CULTURE
:辛いとき“おやつ”に何度も救われてきた。甲斐みのりさんの新著『おやつがあれば、だいたいだいじょうぶ』インタビュー
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“おやつ”をテーマに、日々を軽やかに生きるヒントが詰まった、文筆家・エッセイスト甲斐みのりさんの最新エッセイ。
暮らしや仕事に追われるなかで、辛いときやさびしいときも、おやつに何度も救われてきたという実体験が、やさしい言葉で綴られています。エッセイとリアルなおやつ情報が重なり合い、読んでいるだけで心がゆるむ一冊。
疲れたときにそっと寄り添ってくれるような、あたたかい魅力が詰まっています。
おやつが、誰かにとっての
「小さなお守り」のような
存在になれたら。
「よく『古いもの、レトロなものが好きなんですか?』と聞かれるんですけれど、私は物語のあるものが好きなんです」
文筆家として、旅、散歩、お菓子、手土産など、暮らしにまつわるさまざまなトピックを独自の視点で綴り続けてきた甲斐みのりさん。新刊『おやつがあれば、だいたいだいじょうぶ』は、これまでのあまたある著書とは少し異なる、あたらしい挑戦でもありました。
「これは『本世代』だけでなく『SNS世代』にも届く作りを、ちょっと意識していて。文字もそんなにいっぱいじゃなくて、軽やかで、かわいい絵も添えてあって。活字を読み慣れていない世代の人でも楽しめるものにしたい、という意図がありました」
一篇のエッセイを短くまとめる作業には、文筆家としての苦労も。「普段からだいたい同じことは言っているんですけれど、それを軽やかに書くというのは初めての経験だったので、逆に難しかったですね。短さの中に、どうやって物語を紡ぐか、そんな試行錯誤がありました」
甘く楽しいばかりではない、とりどりの記憶を集め、あぐねながらもありったけにこめたのは「おやつが、人の心の支えになってくれたらいいな」という願い。
「毎日一生懸命に過ごしていると、どうしても心が疲れてしまったり、いっぱいいっぱいになってしまう瞬間ってありますよね。そんな時に、おやつがひとつあるだけで、少しだけ救われる。そんな感覚を大切にしたいんです」
タイトルの「だいたいだいじょうぶ」という言葉にもまた、そんな読者に寄り添いたい、という心情がこよなく滲みます。
「このタイトルは、私自身の実感でもあるんです。何か嫌なことがあっても、お気に入りのおやつを食べる時間があれば、少しだけ前を向ける。おやつが、誰かにとっての『小さなお守り』のような存在になれたら。そんな思いで綴りました」
そう、この本は単なるガイドブックでは決してなく。おやつという存在を通じて、自分を肯定したり、機嫌を取ったりすることの大切さを説く、やさしくも力強いメッセージがちりばめられています。
「この本を読んだ人が、自分の好きなもの、物語を感じるものに出会って、日常が少しだけ軽やかになったらうれしいです。おやつがあれば、だいたいのことは、きっとだいじょうぶ」
『おやつがあれば、だいたいだいじょうぶ』

甲斐みのり/¥1,760(スターツ出版)
ショートエッセイ30篇と、東京・首都圏の厳選された30品以上のおやつ情報、さらに人気イラストレーター・鬼頭祈さんのイラストがふんだんに添えられた構成。心を慈しみ、甘やかしてくれるだけでなく「次はどんなおやつを買いに行こうか」と、明日への足取りを軽くしてくれる一冊。
甲斐みのりさん
photograph: Shinnosuke Soma text: BOOKLUCK
リンネル2026年6月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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