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【北海道東川町、織田コレクションを訪ねて vol.2】 暮らしを大事にすることが、美しいデザインにつながる 【北海道東川町、織田コレクションを訪ねて vol.2】 暮らしを大事にすることが、美しいデザインにつながる

織田コレクション
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北海道旭川に移住し、現在は北海道東川町の文化芸術コーディネーターを務める、椅子研究家の織田憲嗣さん。世界各国の優れたデザインの家具や日用品を長年にわたって収集、研究する「織田コレクション」が並ぶご自宅を訪ねました。2回目の今回は、インテリアの中で家具やものを並べるルールや、織田さんが後世に伝えたいことについて伺いました。

目次
【北海道東川町、織田コレクションを訪ねて vol.2】 暮らしを大事にすることが、美しいデザインにつながる
  1. ものを美しく見せる、4つのルール
  2. 織田さんが後世に伝えたいこと

ものを美しく見せる、4つのルール

織田コレクション 書斎にいる織田先生
書斎で使っている椅子は、ハンス・J・ウェグナーのスウィヴェルチェア

<< 織田コレクションを訪ねて vol.1から読みたい方はこちら↗

織田さんの自邸には、研究資料のために購入した世代も国も違うものが、家具から日用品まで大量にありますが、ほとんどが現役で使っているものだそう。不思議と調和されていて、ごちゃごちゃ見えません。

「モダンデザインだけを研究しているわけではなく、造形的に美しいアフリカンアートも非常に重要だと思っています。使ってこそ価値がわかるので、どれだけ高価なものでも基本的には使います。生活から生まれるモダンデザインやプリミティヴなものは美しい。それが無意識の美ですね」

そんな織田さんに、ものを配置するときに大切にしている4つのルールを伺いました。

織田コレクション 自邸の地下
アフリカのベッドにデンマークのヴヤン・ヴィンヴラッドの大皿

1. ものがより美しく映える場所に配置する

「人工物はすべてデザイナーが関わっているから、美しいと思うものはそれがより美しく見えるステージを準備します。つまり、まわりには何も置かない。同じジャンルのものはセットで配置するなど、置く場所を見極めます」

織田コレクション イギリスのクラフトアート
イギリスの木工作家アンソニー・ブライアントのオブジェは、チェストの上にひとつだけ配置
織田コレクション
素材を揃えて飾って。半円球の照明器具は、イタリアのアッキーレ・カステリオーニのデザイン。ガラスのボトルはスウェーデンのバーティル・ヴァリエンの作品。右のフクロウは、フィンランドのオイバ・トイッカのシリーズ
織田コレクション 李朝の鉄瓶
100年以上前の、朝鮮半島の李朝時代の鉄瓶。「鉄板を叩いて曲げて溶接して作られていて、こんなに凜とした潔い、美しいものはないと思いました」

2. 使ったものは元の場所に戻す

フィンランド、アラビア社のクリスマスプレートとイヤープレート。ケース内はイッタラ社の製品。奥の寝椅子はスウェーデンのブルーノ・マットソン、ソファはデンマークのフィン・ユールデザイン

使ったものは元の位置に戻すことが、片付けの基本だと織田さん。

「ソファの上に置いたクッションやひざ掛けは使ったら必ずたたんで、いつでもスタンバイの状態にしておきます。読みかけの本は背表紙を揃えて、下に大きな本、上に小さな本という順番に置きます」

3. 生活感を感じるものはしまう、隠す

ものには見せるものとしまうものがあり、日常使いのものは、目の触れないところにしまうことを徹底しています。

「例えば食器なら、カップ&ソーサーはしまうもの、絵皿はアート作品だから見せるものなんです。デザインのいい掃除機でも、生活感の見えるレシートや薬品と同じように、表に出ていない方がいいと思うので隠す。それが見せ方のルールですね」

織田コレクション 棚の収納
デンマーク、コーア・クリントのデザインしたカップボード
織田コレクション カトラリー
イタリアのジャン・フランコ・フラッティーニのチェストには、カトラリーを収納

4. 軸線を揃える

織田コレクション リビング
テーブルの中心に置かれた器とオブジェまで、すべて揃えているから調和が生まれます

織田さんの家では、照明の高さがすべて揃っています。

「照明器具は、吹き抜けにかけているシャンデリアまで全部同じ軸線に揃えています。またソファの中心線とテーブルの中心線も揃えると気持ちがいい。そういう軸線を大事にして、軸になる家具はできるだけ動かさないようにしています」

織田さんが後世に伝えたいこと

織田コレクション タピオのガラス作品
ピカピカに磨かれたバスルームに置かれた、タピオ・ヴィルカラのガラス作品

東川町でデザインスクールを主宰する織田さん。そのコンセプトは「丁寧な暮らし」なのだそう。

「丁寧な暮らしは美しい暮らしにつながると思っているので、掃除やベッドメイキングなどはすべて自分でします。習慣にすると面倒ではないんです。北欧やドイツで飽きの来ない美しいデザインが生まれたのは、早い時代から女性が社会進出をしたから。家事を分担すると、男性も生活者の視点を持つことができます。それはすごく重要なこと。使い手の視点から生まれたものは機能的です。日本の男性は会社や仕事に時間を取られてしまって、暮らしを大事にしていないなと思います。男性がもっと暮らしを大切にし、生活者の視点を持つことが大切だと思います」

今は人材の育成に一番力を入れていると語る織田さん。

「若い世代の人たちには、本物、オリジナル、ルーツを残してあげたいですね。バーチャルで見るのではなく、ガラスケース越しにでも本物を見ると、デザインの持っている力がわかります。もっと本物を見て、体験してほしいですね。僕は古い農具や民具も研究対象にしています。それは機能から生まれた形をしていますが、世の中が便利になるにつれて全部消えて行ってしまうからなんです。匿名性ではなく無名性。民芸では作家性を出さないのが大事で、そういう一般庶民が使う日用品こそ美しくなければいけないと思っています」

織田コレクション 鳥のえさ

「僕は今76歳ですが、この歳になれば自分は何のために生まれてきたのか、人生の意味を知るわけです。若いスタッフたちには、自分の頭の中にある知識、知見を伝えていくことが一番しなくてはいけないことだと思っています。照明器具とアート作品以外、7500点ほどの家具やプロダクトデザインの数々はすべて寸法もミリ単位で測って、ほぼリスト化もできています。本物はどういうものかを後世に伝えることが天命だと思っています」

織田コレクション 北海道旭川市

織田憲嗣さんプロフィール

椅子研究家・東海大学名誉教授・東川町文化芸術コーディネーター。1946年高知県生まれ。大阪芸術大学卒業後、髙島屋宣伝部にイラストレーター、グラフィックデザイナーとして勤務。その後独立しデザイン事務所を設立。1994年から北海道東海大学芸術工学部(当時)教授となり、特任教授を経て2015年まで務めたのち現職に。現在北海道東神楽町の森の中の自邸で暮らす。

https://odacollection.jp

<< 【北海道東川町、織田コレクションを訪ねて vol.1】も読む↗


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photograph:Miho Kakuta text & edit:Mayumi Akagi 
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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