寒くなると気分が沈みがち、ベッドから出られないなど、冬は不調を抱えやすい季節です。もしかしたら、その不調は「ウィンターブルー」かもしれません。医師の三島和夫先生に、ウィンターブルーの原因や対処のために心がけたい生活習慣についてお聞きしました。
1.ウィンターブルーの主な症状とは?
夏は活動的なのに、毎年冬になると意欲が低下してしまうという方、ほかにもこんな症状が出ていませんか?
<症状 1>
たくさん眠ってしまう
長時間寝たはずなのに、冬は朝の目覚めが悪い。夏は目覚まし時計が1度鳴れば起きることができたのに、最近は2度寝、3度寝が当たり前で、少しずつ夜型の生活に移行している。
<症状 2>
甘いもの・炭水化物を
普段以上に食べてしまう
食事以外に甘いものを過剰に食べたくなったり、運動量が増えたわけではないのに夕食後も何か食べたい気がする。寒くなってから、とりわけ炭水化物の摂取量が増えて、毎年冬に体重が増える。
<症状3>
ボーッとする
冬になると気分が落ち込み、一日中スッキリしない。仕事や人間関係にも意欲がわかず、ミスを連発してしまう。ひどいときには仕事にも行けず、ただ家で横になって何もしたくない。
2.ウィンターブルーの
主な原因は日照不足
冬になると食欲が増え、睡眠時間が長くなるのは自然の摂理ですが、その季節変動が大きく、何事にも意欲がわかないなどガス欠のような状態になると、要因として考えられるのが“ウィンターブルー”。初期は症状が軽く、寒いから外出したくないだけ、目覚めが悪いだけと、ほとんどの人が生活に支障が出始めるまで気がつかず、3月頃には少しずつ軽減されるのも特徴です。名前から冬限定と思われがちですが、夏場や梅雨など、曇天が続くと症状が再発することもあります。
では、なぜ冬になるとそのような症状が出やすいのでしょうか?
「主な要因として日照不足があります。日照量が低下すると体内時計が乱れ、目覚めが悪く、一日中スッキリしない。長く寝すぎることで睡眠の質が低下します。日照時間が短い地域ほどウィンターブルーの発症率が高く、それは脳内の刺激伝達物質であり、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの分泌量と関係があることが研究でわかっています。セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンが脳に運ばれて生成されます。ウィンターブルーの症状を軽減するためにはバランスのいい食事を。また、強い光を浴びることでセロトニンの生成は促されますが、室内で浴びる光では不充分で、屋外で直接日光を浴びることが重要です」とは医師の三島和夫先生。
また、大切なのが、自身の心と体の声にしっかり耳を傾けること。「ウィンターブルーはストレスなどで生じる心の病気ではなく、むしろ日照時間の変化によって引き起こされる体の病気と言えます。冬に新たなことを始めたり、無理やり生活を正そうと自責的になるのはNG。“今、体が求めていること”を大切にして静かに過ごし、生活に支障が出るほど症状が重い方のみ精神科に相談してみては」
3.ウィンターブルーを
深刻化させない3つのこと
比較的女性に多いウィンターブルー。生まれ持った体質によるところも大きく、10代後半〜20代に発症することが多いそう。おまけに、健康な人でも曇天が続くとセロトニンが減少することがわかっているため、たとえば、夏のシミ対策のように、前もってできる防止策は今のところないと言われています。ですが、生活の中で日に当たること、バランスのよい食事を心がけて気分を回復させることがとても重要です。ウィンターブルーの症状が出ているのかな?と思ったら、まずは生活を見直してみましょう。
<1>
太陽光を浴びる時間をとる
病院では実際に強い光を使った治療法があり、その効果が認められていますが、日常生活でセロトニンを増やすには外に出て日光を浴びるのが一番。太陽の青い光に効果があるため、晴天の日中で30分から1時間を目安に日光浴を。ツバのある帽子やサングラスは光を遮ってしまうため、ウィンターブルー対策としては不要です。もし外に出られない場合は、窓ガラスに近い位置でまっすぐ外を見ましょう。光を活用するには意識的に明るいほうを見ること!
<2>
夏より30分~1時間、
睡眠時間を長くとる
日照時間が短くなると体内時計が遅れるため夜型の生活になってしまいがち。仕事などで朝起きる時間を遅らせることができない、昼寝の時間もとれない場合は、夏より30分~1時間早めにベッドに入る習慣をつけましょう。
<3>
「トリプトファン」と
「ビタミンB6」を一緒に摂取する
ウィンターブルーの回復にはセロトニンの原料となる必須アミノ酸のトリプトファン、セロトニンの生成を促進させるビタミンB6、エネルギー源となる炭水化物をバランスよく含む食事が大切。甘いものや炭水化物など、糖質を欲するのはインスリンの影響で血中のトリプトファンが増えるから! これは無意識的な自己治癒行動なのだそう。
教えてくれた
医師・三島和夫さん profile
text:Mai Takasaki illustration:Shinco Uematsu web edit:Riho Abe
リンネル2018年3月号より
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