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:【バルセロナ世界遺産めぐり vol.2|グエル公園とカサ・バトリョ】 背景を知ると10倍おもしろい。スペイン建築旅レポート
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グエル公園とカサ・バトリョ。
どちらもスペイン・バルセロナを代表するガウディの世界遺産ですが、実際に足を運んで印象に残ったのは、見た目の華やかさよりも、その建築が生まれた背景でした。
今回は、グエル公園とカサ・バトリョを巡る際に、先に知っていると興味がぐっと深まる話を、リンネル暮らし部エディターのアカリと柚子が紹介します。
はじめは公園ではなかった、グエル公園

グエル公園は、はじめから公園としてつくられた場所ではありません。
もともとは、自然と調和した分譲住宅地として構想され、設計を任されたのが、アントニ・ガウディでした。
当時としてはかなり先進的な計画でしたが、住宅地として購入されたのは、わずか2区画。
そのうちのひとつは、ガウディ自身が住むために購入したものだったといわれています。
計画は思うように進まず、その後この場所は市に引き継がれ、現在のような公園としてひらかれました。
この背景を知ってから歩いてみると、グエル公園がどこか整いきっていない理由にも、自然と納得がいきます。
街を見下ろす中央広場と波のベンチ

グエル公園に入場して、私がまず最初に向かったのは中央広場でした。
園内を少し上がった先、街を見下ろす位置にある場所です。
ゆるやかな曲線を描くベンチがぐるりと囲む空間は、写真で見るよりもずっと開放感があります。

実際に座ってみると、背中に沿うようにカーブがつくられていて、不思議と姿勢が落ち着きます。
そして広場からは、バルセロナの街並みが一望でき、視線の先にはサグラダ・ファミリアの姿も。
この中央広場は、グエル公園の雰囲気をつかむための場所のひとつだと感じることができました。
お菓子みたいな建物とトカゲの噴水
─かわいさの裏にある役割

中央広場から降りていくと、
「あ、ここだ」と分かる、グエル公園を象徴する場所が広がっています。
お菓子の家のような建物と、階段の途中にあるトカゲの噴水。
写真やガイドブックで何度も目にしてきた風景でしたが、実際に近くで見ると、思っていたよりも色味は少しだけ落ち着いていて、「かわいい」だけで終わらない存在感がありました。
このお菓子の家のような建物は、もともと分譲住宅地として計画されていた頃の入口施設。
管理人の住居として使われることを想定しながら、同時に、この場所全体の「顔」として設計された建物だったそうです。

階段の途中にあるトカゲの噴水も、貯水槽から水を流すための排水口としての役割を担っていたとか。
かわいらしい見た目の奥に、きちんとした機能と仕組みまで含めてデザインされている。
この場所が、ただ目立つためにつくられたわけではないことが、少しずつ伝わってきました。
涼しさが残る100本の柱の部屋
(列柱ホール)

お菓子の家のような建物とトカゲの噴水がある階段を上がっていくと、その先に現れるのが「100本の柱の部屋」と呼ばれる場所です。
正式には列柱ホールといい、
太い石の柱が規則的に並ぶ、グエル公園の中でも印象的な空間でした。
真夏のバルセロナでしたが、ここに足を踏み入れた瞬間に熱い日差しが遮られ、思わず立ち止まりたくなる涼しさがありました。
あとから知って少し意外だったのが、この「100本の柱の部屋」の柱の数は、実際には86本だということ。
それでもこの場所が「100本」と呼ばれるのは、柱がずらりと並ぶ光景そのものが強く印象に残るからなのかもしれません。
数よりも、空間としてのスケールやリズムが先に記憶に残る。
そんな呼び名が、そのまま定着した場所でした。
暮らしのためにつくられた、カサ・バトリョ

グエル公園で感じた「知ってから見る」おもしろさは、街の中心に建つ、ひとつの建物でも続いていきます。
波打つような外壁、骨を思わせるバルコニー。
最初に目に入ってくるのは、遠くから見てもひと目でガウディの建築だと分かる強い個性でした。
この建物は、もともと人が暮らすための集合住宅。
中にはいくつもの住戸が重なっており、ガウディに改修を依頼した実業家バトリョ一家の住まいだけでなく、賃貸用の住居として使われていた階もあったそうです。
奇抜に見えるデザインのひとつひとつが、見せるためだけの装飾ではなく、生活を支えるための工夫でもあったこと。
そこに、カサ・バトリョという建物のおもしろさがありました。

中に入ってまず感じたのは、外観とは異なる意外なほどの静けさ。
建物の中心に設けられた吹き抜けには、やわらかな自然光が上から落ちてきます。
青から白へと少しずつ色が変わるタイルは、光の入り方に合わせた工夫なのだそう。
どの階にいても、光の量が極端に偏らないように考えられている。
そう聞いてから見上げると、装飾に見えていたものが、少しずつ「仕組み」に見えるようになっていきました。

天井のゆるやかな曲線や、ドアと壁のつなぎ目、階段まわりの細かな形。
どれも、「きれい」「すごい」を超えて、
「こんなの、どうやってつくるんだろう」と思わず考えてしまうものばかり。
目に入る場所が変わっても、その感覚は途切れません。
華やかさの中にある心地よさ。
目を引くデザインの裏に、毎日の暮らしを支える工夫が重なっていることが、中を歩いてみてようやく腑に落ちました。
どこを見てもガウディならではの建築が詰まっている。
そんな空間だったように思います。
おわりに|「知ってから見る」ことで
変わったこと

グエル公園も、カサ・バトリョも。
どちらも、見た目のインパクトが強いガウディの建築です。
でも実際に歩いてみて印象に残ったのは、
「すごかった」という感想よりも、背景を知ったことで見え方が何度も変わったということでした。
ガウディの建築は、一度見て終わりではなく、知るたびに、見るたびに、印象が更新されていくもの。
これから訪れる人が、それぞれの視点でこの建築を味わうための手がかりになるとうれしいです。
リンネル暮らし部エディター・
アカリと柚子さん

旅とお酒、そして日々の暮らし。ちょっぴり世界が広がる瞬間を大切にしています。Instagramでは、ナチュラル×トラディショナルなコーディネートを発信。リンネル暮らし部エディターとしてブログも更新中。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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