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:白崎裕子さん「野菜の性質をちゃんと感じることで、シンプルなレシピになっていく」|新著『野菜のいいぶん 誰も教えてくれない秘密のレシピ130』インタビュー
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「野菜はいつもサインを出しているんです」。そう話す料理研究家・白崎裕子さん。野菜の性質をよく見て感じることで、調理はもっとシンプルに、おいしくなるといいます。新著『野菜のいいぶん 誰も教えてくれない秘密のレシピ130』に込めた思いを聞きました。
料理をしていると、野菜って
いつもいろんなサインを出してるんです
野菜のいいぶん――。なんともユニークなタイトルに、まず心が惹かれ、ときめきました。あたかも人間のように野菜をとらえ、“彼ら”の伝えたいことに心を澄ませて調理をするという、なるほど! な発想。ただこれ、決して本のために考えられたのではなく、料理研究家の白崎裕子さんが普段から感じている、リアルな実感そのものでした。
「ずっと料理をしていると、野菜っていつもいろんなサインを出してるんですよ。『ここ、今まだちょっと待って』とか、『5分の予定だったけどごめん、やっぱりあと3分焼いて』とか。野菜自身が、いろいろなものを出しているんです」
その“サイン”を受け取るためには、人間がそうであるように、野菜もまた一つひとつが個性があるので、それをよく観察すること。「よーく見ると案外、子どもでもわかるようなことだったりするんですけど、むしろ料理経験が長い人ほど、何分とか、何センチとかの数字にとらわれちゃうんです」
さらに白崎さんいわく、「野菜の切るべきところには全部印がついている」とか。例えばきゅうり。「ヘタから2センチくらいのところが少しくぼんでいて『ここですよ』って言っている場所を切り落として擦り合わせると、見たことないくらいアクが出る。やったのとやらないのとでは苦みが全然違って。きゅうりが嫌いな子ってこれか、と思うわけです」
また「新鮮だけど慣行栽培で育てた野菜と、無農薬だけどちょっと古い野菜、どっちがいいですか?」という生徒さんからの質問にも、こう答えます。「確かに悩ましいですよね。でも、無農薬のほうは確かに干からびてて、おじいさんみたいになってるキャベツだとしても、そのキャベツなりの力が残っていて、煮込みにするとものすごい力を発揮したりするんですよね」
どっちが良い悪いではなく、手元に来た野菜の性質をちゃんと見て感じて、調理する。するとレシピは、おのずとシンプルでかんたんになっていく、といいます。「ただレンジでチンするみたいなかんたんさとは種類が違って。野菜を見て、その後ろをそっとついていけば、回り道をしないで一番シンプルな調理法に決まっていくんです」
それは、白崎さんがこれまで提案してきた料理とも、深く重なり合います。
「まず材料があって、今日買ってきたところでもう8割方うまくいってる。あとはそれをどうやって、なるべく機嫌のいいまま、お皿の上まで行ってもらうか。そのために人間が無理にコントロールするんじゃなくて、ちょっと手伝うくらいの感覚なんです」
野菜のいいぶんを理解し仲良くなれば、料理も楽しくなりそうです。
『野菜のいいぶん
誰も教えてくれない秘密のレシピ130』

白崎裕子/¥1,848(ダイヤモンド社)
予約のとれない料理教室・白崎茶会が、野菜30種類の底力を最大限に引き出す130品のレシピ。ゆるくてかわいい言葉とイラスト、野菜が主人公の絵本を読むような感覚もありながら、実用性もしっかり担保。作る身になった文字の大きさやデザインも地味にうれしい。
白崎裕子さん
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photograph: Kazuyoshi Aoki text: BOOKLUCK
リンネル2026年8月号より
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