2023年も注目の美術展が盛りだくさん。リンネル本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんが、アート初めにぴったりなアート&イベントを厳選してご紹介します。
1.時を超えるイヴ・クラインの想像力ー不確かさと非物質的なるもの
■青の世界を追求したクラインの、幅広い表現を堪能
わずか34年余りの人生のうちに数々の傑作を生み出し、世界的に高く評価されるフランスのアーティスト、イヴ・クライン。芸術の「脱物質化」を求め、新しい技法や芸術に対する大胆な試みを行ったクラインの作品を中心に、同時代の作家と現代の作家を加え、彼らの芸術に共通する「非物質性」をテーマにした展示が開催されています。
鮮やかで深い青「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」を開発し、青の作家として知られたクライン。家の2階の窓から飛んでいるような瞬間をとらえた作品《空虚への飛翔》を代表とする、アクションやパフォーマンスも行い、火や金箔、海綿などの自然のエレメントを取り入れた作品や、ピンク、青、金のモノクローム作品など、多くの作品を生み出しました。
本展では、クラインの非物質性が生み出す感性や精神性の探究をさまざまな角度から紹介。モノクローム絵画や身体とアクション、音楽とパフォーマンスなど、同時代の作家や、クラインからインスピレーションを受けた、日本の布施琳太郎さんを含む現代の芸術家の作品と合わせて展示されています。
『時を超えるイヴ・クラインの想像力ー不確かさと非物質的なるもの』
開催中~2023年3月5日(日)/金沢21世紀美術館/10:00~18:00 ※金・土曜は20:00まで。入場は閉場30分前まで/月曜休館/一般¥1,400/https://www.kanazawa21.jp/yvesklein/
2. クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ
1946年、パリで創業したメゾン「クリスチャン・ディオール」。パリ、ロンドン、ニューヨークを巡回し、ディオールと日本との真摯かつ貴重な絆を称える特別な回顧展が開催中。ディオールが影響を受けた芸術から、庭園に対する愛、豪華な舞踏会の魔法、コレクションに最初から影響を与えていた日本の創造性への魅力など、75年を超える情熱にスポットが当てられています。
“バー”ジャケットをはじめ、現在に至るまでのアクセサリーやオートクチュール モデルの数々を展示。クリスチャン・ディオールのほか、イヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリなど、後継者である歴代のクリエイティブ ディレクターたちが考案した作品も公開。
また東京都現代美術館が所蔵する貴重な作品や、日本人写真家・高木由利子さんが撮り下ろした写真なども展示され、豪華絢爛な世界観にどっぷり浸ることができます。
『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』
開催中~2023年5月28日(日)/東京都現代美術館/10:00~18:00 入場は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥2,000/https://www.mot-art-museum.jp
3. コレクション展「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している 2022」
繊細な造形作品を配置し、鑑賞する緊張感のある空間からなる、インスタレーション作品などを制作する、美術家の内藤礼さん。2009年〜2016年に同館の鎌倉館で展示し、作品の在り方について検討を重ねた《恩寵》 を6年ぶりに展示するほか、2009年の個展当時の作品や新作と合わせて公開します。
コレクション展「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している 2022」
開催中~2023年1月22日(日)/神奈川県立近代美術館 葉山 展示室3b/9:30~17:00 ※入館は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥250/http://www.moma.pref.kanagawa.jp
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text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
赤木 真弓編集者・ライター
雑誌やウェブ、書籍で、主に暮らしまわりの記事を手がける。イベントで国内外の古本や雑貨を扱う「greenpoint books & things」、旅好きライターユニット「auk」としても活動。旅にまつわる著書多数。趣味は映画、アート、K-POP鑑賞、書店巡りなど。リンネル本誌では「アート&イベント」、リンネル.jpでは「今月のTO DO LIST」「清水みさとの食いしんぼう寄り道サウナ」などの連載を担当。
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