンなどのスパイスと、ブラックカラントなどの入ったホットドリンクとともに
ランチは、博物館の入り口にあるレストラン「Priedes Krogs」で。薪ストーブにキャンドルが灯されたテーブル、ラトビアの伝統音楽が流れるなか、かわいいエプロンを身につけた女性たちが、次々と温かな料理を運んできてくれます。


まるで絵本のなかに出てくるような、かわいらしさ! 「温かいうちにたくさん食べてね」という言葉に元気をもらえます
「ラトビアには、食べ物を大切にする文化があります。特にライ麦パンを作るときには力が必要。ポジディブなエネルギーでなければ、いいパンが作れません。エネルギーが食事に伝わるので、愛を込めて作っています」
ライ麦パンのほか、ミートパイ、梅干しを使ったザワークラウト、ローストポークにポテトやビーツ、とボリュームたっぷり。野菜も油もたっぷり使った素朴な料理は、肉体労働が力一杯できるよう、考えられた昔ながらのレシピだそう。大皿に山盛りにされた料理を取り分けて大勢で食べる、温かな食卓でした。
ジンジャーブレッド作り

ジンジャーブレッドはパンではなく、ラトビアのクリスマスに欠かせないクッキー。しょうがやスパイス、はちみつ、小麦粉、バターをたっぷり使った生地に、ボタンのように穴を開けて、卵を塗り、チョコレートやヘンプシード、アーモンド、くるみ、カカオなどを好みでトッピングします。
ラトビアでは幸運のボタンのクッキーとも呼ばれていて、スパイスをたっぷり入れて病気の予防のために冬によく食べるそう。

オーブンに入れて、すぐに焼き上がり! キュートなお母さんの人柄に、ついつい笑みがこぼれます

デザートはライ麦のケーキにメレンゲとリンゴンベリーを添えたもの。食べきれなかったライ麦パンを無駄にしない工夫からできたというスイーツです
飾りつけを終えたクッキーは、昔ながらのオーブンに入れて約3分でできあがり。できたてのクッキーはスパイシーな香りで、ほのかな甘さ。トッピングが多ければ多いほどおいしくなるそう。自宅でも作ってみたくなる、素朴な味わいです。
10:00〜16:00
12月31日、1月1日休み。2月1日〜3月31日は月曜休み
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02
世界唯一の、ウールサウナを体験

リガから車で30分ほどの、手つかずの自然が残るガウヤ国立公園。「ラトビアのスイス」と呼ばれるスァグルダからは車で15分ほどの場所に作られた、ウェルネス施設「Ziedlejas(ズィドゥレヤス)」。
敷地内では一年を通して違う景色が見られ、ハイキングや自転車のトレイルルートなど、サウナ以外のアクティビティも楽しめます。

ガラス張りの宿泊施設は、天井から星空を眺められるおしゃれな設計
ピルツは古代から受け継がれる、浄化と癒やし、自然との繋がりを感じられる儀式ともいわれる伝統的な入浴法。蒸気で温めるサウナで、温度はフィンランドよりも低いのが一般的。サウナマスターによる施術や導きを受けながら、自然の恵みをたっぷり感じることができます。
「Ziedlejas」には伝統的なピルツを体験できるガラスサウナ、ウールサウナ、スモークサウナという3つのサウナと、6つの宿泊施設があります。

円形の建物の中央にある、大きなサウナストーブ。サウナごとに違う薪を使うというこだわり

厚い羊毛が張られた、ラトビア唯一の建築
今回体験したのは、世界的にも珍しいウールサウナ。サウナ室内が羊毛で覆われているため保温効果が高く、やわらかな温度になるのが特徴で、暑いサウナが苦手な人にもおすすめ。治療的な効果も期待できるそう。ここではボディケアに特化した、サウナ体験ができます。
ハーブティーや黒パンとはちみつ、フルーツなどを食べて、体を中から温めたらサウナルームへ。二人のサウナマスターが、一人40分ずつ、丁寧に施術してくれます。


上)まるでエステのような極上体験。水着着用で体験しましたが、より効果が得られるよう、裸になるのがおすすめ。下)サウナの外に置かれたフルーツやドリンクは、好きなタイミングで飲んでいい
ウィスク(植物の枝葉を束ねたもの)を使い、スクラブで体を包むように全身を洗い、はちみつのマスクでマッサージ。やさしいタッチのウィスキング(ウィスクで体をたたき、血行を促す)もさることながら、暑く火照った頭を冷たいタオルで包み、額に冷水をかけてくれたり、全身にぬるま湯をかけてくれたり、丁寧な施術は今までサウナで味わったことのない至福の時間。じっくり温まった後は、両手を引かれて水風呂に誘導され、肩まで浸かった後、毛布にくるまれてハンモックにダイブ。ひんやりとした外気と温かな毛布の外気浴は、森のなかに浮かんでいるような感覚で、心身ともにリラックスできました。

ウールサウナのハンモック。全身の力が抜け、空を眺めながら外気浴ができます

外にある水風呂。頭まで入ることを勧められますが、無理な場合はできるところまででOK
伝統的なサウナを体験できる
「ガラスサウナ」と「スモークサウナ」




上)おしゃれなガラスサウナ。テラスで外気浴も。下)こちらの池にドボン
ガラスサウナは、より伝統的なピルツを体験したい人におすすめ。大きなガラス窓の開放的な空間で、サウナで温まった後に目の前にある池へ。冬には約4℃になるという池でクールダウンした後は、温かな部屋のなかで楽器の音色を聴きながらリラックス。五感を使ってととのうことができます。

