日本の学習指導要領で定められている範囲では、学校から「性教育」として子どもたちに伝えられる内容はまだまだ限定されているのが現状。家庭のなかで子どもたちに伝えたい「性」とはどんなこと? 一緒に考えてみませんか。
高橋幸子先生に聞いた! 性教育のお悩み Q&A
【子どもたちの性教育】 11歳~思春期に伝えておきたいこと
1. パートナーを大切にするとはどういうことかを示す
思春期になると、親と子が面と向かって性の話をするのが難しくなってきます。日ごろの態度で示すことがますます大切に。
子どもは親の態度から学ぶので、夫婦(またはパートナー同士)が、思いやりをもって接する姿を見せることを心がけて。
2. 子どもが相談しやすい環境をつくる
反抗期など子どもと距離がある場合でも、話しかけられたときは、たとえ些細なことでもきちんと子どものほうを向いて聞く態度を見せることも大切です。
また、親には相談しづらいことを話せる親戚やママ友、パパ友などの大人がいるとベター。
13~18歳の女性が助産師や看護師などに相談できる「ユースクリニック」が日本でも徐々に増えてきています。そういった情報も共有しておくといいでしょう。
3. 暴力的な性のシーンはウソだと伝える
子どもがアダルト動画などを見ていると心配になることがありますね。性的な興味があるのは自然ですが、アダルト動画ではしばしば暴力的な性が描かれているので、それを当たり前と思ってしまうのは危険。
「アダルトビデオの内容はウソだから~」とそれとなく、でもしっかりと伝えましょう。
4. 思春期の性教育におすすめの本
『これからの男の子たちへ』著:太田啓子(大月書店)
『15歳までの女の子に伝えたい 自分の体と心の守り方』著:やまがたてるえ(かんき出版)
親世代も不安だらけ……
高橋幸子先生に聞いた! 性教育のお悩み Q&A
お悩み1 「性行為について教えるのに抵抗があります」
「赤ちゃんはどこから来るの?」と聞かれたら「ちゃんと教えるから少し待っててね」と言って、その子の年齢に適した性教育についての本を一緒に読むのがいいでしょう。
もしも「お父さんとお母さんもセックスしたの?」と聞かれたら、「そうだよ」と答えてOK。何回したのか、いつしたのかなどの質問は「それはプライベートなことだから、ママは答えないよ」と、はっきり伝えましょう。
お悩み2 「セクシーな服が好きな8歳の娘が心配です」
本来、自分が好きな服装をするのはよいことで、その権利を守ってあげたいもの。でも、小さな子どもが性的な視線で見られる可能性は事実です。
頭ごなしに否定するのではなく、プライベートゾーンを見られてはいけないこと、性犯罪は身近なところにあって、「スキがある」と思われないことが大切であることを伝えましょう。どの服装がダメかは、親子で話し合いを。
お悩み3 「マスターベーションはいけないことだと教えられてきたんだけど……」
多くの子どもは性器を触ると心地よく、安心すると知って始めています。気持ちよいと気づいているとしても、それは将来性行為を楽しむためのベースになるので、悪いことではありません。
ただし、プライベートなことなので人の見ていないところですること、不潔な手で触るとばい菌が入りやすいことなどを伝えましょう。
ママ目利きさんに4人聞きました! わが家の性教育
息子が小2のときに性器の違いに興味を持ったので、助産師さんを招いてほかの小学生とともに妊娠、出産について話してもらいました。親以外が話すことで、子どもたちも茶化さず真面目に聞いてくれました。(ライター・仁田ときこさん)
5歳の娘がお尻やおなかを出してふざけていたので、ちゃんと伝えなければと思い、絵本『うみとりくの からだのはなし』を読み聞かせました。自分のからだや心を守ることが性教育の第一歩だと親も理解。少しずつですが、ふざけて露出しなくなりました。
(ライター・長井麻記さん)
高学年の娘が授業で習ったらしく「お母さんとお父さんもアレをやったの?」と聞かれ「もちろんそうだよ!」と答えたら兄妹そろって「キモイ!」と言ってきました。子どもたちをハグして「これキモイの? いやらしいの? 大好きだから、子どもたちにもお父さんにもハグするんだよ!」と、恥ずかしがらずに伝えました。
(モデル・AYUMIさん)
10歳の息子には、小さいころから性に関する話を恥ずかしがらずに情報として伝えています。男の子ですが、女性には生理があることなど折にふれて教えています。
(ライフオーガナイザー・田中由美子さん)
教えてくれたのは…
高橋幸子先生
illustration:Naomi Mori text:Ema Tanaka web edit:Noriko Naya
リンネル2022年8月号より
※写真・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください
仁田 ときこライター・編集者
衣食住をテーマにさまざまな媒体で執筆するライター。趣味は普段の暮らしに薬膳を取り入れること。男児二人を育てる母。最近は自身のカメラで撮影した写真とともに旅コラムを寄稿する。
リンネル.jpでは、旅記事のほか、「yujiさん・仁田さんの福めぐり」連載を担当し、いま行くべきパワースポットを紹介!
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