目の前に池のあるスモークサウナ

スモークサウナのととのいスペースも素敵
最も伝統的なのが、薪を使ったスモークサウナ。長時間燻したサウナは、煙でいっぱいに。スモーキーな香りで、体の芯から温まります。森の中にあるスモークサウナは、自然との距離が一番近く、より神秘的な体験ができそうです。
静寂のなかで自然の恵みをたっぷり感じながら、心と体が浄化される体験ができるピルツ。非日常の空間だからこそ味わえる、極上のリラックスタイムでした。
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03
サステナブルな美食体験

リガから車で約70分ほどの、かつて製紙工場が多く立ち並んだリーガトネ(Līgatne)は都会の喧騒から離れ、静かに暮らしたい人たちに人気の町。「Pavāru māja(パヴァル・マーヤ)」は、サワーチェリーや黄カブなどのラトビア特有の絶滅危惧種を復活させたり、伝統の金継ぎで修復したお皿を使うなど、さまざまな持続可能な活動が評価され、グリーンスター付きのミシュランを2年連続で獲得したレストランです。
オーナー兼シェフは、リガにある世界的にも評価の高い人気レストラン「3 Pavāru Restorāns」を手がけた一人で、リーガトネは長年バードウォッチングツアーを企画していた場所だったそう。1901年に産院として建てられたこの場所を歴史を継承するようにリノベーション。庭園では自家菜園やはちみつの採取などをしながら、子どもたちが遊べる場所を作るなど、地域の人たちとの交流の場にもなっています。

鳥の絵がたくさん飾られている店内も洗練されていて素敵
ここではスローフードの哲学のもと、地元野菜、動物の可能な限りすべての部分を調理することにこだわり、旬のオーガニック食材を使ったランチ、ディナー、テイスティングのコースが楽しめます。
今回は、スズキと四川山椒を使った前菜、ポルチーニと栗のムースを添えた牛肉のスープ、鴨肉を余すところなく使ったメインディッシュ、菊芋とどんぐりのデザートの4品からなる、秋のランチコースをいただきました。

オーガニックの鴨肉は、しっとりとやわらかいローストのほかコロッケやハツ(心臓)など、すべての部位を調理したもの

自家製のライ麦と大麦、チャイブ入りのパンが絶品

菊芋とどんぐりを使った、土っぽい香ばしい味わい。パリパリに揚げた菊芋の皮入り
シェフのこだわりが感じられる斬新な料理は滋味深く、盛り付けも味わいもどこか和食のよう。ひとつの素材をさまざまな方法で調理して食べ尽くす、サステナブルなメニューは驚きに溢れていました。リガの人たちに人気な理由もよくわかる、わざわざ足を運びたくなるお店です。


上)ヨーロッパ一の牡蠣むき職人も。下)白樺や燻製したものなど、さまざまなオリジナルの塩は、スーパーや空港でも購入可能
月・火・水曜休み
要予約
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04
洞窟でワインをテイスティング

「Līgatne winery(リーガトネ ワイナリー)」は、前ページでご紹介したレストラン「Pavāru māja」から徒歩で行ける距離にある、2010年に設立されたワイナリー。
一年を通して6〜8℃に保たれる砂岩の洞窟は、食料品の保管に最適だったため、1770年頃から200年の間に、330以上の地下室が作られたそう。その一部をワインセラーとして、今も利用しているのがこのワイナリーです。

ここでできるのは、洞窟のなかでのワインテイスティング。ガウヤ国立公園で収穫されたラトビア産のベリーやフルーツ、植物や花を使い、自然発酵で約1年熟成されたワインのうち、10種類ほどのワインの説明を聞ききながら、地元産のチーズとともに試飲ができます。

ワインテイスティングは1時間ほど。キャンドルの灯りのなかで飲むワインは格別です
気に入ったワインはショップで購入が可能。かわいいエチケットのワインは、お土産にもぴったりです。


上)左はたんぽぽを使った甘口の白ワイン。右はライラックのロゼワイン。下)猫が描かれたエチケットのワインは一番人気だそう
ワインテイスティング 大人15ユーロ
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05
地元の人に混じって図書館見学

リガの旧市街からダウガヴァ川を渡った先に見えるのが、2014年に完成した新国立図書館。山のようなユニークな建築は、建築家グンナー・ビルケルツによるもの。光の城とも呼ばれ、独立と復興の願いを込めてデザインされているのだとか。

近代的なエントランス。カウンターで見学希望を伝えるとカードを借りることができ、荷物を預けて入ります

圧巻なのは、中央の吹き抜け部分に何階にもわたって続く書庫。「書物の山」とも呼ばれ、市民から寄贈された本が並ぶ様子は圧巻。なんと旧市街にあった旧図書館から新図書館まで、本を一冊ずつ手渡しで運ばれたのだとか。思わず写真を撮りたくなるスポットです。
企画展が開催されているほか、ラトビアで歌い継がれる民謡「ダイナ」を全土から収集したコレクションを収めたキャビネットや、ラトビアの古いお金などが展示され、ラトビアの歴史を学ぶこともできます。


上)ユーロ導入前のラトビアのお金も展示。下)フロアの色分けは、かつてのラトビアの独自通貨の色を採用

最上階は展望台になっていて、旧市街を一望することも

1階には、おしゃれな雑貨が揃うショップも

植物や動物が描かれた、ポストカードやブックマークなども素敵
10:00〜20:00(1階〜3階)、11:00〜19:00(4階〜7階)、土曜11:00〜18:00
日曜休み

ラトビアの人たちの優しさやチャーミングな人柄も忘れられない体験に
さまざまな体験ができるのは、多様な魅力を持つラトビアならでは。ラトビアを旅する際の参考にしてみてくださいね。
バルト三国の旅の記事をチェック!
photograph & text & edit:Mayumi Akagi cooperation:LIAA
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